宝石の輝き

 富山湾の春の味覚であるホタルイカをいただきました。私はホタルイカは大好きですので、よくいただくのですが、ずいぶんとその年によって取れる量は変動します。今年は、3年ぶりに好調なようです。一昨年の4倍、昨年の2倍近い水揚げのようです。その好調の理由について、メカニズムは解明されていないのではっきりとはわからないようです。ホタルイカは、その生息だけでなく、全身が青白く光る、多くの謎につつまれた神秘的な生き物です。
「ホタルイカ」という名前の由来は、そのままで、「蛍のように光を放つイカ」というのですが、その昔は、地元では「まついか」と呼ばれていました。その名が「ホタルイカ」になったのは、明治38年、東京大学教授の渡瀬庄三郎博士の命名によるものでした。渡せ博士は、ホタルがどのような地域に棲んでいるかを調査しているときに、富山県に光を放つイカがいると聞ききつけて、このイカの研究をはじめるのですが、そのときにホタルのように美しい発光をするイカであることから「ホタルイカ」と名付けたのです。また、学名は博士の名前である「渡瀬」にちなみ「ワタセニア・シンティランス」と命名されています。
よくテレビでホタルイカ漁が放映されますが、水揚げするときにその光を放っている姿を映し出しますが、それにしてもその光は宝石のようで、綺麗ですね。 この発光は、発光物質に発光酵素が作用することによって起こります。その構造はいくらか異なってはいますが、昆虫のホタルの発光と同じしくみです。この熱を持たない「冷光」と呼ばれる光には、色々な役割があるようです。
まず、どんなときに光るかというと、刺激を与えたり驚かせたりすると簡単に発光します。ですから水揚げするときに光るのです。それは、暗い海中で外敵に襲われたときなど光を発することで相手を驚かせようとする目くらまし効果を狙った行動のひとつといわれています。また、昼間は上から照らす太陽光に反応して腹側にある発光器から光を出します。それは、ホタルイカは海中ではからだを水平にしているので、光が強すぎるとかえって目立ってしまうし、光が弱いとシルエットになり反対に敵に見つかりやすいので、光を上手に調節して敵から身を守っていると考えられています。
それから、その光り方は、蛍と同じようにその種類によって、それぞれの発光器の数や配列、種類の組み合わせなどは微妙に違います。また、眼は青、水色、緑の3種の色を識別でき、同じ仲間同士やオスとメスとの間で合図を送ったり、集団で行動したりすることができると考えられています。
この宝石な様な光りの美しさは、かなり昔から町おこしに利用とされていました。明治45年に、滑川を訪れた富山県知事より観光事業を行うことが勧められ、滑川におけるホタルイカ観光事業がスタートしています。そして、昭和36年頃には3隻の観光遊覧船が夜の海に出ており、また、ホタルイカ関連の加工食品の試作も始まっています。昭和62年には、早朝海上遊覧(定置網によるホタルイカ漁の様子を観光船に乗って見学)もはじまり、平成元年には漁民センターでの陸上観光(生けすにホタルイカを放し、発光する様子を見学)、平成10年には、ほたるいかミュージアムが完成しています。
春を感じるもの、町おこしの中心におかれるものは、その地にしかない様々な自然です。

宝石の輝き” への3件のコメント

  1.  何度かテレビでホタルイカが水揚げされた時の様子を見ましたが、本当に綺麗に光っていますね。刺激を与えたりすると光るのは知っていましたが、昼間に自分で光を調節して外敵から身を守っているとは初めて知りました。あんな小さな体でも外敵から身を守る術を知っているとは何か感動してしまいました。
     色々な地域で色々な時期で町おこしがありますが、その地域によって工夫をしているのがよく分かります。その地域に観光の目玉になるようなものがあっても、簡単に町おこしが出来るとは思いません。その地域に住んでいる人たちの努力が積み重なってこそ町おこしが成功するのだと思いました。

  2. 宝石の輝きというタイトルを見て、日本庭園などの石の次には宝石が登場したと思いましたが、全く違っていました。ホタルイカはテレビなどで何度か見たことはありますが、一度も食べたことはありません。想像するしかないのですが、評判から判断すると美味しいんでしょうね。日本の海にはいろんな生き物がいます。本当に豊かな海に恵まれていて幸せなことだと思います。
    町おこしは長い年月を要するものが多いと思います。思いつきだけではダメで、結局は行動し続けるしかありません。信念というか、人々の思いのこもった行動が多くの人の心を動かし、その輪を大きくしていくといった、何かを成し遂げるときに共通して必要なものを、そこから学ぶことが出来ますね。

  3. 先日テレビのニュース番組で「ホタルイカ水揚げ」の様子を見ました。青く光るその色は何とも神秘的です。早朝の暗がりの中での漁だったのでしょうか、一度実物を見てみたいものだと思いました。思えよ、されば適えられん、ではありませんが、一昨日「ホタルイカ」を拝見かつご馳走になる機会に恵まれました。串刺しにされている大きさのイカを想像していたのですが、実に小さく、イカ姿の佃煮?、とも思えるほどです。味もよかったですね。イカは嫌いではないので、好き嫌いの多い私でも頂くことができました。それにしても「ホタルイカ」とは不思議な生き物です。「発光物質と発光酵素」による光とのことですが、やはり神業、としかいいようがありません。美しい光です。

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