クレド3

 J&Jの「我が信条」には、4つの利害関係者「顧客、社員、地域社会、株主」に対する責任が書かれています。その中の「顧客」を「我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客」とし、その顧客に対しての責任が書かれています。私たちの園にとっての顧客とは誰でしょうか。園が開園するときの職員紹介の下に「私たちは、世界の子どもの担任です。」というメッセージを入れました。J&Jが危機のときに立ち返った企業理念である「我が信条」の第一の責任は、この顧客に対しての責任の意思決定でした。それは、「質的に高い水準」「製品原価を引き下げる努力」「注文に、迅速、かつ正確に応える」「取引先への適正な利益をあげる機会の提供」です。
 次に「社員」に向けての責任です。これは、なにもJ&Jの社員だけではなく、世界中で共に働く男性と女性に対してのものでもあります。それは、「個人として尊重され、その尊厳と価値を認める」「安心して仕事に従事する」「待遇は公正かつ適切」「働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全」「社員が家族に対する責任を十分果たすことができるような配慮」「社員の提案、苦情が自由にできる環境」「能力ある人々への平等な雇用、能力開発および昇進の機会」「有能な管理者を任命」「公正、かつ道義にかなった行動」があげられています。
 第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会にたいしてです。しかも、全世界の共同社会に対するものまで視野に入れています。それは、良き市民として、「有益な社会事業および福祉に貢献」「適切な租税の負担」です。また、「社会の発展」「健康の増進」「教育の改善に寄与する活動への参画」また、「使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。」ということが定められています。
第四の責任は、会社の株主に対するものですが、株式公開企業になるのだから、株主を最後にするのはおかしいという意見がありました。それに対しては、「顧客第一で考え行動し、残りの責任をこの順序通り果たしてゆけば、株主への責任は自ずと果たせるというのが、正しいビジネス論理なのだ。」と返答しています。
 これらの信条の柔軟性は、この言葉に表れています。「この文書の文言は時代の流れや会社発展にあわせて修正してよい。新しい経営概念を導入してもよい。」また、不変性の点では、「しかし、基本哲学・思想は不変のはずだ。」とこの信条への確信を述べています。
 ザ・リッツ・カールトンの場合は「ゴールドスタンダード」と題するクレドを経営の中核に据えています。ここで定めているのは6項目の指針です。「使命」として「心のこもったおもてなし」、「モットー」では、「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」そして残り4項目で「サービスの3ステップ」「従業員への約束」などの具体的行動指針を記しています。
 よく園の保育方針に「感動する心」とか「みんなと仲よくあそぶいきいき遊べる子ども」というような言葉が並びます。そのときに、例えば、保育者が、子どもの服を着せてあげているときにどのように着せてあげれば、感動する心を持つのか、みんなと仲良く遊べる子になるのか、行動の方法が見えにくいですね。それが、「自立していく子ども」としたら、どう援助すれば自立につながるかを考えることで、援助の仕方がわかりやすくなります。
 もう一度、園で、保育者がいつも持ち歩いてそこに帰るようなクレドが必要かもしれません。

クレド3” への4件のコメント

  1. 保育園にも「クレド」が必要だという先生のご意見に賛成です。確かにそれぞれの園が持っている保育方針を職員の方がどれだけ理解して保育しているのかとても疑問です。その存在すら知らない方がいるかもしれません。先日、新宿せいが保育園を訪問した折、会議室で保育理念や保育目標を見せていただきましたが、これほど具体的で科学的理論に裏付けられた保育目標は見たことがありませんでした。もっと多くの園でぜひお手本にして欲しいと思います。それにしても、藤森先生の保育園、そしてお仲間の保育園はどこもホスピタリティに溢れているのはなぜなのでしょう。子供たちにとって居心地のいい空間は、もしかしたら外から訪れる大人も心安らげるものかもしれませんね。

  2. 園の方針が具体的であっても、常にそこに立ち返って行動を見直すことを行わなければ理念や方針は形だけのものになってしまいます。理念や方針は当然ですが、それに基づいてどのように行動するかも重要です。何のための理念・方針かということも忘れずに、自園を見直してみます。
    J&Jやザ・リッツカールトンなど、ビジネスの世界から学ぶことは多いと思います。基本姿勢などは他の業種の方がしっかりしていると思うこともあります。謙虚な気持ちで視野を広げておくことは大切です。

  3.  立派な園の方針を掲げていても、全員がしっかり理解していないと意味がありません。また園に「クレド」を導入した場合、「クレド」は自主的な行動を促す為のものなので、職員が子どもと接する時に、どのように言葉掛けをすれば良いのか?どこまで援助して良いのか?など自分で考え、自分で導き出せるような「クレド」が必要だと思います。また、その為にも藤森先生のような自分の理念をしっかり持った園長先生が、職員に対して自分の考えを伝えることも大事なような気がします。

  4. 3回にわたる今回の「クレド」のお話には考えさせられるところが多くあります。今日のブログで詳しく紹介されているJ&Jの「4つの利害関係者」については自分の職責の及ぶ現場に照らしてさまざまに思い巡らすことができます。「顧客」は子ども、「社員」は職員、地域社会→仕事場が存在する地域、そしてその範囲は?、「株主」・・・?この「株主」とは結果として「利益」の恩恵を蒙る人々、とするならば、例えば幼児教育施設や学校教育施設における「株主」とは、どうやら子どもたちの親であり、ひいてはこの地球に住む我々全員、ということになります。なぜならこうした施設の「利益」とは藤森先生が再三仰る「子どもの最善の利益」ということになりますから。「子ども」=「顧客」たちがその「最善の利益」を享受するとは結果として私たち全員がその恩恵を蒙ることになる。これはどうやらわが子の子育てにも直結します。わが子が「共生と貢献」ができるように育てなければなりません。親の満足や充足感はそこからしか生まれて来ないと今日のブログを読みながら思いました。

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