企業の求める力2

 日本経団連が11月に行った新卒採用に関する企業アンケートでも、選考で重視する点(複数回答)は「コミュニケーション能力」が75・1%と最多でした。この能力は、OECDが行うPISAの学力調査でも重要な力とされています。それは当然なことで、例えば語学が堪能になっても、人と会話をすることがうまくいかなければ、話すことは出来ませんし、さまざまな問題も答えが出ても、それを人に伝えなければ回答したことにはならないからです。
 それを、経団連は「対話は仕事を行う上でもっとも基本的な能力。企業はより基礎的な力を新入社員に求めている」と分析しています。しかし、それに反して、最近の若者は、コミュニケーション能力が低下してきていると言われています。その理由は様々あるでしょうが、インターネットや電子メールの普及などで、若者世代の対話能力が低下しているとの懸念も背景にあるとみられているようです。私は、この能力が低下している背景に「少子化」があるような気がします。子どもが多かったころは、自分を主張しないと認めてもらえないし、やってもらえないし、物も貰えないことが多かったでしょう。しかし、子どもが少ないと、親は子どもが欲しがっている様子を、自分から言わなくても気がついてしまうでしょうし、それ以上に、欲しがる前に欲しがるであろうと思って与えてしまうことが多いような気がします。それが、子どもを愛し、子どものために自分はしてあげていると思ってしまうようです。
 そのほかの望む力として、企業不祥事の続発を受け、「倫理観」の大切さを説く経営者も多かったようです。カネボウ化粧品の高山外志夫会長は「法律や規則と言った社会の決まりを守るのは当然だが、礼儀も含む『人の道』という言葉で表現される事柄にも、強い意識を持って欲しい」と言っていますし、新日本石油・西尾進路社長は、「自らの権利ばかり主張して、責任を放棄するような人間は社会人としての資格はない」と苦言を呈しています。それぞれの仕事には、かつての「武士道」のように、それぞれの「道」があり、その前提として「人としての道」も歩んで欲しいと思います。
また、少子化の影響は違うところにも出ています。厚生労働省によると、大学を卒業して就職し、3年以内に職を離れる比率は02年卒で34・7%だそうです。随分、多くの若者が入社してすぐに働く意欲を失ってしまうようです。今の若者に継続して働いてもらい、きちんとした社会人として育てるためには、兄弟が少なく、大事に育てられたため、「上司の温かいまなざしと共感が育成のカギ」社会経済生産性本部の「職業のあり方研究会」では分析しています。
 成績、学歴、資格、語学力は後になっても身につけることが出来ます。この結果を見た社会人の息子は、「この上位に上げられている力は、生まれつきのものだったり、親の育児の姿勢によって左右されてしまうので、それが必要だと言ってもかわいそうだよ。だから、後で身に付くものを求めるしかないんじゃないの?」と言っていましたが、私は、そうではなくて、上位に上げられているものは、乳幼児期での過ごし方が重要なものだと思います。
 ですから、国は、本当にPISAの学力をあげたいのであれば、また、将来企業で活躍する人材を作りたいのであれば、もっと、少子時代における乳幼児教育を見直し、国の責任として乳幼児教育を充実していったほうがいいと思うのですが。

企業の求める力2” への4件のコメント

  1. そろそろ入学や入社のシーズンですが、最近、母親と一緒に入社式に行くという新入社員が増えているという話を聞きました。二人で会場に行っても、入り口で「親御さんは入れません」と断られるのですが、入社式が終わるまで母親は外で待っている。息子は式の後、研修が始まるので一緒に帰れないが、休憩時間にいったん外へ出て式の報告をすると母親は安心して帰るといいます。決してマザコンではなく、お互いに友達感覚だから来てもらっているだけのようです。もし、こんな母親に仕事の愚痴でもこぼそうものなら、「そんな会社、やめなさい。あなたにはもっといい会社があるはずよ」なんて言いそうです。そんなこんなでニートやフリーターが増えていくのかもしれません。

  2.  以前から、先生のブログでは人との関わりがとても大事と言っておられますが、本当にそうだと思います。やはり、人と関わる為にはコミュニケーションを取らないと出来ません。私の現場でなかなか友達と話すことが苦手な子どもがいます、その子が、おやつの時間になかなかストローを袋から出すことが出来ずにいる時にやはり、先生に開けてくれるようお願いにきます。しかし、そこで簡単に先生が開けるとその子どもの為にもなりませんし、友人との関係も無いまま終わってしまいます。なので「隣のお友達に頼んでみたら?」など言葉がけをしますが…。他にもなかなか自分を出せない子どもいましたが、ある事がきっかけで、今ではとても活き活きと遊びをしています。
     私も最初は人とのコミュニケーションというのは生まれつきのものもあると思いましたが、現場で実際に子どもの姿を見ていれば、それはどうかな?と思います。早く国もその事実を気づけばいいと思いました。

  3. 先日学校の先生と話をしていたとき「社会がこれだけ大きく変わったのに、学校は子どもに対しての関わり方を変えずにいる。学校も変わらなければいけない。」と言っておられました。こういった現場の声はまだあるのか、機会があれば聞いてみようと思います。雇用などの条件を整備して子どもを生み育てやすくすることだけが少子化対策ではなく、少子時代の今の子どもたちにもっと目を向けることも重要な対策だと思います。
    今回はコミュニケーション能力だけでなく、倫理観のことも書かれています。コミュニケーション能力も大切ですが、態度や構え、もっといえばその人の生き方というのも企業としては当然重要視すると思います。そうなると、なおさら今の学校の勉強で身につくものではないと思います。「道徳の授業がある」とはさすがに言わないでしょう。

  4. 企業が求める「コミュニケーション能力」については、わが国では年齢を重ねる毎に低下していっているような気がします。コミュニケーションは「意思疎通」ということですが、どーも最近は意思疎通能力が減退し、結果として主張すれば権利主張が中心となってしまうようです。悪意がないにもかかわらず発した言葉が「言葉の刃」と解釈され、勝手に解釈した「言葉の刃」で傷つき、そしてその「刃」を悪意なくその言葉を発した人に向けて己がさらに傷つく、という「負のスパイラル」が常態となる傾向があるようです。己に自信がない結果でしょう。当今わが国の諸々の問題の根源はこの「自信のなさ」に由来しているのでは、と思ってしまいます。年齢を重ねるにつれての「コミュニケーション能力の減退」と「自信の喪失」は比例しているのではないでしょうか。「自信」があれば十分な「コミュニケーション能力」もあるはずです。

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