ミシュランが選定した順位は、さまざまな分野に及んでいますが、その選び方にはずいぶんと偏りがある気がしますが、フランス人のある分野から見るとそう見えるのだという意味では参考になります。
「東京の繁華街」という選定では、同時に日本人が選んだ順位も出ているのですが、面白い結果が出ていました。日本人が選んだ順位は、1、浅草 2、銀座 3、秋葉原 4、表参道 5、神楽坂 6、六本木 7、上野 8、お台場 9、日本橋 10、新宿でした。やはり、私は日本人だからか、この順位はわかりますね。ただ、日本人といっても、全国で調査をしたわけではないでしょうし、朝日新聞のアスパラ会員に取ったものですので、偏っているかもしれません。
たとえば、私の園が新宿にあるといえば、新宿のイメージとして、歌舞伎町やゴールデン街を思い浮かべますが、朝日の会員が選べば、歌舞伎町は13位ですし、新宿ゴールデン街は20位です。また、若い人が地方から出てくると行きたがる場所の渋谷は14位ですし、原宿は18位です。これが、フランス人のミシュランが選ぶと、その評価は、東京以外の人のイメージに近くなります。新宿歌舞伎町は二つ星ですし、渋谷、原宿、新宿ゴールデン街は、ひとつ星に選ばれています。
ミシュランの選定では、東京以外の人が選ばないであろう特殊な場所があります。まず、外国人が喜びそうな秋葉原は選ばれていません。その代わり、古い町の谷中は、二つ星に選ばれています。しかし、なんといっても、一箇所しかない三ツ星に選ばれたのが「上野」です。上野には、いくつもの博物館や美術館があり、とてもいいところなのですが、繁華街というイメージはありません。どうして上野なのかを、「大都会・東京の意外性を表す上野」ということで書いています。
「上野駅は首都の最も主要な駅の一つ。上野公園も広くて美しく、木立や花壇のなかに池(不忍池)と動物園、美術館がいくつかある。では、駅は賞賛の対象になるだろうか? もちろんなるが、上野駅は対象にならないだけだ。池の周囲の散策も、特に思い出に残るものではないとしか言いようがない。同じ評価は、白鳥の形をした足踏みボート(スワンボート)に乗って湖上へエスケープすることにも当てはまる。東京国立博物館をはじめとする美術館・博物館は、かなり変化があって面白いが、動物園はただの動物園でしかない。では、三つ星の評価はどこからくるのだろう?それはフランスで、東京のような巨大都市圏として思い描くものと、上野が一致しないことにある。実際、都会の中心というのに、これほど広大な公園がコンクリート至上主義に異議をはさむかのようにあるとは、フランス人は予想もしないし、周辺に網の目のように交差する路地に漂うのどかで田舎のような雰囲気も予想外。一歩路地に入ると、昔ながらの小旅館や小さな家、古い屋台店、目立たないバーやレストランがひしめき合っている。「田舎風の都会」を歩く感覚は、とくに谷中や根津地区で強く味わえる。そこでは、都会の鼓動はほとんど感じない。東京にいるという感覚がなくなり、消えてしまったようになる。」
私は東京育ちですので、東京というと上野や浅草など下町のイメージがありますが、確かに、地方の人や外国の人から見ると、東京はコンクリートで塗り固められ、緑もなく、高層ビルが建ち並び、人もわき目も振らずに急ぎ足で歩いている巨大都市と思うでしょう。そう思ってみると、上野や谷中は意表をつくかもしれませんね。
東京というところは未だにつかめません。それぞれの地区に対して持っているイメージがことごとく覆されるので余計に迷ってしまいます。私の東京のイメージは主にマスコミの情報によって作られています。以前から、中央にマスコミが集中しているため地方の姿はきちんと伝えられていないと感じていますが、ある意味では東京の情報も正しく伝えられていないのかもしれないと思いました。やはり自分の目で見なければいけないということなのでしょうか。
私も、もし選ぶなら浅草を選ぶと思います。あまり行った事がありませんが、印象としては雷門をはじめ、浅草寺や道の脇に並ぶお店の風景がとても面白いと感じました。ですが海外から見ると、そのような歴史的な風景よりも、東京に対するイメージの概念を覆すような場所を選ぶのですね。私も地方なので東京に対するイメージは、四方八方が高層ビルで囲まれ、人も溢れかえっているイメージがありますが、だからと言って上野は選ばないと思います。上野がどのような町並みか知らないのもあるのですが…。ですが外国人が東京の繁華街と言えば上野を選ぶ理由を聞けばなんとなくですが、分かる気もします。
先日も所用で東京に行きました。私たち田舎の人間にとっては、東京に出かけることは特別なことで、何日も前からそわそわ落ち着きません。銀座に行こうかディズニーランドもいいなとかあれこれ計画立てるのですが、結局、新宿とか学生時代を過ごした八王子で満足しています。(両方とも藤森先生の生活圏ですね。)なんせ、人の多いのと街の空気が悪いのには閉口します。出かける前までは憧れの東京ですが、帰る頃には「やっぱり田舎がいいね」としみじみ思います。でも、上野はいいところみたいですね。次の機会には是非行ってみようと思います。東京の街の違った一面が見れそうですね。
「上野」がミシュランで「三ツ星」、しかも渋谷・新宿・原宿を抜いている、とは驚きです。なるほど「上野公園」と「谷根千」あるいは本郷界隈も含めた街並がいわゆる「東京らしさ」から逸脱している「意外性」を持つと判断されたのですね。私自身「お散歩」が結構好きで上野界隈もよく歩きます。確かに昔ながらの路地があったり、ちょいと「東京」のイメージからかけ離れた風景に出くわすことがあります。自分は一体どこにいるのだろうか、と不思議に思えてくることもあります。私が住んでいるところもとても閑静な場所です。しかも通勤が徒歩数分なので、自分の居場所が描き持つイメージから乖離して時折混乱してしまいます。そうした時にはバルコニーから西新宿の高層ビル群を眺めて「あーやっぱり東京にいるんだ」と確認します。「東京」と一言でいってもその多様性には注目すべきものがあります。同時に他所とは異なる特異性を共通項として持っているような気もします。