長文読解

先日、戦後の日本映画界をリードしてきた映画監督の市川崑さんが亡くなられました。これを悼んで、テレビで代表作の名作「ビルマの竪琴」が放送されていました。この映画は、水島上等兵の生き方が人々の共感を呼び、60年に再映画化されました。その作品でベネチア国際映画祭サン・ジョルジュ賞受賞し、米アカデミー賞外国語映画賞候補にもなりました。
「ビルマの竪琴」は、竹山道雄が執筆した児童読み物ですが、私はこの読み物についてある思い出があります。小学校5年生のとき、日曜日の模擬試験を受けに行きました。そのときの国語の問題の中の長文読解は、「ビルマの竪琴」の一部分でした。たぶん、もっとも劇的なシーンだったと思います。水島上等兵だと思って、みんなが必死に一緒に日本に帰ろうと呼びかけるところだでしょう。その部分を読んでいたら、それが問題だということも忘れて、その話しに感動してしまいました。すると、その後の結末が知りたくなって仕方ありません。その後のほかの教科の問題には身が入らず、ずっと、その物語を考えていました。そして、試験が終わると急いで教室を飛び出して、御茶ノ水の本屋街に行き、その本を探して買って帰りました。そして、その日のうちに全文を読み終えて、やっと心が落ち着きました。
 小説「ビルマの竪琴」の主人公、水島上等兵は、英軍の捕虜収容所に送られた所属部隊と合流すべくムドンを目指しますが、途中で目にしたおびただしい数の遺体に触れ、供養を決意して僧侶となって現地に残ろうとします。3日後に日本へ帰国することが決まった隊員達は、水島も引き連れて帰ろうと毎日合唱します。隊長は、日本語を覚えこませたオウムを水島に渡してくれるように、物売りに頼みます。出発前日、皆の前に姿を現した水島に、収容所の柵ごしに隊員達は「埴生の宿」を合唱し、一緒に日本へ帰ろうと必死に呼びかけます。しかし、彼は黙ってうなだれ、「仰げば尊し」を弾きます。祖国のメロディーに心打たれる隊員達を後に、水島は森の中へ去って行きます。
 小説の最後は、水島上等兵が隊長と戦友にあてた手紙で終わります。手紙には、日本に思いを馳せる時に触れたくだりがあります。「私はこの好きなビルマの国にいて、雪のつむ高山から南十字星のかがやく磯のほとりまで、いたるところをさすらって歩きます。これは思うに心たのしいことでもあります。そうして、皆様をなつかしむ心にたえないときは、竪琴をひきます。」
 日英の兵隊が同時に「はにゅうの宿」を歌う場面がありますが、原作者の竹山さんは、最初は場所を中国にする予定だったそうですが、中国と日本に共通の歌がないことから、イギリス軍をえらばざるを得なかったと言います。したがって場所はビルマになったのです。
 もうすぐ卒園式や卒業式がありますが、そこで色々な歌が歌われます。そのときに先生と生徒、児童は敵味方という関係ではありませんが、最近、どうも世代を超えて共通の歌がなくなってきている気がします。また、同世代でも、世代共通の歌もない気がします。何十年か経って、みんなで歌おうとするとき、どんな歌が歌われるのでしょうか。

長文読解” への5件のコメント

  1.  違う国でも共通の歌があることによって映画が作成されるのは素晴らしいことですね。音楽というのは国と国との境界線を無くすものだと私は思います。それは、国だけでなくもちろん人と人との境界線、世代を超えるものだと思います。私も最近は以前と違って今の歌に対してはよく分かりません。しかし、心に響く曲というのは世代は関係なく万人に受けるものだと思います。確かにそう考えると最近は世代を超えた共通の歌が無いような気がしますね・・・。

  2. メロディに載った言葉は国は違っても伝わるものなのですね。
    私は小学校の卒業式に来賓として参加しますが、ここ数年はテレビの影響かも知れませんが、卒園生,在校生,先生に及ぶ掛け合いの台詞と歌でミュージカル風な催し?進行?が行なわれています。
    卒園生の保護者たちは、感動に浸っているので時間は気にならないかもしれません。
    来賓の立場としては、校歌以外の歌は全く知りませんし、やたらと時間が掛かっているので、寒い奥に席があるので辛いのが本音です。
    せめてみんなが知っている歌で飾ってくれれば気持ちも違いますね。

  3. 明日が卒園式だという幼稚園の先生に、卒園式では定番の「思い出のアルバム」ですかと聞いたら、最近はもっと新しい歌を歌うそうですね。ネットで調べてみると、いやいやおじさん世代には知らない曲ばかりです。いま日本で一番ポピュラーな卒業式ソングは、「ビリーブ」と「旅立ちの日に」だそうですね。特に「旅立ちの日に」は埼玉県の中学校の先生が教え子のために作った曲で、ほんとに素敵な詩です。「白い光の中に 山並みは萌えて 遥かな空の 果てまでも 君は飛び立つ・・・」こんないい歌は世代を超えて歌い続けたいですね。ところで藤森先生の園はどんな歌で卒園児を送るのでしょう。

  4. 仕事場では毎日職員といろいろな話をします。今日はたまたま「ミャンマー大使館」でのビザ更新に関わる保護者の苦労話をミャンマーという国のことも合わせながら話しをしていました。すると、私たちの隣で仕事をしている別な職員がいきなり「ビルマの竪琴?」と会話に割り込んできました。私はオカシナ癖があります。話している内容にチョイト毛色の異なるものが入り込むとそれまでの話しの流れを中断して、そのこと、つまり今回の場合は「ビルマの竪琴」について話を変えてしまうのです。なるほど今回のブログでわかりました。その職員の口から出た「ビルマの竪琴」の元はブログ「長文読解」だったのですね。ブログねたが通常の会話に影響を与える例を今回のコメントでは紹介させて頂きました。

  5. 明日は小学校の卒業式に参加します。どんな歌が歌われるかは知りませんが、子どもたちの心に残り、大きくなったときに聞いてそのときの気持ちが思い出されるような歌であればいいなと思います。さらにそれがいろんな世代の人と語りあえるような歌であれば、なおいいですね。

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