教育目標

 昨日は、NHKテレビで「学力」についての番組が放映されていました。各国では、社会経済や教育の時代背景の変化に伴って、教育目標を掲げて、ここ数年の間に様々な取り組みをしています。日本でも、「総合的学習」や「ゆとり」の授業から、「基礎学力の向上」を目指す方向に転換し始めています。その話し合いの中で、文科省では「諸外国の教育目標の動向」を資料として提示しました。その資料では、各国では目標の方向が定められています。
 アメリカ合衆国では、各年齢によるそれぞれの目標が示されます。「学力の底上げ(初等中等教育)」「教育の質の維持・向上(初等中等教育)」「アカウンタビリティの改善(初等中等教育,高等教育)」「アクセス向上,学費負担軽減(高等教育)」学力の底上げについての課題は、どの国でも同じようですね。しかし、底上げのために、まず「質」の維持・向上があげられています。そのために、「全国教育スタンダード及び学力の測定・評価システムの開発・設定」や「学力テストの実施と結果の公表(2013年度までに各州が定める学力水準にすべての児童・生徒が到達すること)」などが具体的な目標として立てられ、そのために「基礎学力向上政策への集中投資」などを目標としています。
 イギリスでは、すべての年齢に共通する課題が示されています。「経済発展に役立つ人材の養成」「教育水準の向上」「機会の拡大(義務教育後教育及び高等教育)」です。人材は、経済発展に役に立つために育成するとは、面白いですね。まあ、国としては、豊かな心とか、感性豊かな心情などという目標は立てないでしょうね。しかし、いくら経済優先でも、その具体的な目標では、「人々の自己実現のための可能性を引き出す」とか「より個性に応じた教育と選択の拡大」をあげているように、みんな一緒というような。一斉に教え、言われた通りに活動させることは、かえって経済効果に貢献しないと思っているようです。
 フランスでは、「教育の質の維持・向上」「機会の拡大(後期中等教育、高等教育)」「失業問題対策の一環としての教育の質の向上」です。やはり、フランスでも、質の維持・向上が上げられています。そのために「児童生徒の多様性に応じた教育課程の弾力化(個々の児童生徒の学習リズムへの配慮)」などがあげられていますが、ここへの対応が課題のようです。
 中国では、「国民全体の資質向上と優秀で大量の人材の効率的育成」「資質教育(創造性の育成)」です。なんだか、私たちが目にし、耳にする中国での教育とはイメージが違います。その目標内容として「高水準で創造能力を持つ人材育成」というように、認知的なものを強化しようという動きは、表面的には出されていないようです。
 ドイツ、フィンランド、、韓国では、「目標の柱」が立てられています。ドイツでは、「基礎学力の向上」「人材の養成(職業・高等教育)」「国際化・情報化への対応」であり、
フィンランドでは、「基礎教育の機会の保障」「教育機関と職業生活の相互関係を一層強化」「高等教育の国際競争力と地域のニーズへの対応」「高等教育の拡充、成人教育の充実」があげられていますし、
韓国では、「学習社会と人材強国の建設」「“人”と“知”主導型の成長」があげられています。
 どの国でも課題は似たようなものがあげられていますが、それは、当然時代的背景が同じだからでしょう。しかし、それに対する教育目標は、各国では多少違うようです。

教育目標” への4件のコメント

  1.  ブログに「みんな一緒というような。一斉に教え、言われた通りに活動させることは、かえって経済効果に貢献しないと」と書いてありますが、まさに現在の日本の教育方法だと思いました。各国も質の維持、向上とも書いてあります。今回、保育所保育指針が改定されますが、その中に職員の質の向上と書かれています。まだまだ、ですが日本も少しずつ世界の基準に合わせてきているのかな?と多少思いました。
     色々な国の教育目標というものが掲げられていますが、時代が変わると同時に、子どもや親の変化もあるのだと感じます。そんな中で日本はどのように変えていくのか楽しみな面、期待しようと思います。

  2. 藤森先生のお話を伺うようになってから、外国(特にヨーロッパ)の教育・保育事情に興味が湧いてくるようになりました。最近はPISAで世界一の学力を誇るフィンランドに特に関心を持っています。この国の教育制度の特色をいくつか挙げてみます。まず、福祉国家ですから基礎学校から大学修了まで無償の教育が保障されていること。授業が生徒に知識の習得を押し付けるのではなく、グループ学習を通じて、生徒同士の学びを大切にしていること。そして、授業時間も年間およそ950時間(週25時間)しかなく、1年間で175日も休みがあるといいます。そしてなにより、「ミクシ?」(どうして?)という言葉が象徴するように、常に子供たちに考えさせることを基本にした教育というのが素晴らしいですね。それに比べて、日本の教育は果たしてどこへ向かおうとしているのでしょうか・・・。

  3. 諸外国同様わが国にも「教育目標」なるものが存在すると思います。その教育目標が何で、その実現のための施策がどういったものか、不勉強な私にはわかりません。学校時代のことを思い出すと「なぜこうした勉強をするのか」ということに対する末通るような説明を教員から受けた記憶もありません。むしろそうした質問をすると「力」をもってねじ伏せられる傾向にあったことが思い出されます。OECD等のレポートによると「教育はインベストメント(投資)」と明記されています。わが国の教育伝統にも「教育は国家百年の計」などと言われてきました。「人材育成」は諸外国のみならずわが国においても急務の要と理解しています。その育成が「環境を通して」とならないところに現今わが国の限界を感じます。

  4. いろんな国の教育目標を見るのも勉強になります。その国の考え方が表れていてなかなかおもしろいですね。今の日本の教育目標は、他国と見比べてどうなんでしょうか。子どもたちが社会に出たときに必要とされる力の基礎を磨いていける、そんな教育であるための教育目標であってほしいと思います。

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