食育研修

 今日は、アメリカのハーバード大学の医療関係研究者たちが見学に来ました。日本の高度衛生医療の基礎は、幼児期における食育にあるのではないということについての視察です。園児が、「なにじん?」と聞くので、私は「アメリカ人だよ。」と答えていたのですが、全く間違っていました。ハーバード大は、多国籍から勉強に来ている人が多いので、様々な国の人でした。そういえば、11人に見学者の中に、日本人が3人もいました。
 彼らは、園の環境を0歳児から順に見て回り、昼食を3、4、5歳児クラスの子どもたちと一緒に食べました。私の園では、3歳以上は、トレイを持って、まず、箸かスプーンかフォークを選んで乗せます。そして、主菜、添え物の量を申告して当番の子からよそってもらいます。このやり方を、今日はとても感謝されました。それは、メンバーの中にベジタリアンがいるからです。今日の主菜はすき焼き風煮物で、添え物がシラスの和え物で、汁物がかつおだしの味噌汁です。ベジタリアンは、肉も魚も食べませんので、一斉に同じものを食べさせるような給食には不向きです。しかし、私の園では、箸かフォークが選べますし、肉抜きの主菜とか、昆布だしの味噌汁とか、シラス抜きの和え物とか、麦茶かフィルターを通した水かを選べますので、自分で好きなほうを当番の子に言えばいいのです。普段はベジタリアン用ではなく、アレルギー児のためではあるのですが。
 今回の研修目的の食育ですが、確かに世界の中でかなり進んでいる気がします。国としての取り組みの自給率や農薬使用などはかなり遅れている気がしますが、幼児教育からの食育は、ずいぶんと先駆的な取り組みです。日本における食育基本法は、平成16年の第159国会に提出され、平成17年6月10日に成立しました。
 これを反映して、私立小・中学校の入試問題にも食育に関することが出されています。例えば、小学校入試問題に、「果物を縦に切った時と横に切った時の切り口はどうなるでしょうか。」という問題があります。これは同じ果物どうし、線で結ぶものですが、家庭でいつも同じ向きからだけしか切っていないとなかなかわかりにくいです。ですから、普段から、果物や野菜を食べる時に、縦や横に半分に切ったものを出さないといけないとは、大変ですね。
また、中学の問題にこんなのがありました。穴埋め問題です。
「毎日の食べ物や、それを生み出す農業や環境問題について、自分たちで学び、考え、行動していく取り組みを「食育」とよんでいます。最近のわたしたちの食生活については、いろいろな問題が指摘されています。まず(あ)が多くなっています。独身の青年たちのなかには1日の食事がすべて(あ)という人もいます。また、調理ずみのおかずや弁当、調理ずみパンなどを買ってきて食べることも増えています。これは(あ)と家庭での食事の中間にあるものとして中食とよばれています。家庭での食事についても、欠食、とくに子どもたちが朝食を食べないことが問題になっています。また子どもたちの孤食、個食やテレビを見ながらの食事なども問題だと言われています。」
 問2では、「孤食」と「個食」について、正しい説明をそれぞれ選ぶものです。
(ア)パンや麺類など、精粉したものばかりを食べること。
(イ)家族がいっしょに食事をしていても、それぞれが好きな物を別々に食べていること。
(ウ)食事のときの食べる量がきょくたんに少ないこと。
(エ)家族の食事時間がバラバラで、家族がそれぞれ1人で食事をとること。
 入試問題にでも出されれば、親が少しは真剣に食について考えるかもしれませんね。

食育研修” への6件のコメント

  1.  アメリカのハーバード大学から見学に来られるとは、さすが新宿せいが保育園ですね。バイキング方式の配膳の仕方だからこそベジタリアンの来客が来られても楽しく給食を食べる事ができるのですね。
     日本が食育を先駆的に取組んでいるとは驚きです。私のイメージでは、そこまで進んでいないと思っていたので…。せっかく日本が食育で注目を浴びているなら、自給率や農薬の問題を国全体で考えるべきだと思います。保育内容で世界から遅れているのだから食育に関しては世界でトップになって欲しいです。また先生も言われるように、親も食育に関して少しは見直すべきだと思いました。

  2. どうも私は「食育」のことを他人事のように考えていたようです。まあ、はっきりいって商売のネタだったかも。ちょっと反省しています。子供たちの食が危なくなってきたのは、大人たちの食生活のスタイルが、核家族の増加やコンビニの発達によって、お手軽になったせいかと思います。大人として、まず自分自身の食事の習慣はどうなのか見直すことが大事ですね。意外にうちの家も、「個食」や「粉食」が多いようです。それにしても、ハーバード大学の見学者とはすごいです!seiga planはそのうち世界共通の言葉になるかもしれません。

  3. 食べることに関しての法律を作っているけど、自給率に対しての取り組みが遅れている日本。食べることの大切さを学んだ子どもが大人になったときには、日本には輸入しなければ食べるものがない、なんてことにならなければいいのですが。保育に関してもそうですが、子どもたちの将来のことを考えているのか疑問に思ってしまいます。
    (あ)は外食、「孤食」が(エ)で「個食」が(イ)ですね。食べることの法律ができてしまうだけでなく、テストにまで登場してくるんですね。そのうち「食育」という授業科目も登場してくるんでしょうか。

  4. 食に対する趣向・傾向の多様性を考えると、私たちが「食べる」ということについて、これまたいろいろ様々なことを考えさせられます。今日のブログの内容もそうした「考え」の糧になる重要な情報が満載でした。ブログでも紹介されていた「ベジタリアン」の他に「ビーガン」という、もっと徹底したベジタリアン?の食傾向をお持ちになる方もいるそうです。また「宗教的な理由」によって「豚肉」を食べない人たちもいます(先日のハーバード大の皆さんの中にもお1人おられました。)さらには「アレルギー」対応食を欲する人々もいます。そして、私のように「好き嫌い」が割りと激しい人もいます。こうして考えると、「食育」の基本に据えなければならないことは、どうやら「食事を楽しむ」というとても単純な発想・思想・思いやり?と思ってしまいます。「食事を楽しむ」ことができれば食事の際のお行儀も長ずるにつれて出来上がってきます。その逆ではありませんね。

  5. 「ベジタリアン」というと野菜を中心に食べる人、野菜を好んで食べる人という印象だったのですが、調べてみると宗教的な理由で全く肉などを食べない人も含まれるのですね。そういった人々にとってはバイキング方式の食事は喜ばれますね。全ての人々を認めるそんな姿勢が表れているからこそだと思います。入試問題に食育の問題が出ているのですね。私は保育に携わっているので、食の問題について知ることができていますが、このような食の問題が日本で起こっているということをまだまだ実感として理解している人は多くはないかもしれません。そういった意味でも入試問題になることで、それが周知されていくきっかけになるかもしれませんね。

  6. ベジタリアンであろうと、集団で楽しく食事がとれる『セミバイキング式』は、“多様性”を認める環境の一つでもあるのですね。食べるだけが食育ではないという観点から、「果物を縦に切った時と横に切った時の切り口」や現代社会を反映させた食事の傾向までも理解していなければ、テストに答えることはできませんね。食育基本法が成立してから、10年が経ちました。「食育」という言葉を知らない人はほとんどいないと思いますし、食べ物との付き合い方が見直されていると知ってはいるものの、社会に大きく影響を受ける食文化が、生活や人の意識と関連して動いているということも把握しなくてはと感じました。

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