マジックフェザー

 中野区の広報にこんなお願いが掲載されていました。
「針金ハンガーを使用する場合、洗濯物は洗濯バサミなどで数箇所とめて、外れないようにする。また、外出時や夜間は、洗濯物を出しっぱなしにしない。布団や座布団などを捨てるときは中身が見えないようにする。」
なんだか、変質者や痴漢対策のような注意事項が並んでいますが、実はカラス対策のお願いなのです。
カラスは、巣を作り、子育てをするために、つがいで暮らす時期(繁殖期)と集団で行動する時期(非繁殖期)がありますが、今は繁殖期に入り始めています。そのために、まず3月から4月にかけて巣材を運び、巣作りをします。そして、4月から5月にかけて産卵し、卵を暖め、5月から6月にかけてひなを育て、6月から7月には幼鳥の巣立ちの時期となります。
カラスの巣は、大きな樹木の上に、外側は小枝、木片などの硬い素材をつかい、内側は動物の羽毛、わらなどの柔らかい素材を利用しますが、都会では、鉄塔、照明塔、広告塔などの上に、ポリエチレンのひも、ビニール袋、布団の中綿などや、なかでも人気の高い針金ハンガーは、巣を頑丈に作るための格好の材料となっています。
 東京では、カラスの繁殖は、1970年代には山手線の内側ではほとんど確認されませんでしたが、1990年代には多数確認されるようになり、カラスの生息数も、1985年の都市部のカラスは約7千羽と報告されていましたが、2001年の調査によると都内全域で3万羽から3万5千羽生息していると推計されています。
 そこで、カラスが生態系に与える影響など様々な問題が身近なところで起こっています。そこで、東京都では平成13年にカラス対策プロジェクトチームが、石原都知事の表明のもと発足しました。このチームへの思い入れは深いようで、当時副知事も「カラス担当として今までの枠を超えて思い切った提案をしてほしい。今月は、カラス・カラスで頑張ってもらいたい」と激励したほどです。報告書「東京のカラス問題を解決するために」が出されました。一月間でのプロジェクトでしたが、すごい力の入れようですね。
 もともとカラスはペットでも家畜でもなく、都市に生きる野生動物です。それを、人が意識してだけでなく無意識のうちにごみの出し方などでエサを与え続けてきたことが、カラスの異常増殖を促し、人とカラスとの距離が縮まり、様々なあつれきが生じてきたわけなのに、なんだかカラスだけが悪者のような扱いですね。本来は、人と野生動物との理想的なつきあい方は、お互いが過剰に干渉することのない状態を築くことなのです。
 どうもカラスは、あの真っ黒な色や死にそうになると周りを飛ぶイメージからか、不吉な感じがしたり、世界に約9千種いる鳥類のなかで、最も脳が発達しているとの報告があることから昔からずるがしこいイメージがあるので嫌われ者なのでしょうね。
 しかし、私はカラスを見て、運がいいと思うようにしています。それは、ディズニー映画「ダンボ」の中で、ねずみのティモシーがカラスの羽をダンボに「これは魔法の羽だからこれを持てばきみは飛べるよ」を言って渡します。これは、暗示をかけたのですが、それによって潜在能力が引き出されて飛ぶことができるのです。そんな「マジックフェザー」だと思えば、あまりカラスを気味悪がらなくてもすみます。

マジックフェザー” への4件のコメント

  1. うちの田舎でもカラスは当たり前のように見られますが、さほど人間に迷惑をかけるようなことはないようです。でも都会ではそうはいかないでしょうね。人間が出す生ごみなど栄養豊富な餌がありますから。先生のお話のように、カラスの問題が起きた原因は人間のほうにあるのですね。以前、山里に熊や猿が出没して畑を荒らしたりする被害が頻発していましたが、広葉樹の代わりに杉やヒノキを植林したために、動物の餌が不足したためと言われています。人間は文明化することで自然との折り合いをつけることをすっかり忘れてしまったようです。

  2.  私の住んでいる場所は地方ですが、カラスがゴミ収集場所を荒らしているのをたまに見かけます。正直、その光景を見るたびにカラスを目の敵にしてしまいます。ですが、先生が言われるように、カラスをそのような状況に追い込んでしまったのは私達人間なのですね。カラスだって好きでゴミを荒らしているわけでもなく、生きるために荒らしているのだから…何とも言えないです。このブログを少しでも多くの人が読んで、カラスに対しての考え方、カラスにとって良い解決策というのを見直して欲しいと思いました。

  3. カラスを見て「気味が悪い」と思うか「運がいい」と思うか、同じものを見ても感じ方はいろいろですね。その人が持っているイメージや先入観がどれだけものの見方に影響しているかがよく分かります。自分の都合だけで考えるのではなく、もっと広い視野を持つことが必要だと感じます。自分の都合だけでは偏った見方しかできないだろうし、そういう人と話をしているとなんだか寂しい気持ちになってしまうのですが、同時に自分のものの見方はどうだろうか?と考えさせてもらえるのでありがたいと思うようにしています。カラスの問題だけではないような気がしてきました。

  4. カラスの巣作り、実に健気ですねぇ。「針金ハンガー」を使用して頑丈な巣にする。子どもを守る親カラスの叡智?であると感心しました。子どもの頃にカラスの「怖い話」をよく聞かされました。といっても原因は人間の側にあるお話です。畑の作物をカラスに荒らされない為見せしめにカラスの死骸をぶら下げておく、しかし仲間を殺されたカラスは殺した人間を覚えていて復讐する、とかカラスの巣にいたずらをして学校の帰り道後ろから襲われるとか、家の屋根の上でカラスが悲しげに鳴くと誰かなくなるとか・・・。カラスにとっては迷惑な話です。ところで現在住んでいる団地のゴミ集積場で時々カラスがビニール袋を突付いているところを見かけます。人間のマナーの悪さへの警告とも捉えられます。カラスも生きなければなりません。餌にできるかモノが嘴で突付けるところにあれば、それは突付いて中身を食べるでしょう。

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