食糧問題

 入試問題に見る「食育」も、いわゆる難関校になると難しくなります。例えば、今年の武蔵中学校の入試問題にこんな問題が出されています。様々な法律に関する問題の中のひとつです。ブログに先日書いた、私が小学生のころの国語の問題の中の長文から小説に興味を持ったように、この問題の長文から、いろいろなことを学ぶことが出来ます。
「食べ物についてはさまざまな法律があります。たとえば米についてはどうでしょうか。江戸時代には、米は食べ物であること以上に特別な意味を持っていました。また、大正時代にはすでに、米の取引に政府が直接関わる法律が作られています。さらに、1942(昭和17)年に制定された「食糧管理法」は、生産される米のすべてを政府が管理し、食糧の蓄えや流通、価格の安定などを調整する制度を作り上げました。この法律は、戦後も引き継がれ、1995(平成7)年に政府の役割を縮小した別の法律が出来るまで、日本の農業や社会に大きな影響を与えてきました。今では、米を自由に取引でき、「ブランド米」とよばれる、多少価格が高くても人気のある米が店頭に並ぶようになっています。
 主食である米は、積極的に政府が管理してきたこともあって、国民が十分に食べられる量を国内で生産できる状況が保たれています。しかし、米以外の農産物について見ると、小麦や大豆、トウモロコシから肉や野菜にいたるまで、外国産農産物の輸入が増加し、日本の食料自給率は他国と比べて極端に低い数字になりました。こうして政府は、食料自給率の向上をめざした新しい法律「食料・農業・農村基本法」を1999(平成11)年に作ることになったのです。しかし、農家は外国産の農産物と競争しなくてはならず、今日もきびしい状況におかれています。
食べ物には農産物ばかりでなく、水産物や加工品もあります。国際化が進み、原材産地や加工した場所が外国であることが多くなると、日本の法律では認められない薬の成分が入った食品が輸入されると言った事件も起こるようになりました。「食品衛生法」という法律は、体に有害なものを食品として販売することを禁じ、食の安全を守っています。さらに、「日本農林規格」を定めた法律では、企業に対して原材料や消費期限、原料産地(生鮮品の場合)を正しく表示するよう定めています。しかし、これに違反する事件も発生しており、こうした企業は消費者やマスコミなどから強く批判されています。」
 このあとに「ゴミ」「憲法」「生存権」についての法律の長文が続きますが、今回は、食育のところだけの問題を見てみます。設問は、次のようなことです。
 問1、米が持つ特別な意味とはどのようなことでしょうか。
 問2、食糧管理法で定められている内容は、社会の様子に対応して変化してきました。法律に大きな変更があった時期を基にして考えると「食糧不足」「米の消費現象と生産調整」「稲作中心の農業政策」「農業での所得の向上」「牛肉・オレンジの輸入自由化」「ヤミ米・ヤミ市」はそれぞれ?成立から1954年まで ?1955年から1969年まで ?1970年から1995年までのどの時期でしょうか。
 問3は、1960年から2000年までの自給率の変化のグラフから大豆のグラフを選ぶ問題です。
問4、食品表示(品名、原材料名、消費期限、保存方法、製造者)の例を挙げ、法律でこのような表示を義務付ける意味を、企業と消費者のおかれている立場の違いを明確にしながら説明しなさい。
 麻布中学でも自給率が問題になっていました。これを、小学校6年生が解くのですから、すごいですね。さぞかし立派な大人になるはずですが、どうでしょうか。

食糧問題” への6件のコメント

  1. 遊育に面白い話があったので紹介します。父親が子どもに問題を出します。「みかんが81個あります。これを3人に分けなさい」。この子の答えが「ジューサーでジュースにする」。学校の答えは「27個づつ分ける」でしょうが、この子はジュースにすれば、大きいのも小さいのも甘いのも酸っぱいのも、「等しく分ける」ことができるというんですね。『算数では間違いかもしれないが、関係性という変数を加味すればこの「等しさ」もある意味で正しい』と遊育子は語ります。だから、おじさんは世の中の小学生諸君に言いたい!「食糧管理法」のことなんか知らなくていい!(笑)おじさんだってこんな難しい入試問題、逆立ちしたって解けないんだから。それよりも、友達と楽しく遊ぶ中で、「ジュースにして分けよう」という知恵と優しさを身につけてほしい! 以上。

  2.  入試問題で食育に関しての問題が出題されるとは予想外です。しかも、どの問題もとても難しいです…いまでさえ解答できるか分からないのに、この問題を小学6年生が答えると考えると、すごいとしか言いようがありません。
     「食育」というのは、入試問題になるほど今の時代には重要なことになってきているのだと思います。それに今の子ども達が大きくなった時にしっかりと日本の食育の現実を受け止める事が出来る人間になって欲しい為に試験に出るくらい重要にしているのかな?と思いました。それに子どもが理解するわけでなくその親も少しは関心を持って理解するべきだと思いました。

  3. なんとも不思議な感じのする問題です。これを解く力が将来に役立ってくれればいいのですが。問題の中で疑問を感じた点があります。「政府は、食料自給率の向上をめざした…しかし、農家は外国産の農産物と競争しなくてはならず、今日もきびしい状況におかれています。」の部分ですが、何故国が自給率の向上を目指したのに農家が外国産に苦しめられるんでしょうか。そうならないように国が力を発揮すべきなのに何かおかしい気がします。他でも似たようなことはよくありますが。

  4. 今日のブログで紹介されていた麻布中学の入試問題には、従来の断片的事柄の記憶術だけではまるっきりと言っていいほど歯が立たないように思われます。この手の問題を解けるようになるためには、どうやら「総合的学習」が必要です。学校や塾でやる「総合的学習」対象には限界があると思いますが、せめてその基本・土台となることが身に着けられることでしょう。しかし、小学校の高学年から取り組んだのでは遅いのではないでしょうか。小学校の低学年、いや就学前から「総合的学習」に取り組んでいなければならないだろうと思いました。就学前の「総合的学習」とはいわゆる「ワールドオリエンテーション」のことです。麻布中学に入るためだけではなく、問題解決能力や論理的思考が欠かせない大人の社会で順調に過すためには必須のような気がします。

  5. このような問題を小学生が解くのですね!驚きました。私はちょっと自信がありません。日本の食の問題点について試験にでることで、このようにテストになることで、子どもたちも勉強をするのだろうと思います。そんな中で、「今の日本はこんなことになっているのか」「どうしてこうなっていったのだろう」と感じる子が増えてくれるといいなと思います。このような内容の問題を子どもたちが実感を持ちながら解いてくれるといいなと思います。知識だけで「こうなんだ」と理解するのではなく、知識+食を通しての体験が豊富であれば、知ったこと、学んだことをどこか実感を伴いながら理解できるのではないかと思いました。その体験を保育園で行っていきたいですね。

  6. 上記の設問を、小学6年生が解く…。すごいですね。「米が持つ特別な意味」を考えてみても、なかなか思い付きません。保育園でよく稲を育てている例を見ますが、これも伝統を伝えようとしている試みの一つなのでしょうか。設問に答えられるからというよりも、藤森先生が提唱する「食育三本柱」の行程を経ることによって、食育や食料問題を身近に感じられるのかもしれないとも思いました。テスト内容に組み込んで、そこに関心を向けるというだけではなく、実体験をもとにした感覚から、持続可能な関心へと向かわせる意識があればいいなとも思います。

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