せっかく各地に講演に行くのであれば、もし時間があり、先方に「どこか行きたいところありますか?」と聞かれたときに、ブログで紹介した「にほんの里100選」にノミネートされている里を訪ねることが出来たらいいなあと思います。
ちょうど今日は富山県の氷見で講演があったので調べてみると、氷見全域が「ひみ田園漁村空間博物館」ということでノミネートされています。この試みは、面白いですね。「氷見全体を博物館に」ということで、先日2月5日に各地区の活動発表が行われたそうです。
例えば、一刎地区では、ミズバショウの増株や脇之谷内地区の遊歩道の設置など市内16の地区を整備しました。このミズバショウの植え込みイベントには市内外からボランティアで参加したそうです。また、脇之谷内地区の三千坊山や宮田地区の乱橋池についての報告もあったようです。
氷見市は、富山県の西北、能登半島の東側付け根部分に位置し、地形的には海と山がコンパクトにまとまっており、農山漁村の持つ豊かな自然環境を有しています。日本海側有数の氷見漁港には、四季を通じて156種類もの魚が水揚げされ、広辞苑にも掲載されている「氷見いわし」や、初夏の「マグロ」、冬の「寒ブリ」などは特に有名で、昨日の夜も「ブリしゃぶ」をいただきました。
氷見市は、堂故市長が初当選した1998年当時、少子高齢化が県内9市で最も進んでいた地域で、地域活力の低下が懸念されていました。市長には、「これからの時代に子供を持つことへの思いや都市中心型の社会構造の変革は、ちょっとした少子化対策で対応できるものでは、もうない」という思いがあり、定住に寄与してきた魅力を思い切って世界に発信することで、外からの高い評価を得、それによって市民の「愛郷心」と「誇り」を醸成し、定住に跳ね返らせるという、定住と交流が表裏一体の良い関係を持ち、市の活力を維持していこうということに挑戦したのです。
まず、「伝統漁業の定置網を今に生かすまちづくり」を行いました。市長は、この定置網漁法を、「消極的で時代遅れの漁法」ではなく、「21世紀の資源管理型漁法」として、さらには「人にやさしい漁法」として世界へ発信しようとしたのです。そのために、「成功から出発する」ということから、さまざまな機会を通じて全国の市長などから貴重な失敗例を聞いて回ったのです。成功例ではなく「どうしたら失敗するか?」を聞いたのです。
もうひとつが、県内初の「棚田オーナー」事業で、不利な自然条件を「地域の良さ」に変えるという発想です。長坂という所をモデル地域として進められていますが、粘土質の土壌が生むおいしいお米と、棚田から眺める海越しの立山連峰の美しいパノラマ、そして、地元の人々のホスピタリティに、回数を重ねるごとにファンが増えてきているようです。

それに引き続いて、「里山林のオーナー事業」「竹林オーナー事業」をスタートさせています。これらの事業が、中山間地活性化の認識を市民に浸透させ、積極的な地域活動が展開されるきっかけになっているようです。
この「ひみ田園漁村空間博物館」は、単に施設をつくるということではなく、有形・無形の地域資源を展示物ととらえ、内外の交流を活発にすることで地域活性化を図ろうという地域づくり活動です。そろそろ、大きな建物や道路などの施設を作ることから、住民が活性化する事業への転換を図るべきでしょうね。
富山と言えば「寒ブリ」をイメージします。ある俳優が「ブリしゃぶ」を美味しそうに食べているCMがありますが、一度でもいいので、旬のブリをしゃぶしゃぶで食べてみたいです。
以前からブログで「にほんの里100選」を書かれていますが、町全体を博物館にするという発想は大胆で、とても面白です。氷見市の市長のように、しかっりとした自分の考えを持つ事がトップになる人にとって必要な事だと思います。それが結局、氷見市のような有名な地域になるのだと思います。これは全ての業種にも言える事で、トップが決して揺るがない信念を持つ事が大切で、それは自然と下で働く者に影響していい環境が生まれると思います。
「地域振興」を課題としていない自治体はほとんどないと思います。しかし、どうしたらその「課題」をクリアできるかに四苦八苦していない自治体もほとんどないと思います。毎回「臥竜塾」ブログを読ませて頂いていると今回のような「地域振興」のヒント満載の記事に出会います。もし私が自治体の関係者であれば、今回紹介されていた「氷見市」の取り組みはすぐに関係各位に持ちかけると思います。(もっとも、他所の事例に好意的ではなく、アレコレ理由を言って、結果として聴く耳持たず、という場合もあるでしょう。)「定置網漁法」を「21世紀の資源管理型漁法」として見直すだけで、新しい地平が漁業界にも開けてくるような気がします。このことはいつか漁師をやっている従兄弟に話してみようと思います。ところで氷見からみる富山湾越しの立山連峰はさぞかし美しいでしょうね。是非観てみたい風景です。
高知県に「土佐の一本釣り」のマンガの舞台になった中土佐町という町があります。今、この町では都市と農漁村の体験型交流事業(グリーンツーリズム)という考え方で、都会からの観光客に定置網漁業を体験してもらうツアーを実施して大変な反響を呼んでいます。地方の豊かな自然を生かした新しいタイプの振興策ですね。地元の人々がその土地で生きることの喜びと誇りを感じることもできますね。富山県氷見市の取り組みもたぶん同じような考え方によるものと思います。これまでどこの町でも当たり前のよう行われてきた、箱モノ(テーマパークもどきの施設)で人を呼ぶのではなく、今、目の前に広がっているふるさとの美しい山や川や海を見直すことから新しい智慧が生まれてくるかもしれません。
先日、富山県の事が紹介されているテレビ番組を見ました。寒ブリだけでなく近海から揚がる魚介類の載った回転寿司が紹介されていましたが、美味しそうでたまりませんでした。なにせ、シャリも富山県発祥のコシヒカリでしょうから。
棚田の景色はなかなかいいものですね。そこのオーナーになるなんて風景を独り占めした感じがしそうですね。ちなみに、宮崎県日南市にも棚田があります。昨年度そこで棚田サミットなるものが開催されました。
氷見市と言えば、ドラえもん等で有名な藤子不二雄さんの出身地ですね。「空間博物館」の発想が浮かぶなんて、素晴らしい地域文化のある環境なのでしょうね。
調べてみると、わが県にも「にほんの里100選」にノミネートされている里がありました。そんなに知っているわけではありませんが、確かにおもしろい取り組みをしているようです。
氷見市の取り組みは注目すべきだと思いますし、こういう発想はこれから増えていかなければいけないんでしょうね。住民が活性化するにはどうすれば?という考え方や発想と、それを実行し継続していくことが大切だと学ばせてもらいました。