クレド2

 経営理念やマニュアルの類とクレドとの違いを、新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中のもり・ひろし氏は、こう言っています
まず、クレドは、守るべき指針を「簡潔かつ具体的に」記していて、抽象的になりがちな経営理念とは異なっている点です。第2に、クレドは「指針」にすぎず、従業員は指針に基づき具体的行動を考えなければならないのです。この点が、行動そのものを規定するマニュアルと異なり、具体的行動を考えることが、従業員の自主性やモチベーションを引き出し、ひいては従業員としての誇りを形作ることになるのです。第3に「普遍性と柔軟性」を併せ持っています。クレドの基本的指針は不変ですが、具体的指針は時代によって変化するからです。
これは、保育園、幼稚園などに置き換えて考えてみるとよくわかります。第1の「簡潔かつ具体的に」というところですが、園にはよく理念が掲げられています、非常に抽象的というか、情緒的なものが多く、そのためにどう動くかが見えにくいことがあります。特に利益を追求しない組織ではより行動目標が見えにくくなります。たとえば、ドラッカーが「非営利組織の経営」という書物の中で書いているのですが、病院に掲げられている「健康を守ることが使命である」というのは間違っていると言います。というのは、病院は健康を扱うところではなく、病気を扱う所だからです。しかも、この使命では、病院が何をすべきなのか、どのような行為をすればいいのか、わかりにくいからです。その表現は、それに基づいて現実に動けるものでなければならず、そうでなければ、単なる意図の表明に終わってしまうというのです。その組織にかかわる一人ひとりが、目標を達成するために自分が貢献すべきことはこれだ、といえるようなものでなければならないのです。
第3の「普遍性と柔軟性」というのも大切です。私は、よく「不易と流行」をよく見極める目を持つべきだと主張しています。私の園で、先日職員のアンケートで、「園の理念に向かっていくための職員の資質として必要な力は何と思うか、三つあげなさい。」という問いに対して、「柔軟性」と答えた職員が一番多かったことになんだか納得しました。というのも、私もひとつに柔軟性を選んだからです。その柔軟性というのは、何に対してと職員は思っているのか聞いてみないとわかりませんが、私は、大きくいえば「時代の変化に対して」と、「子どもからの働きかけに対して」があると思います。しかし、そのためには、普遍的な基本的理念を持っていないといけないのです。
 このクレドが最近また注目を浴びているのは、世界の賓客を魅了し続ける5ツ星ホテル「ザ・リッツカールトン」が東京に初進出したときに、従業員が携行するクレドの存在があったからです。「ザ・リッツカールトン 東京」は、昨年3 月 30 日に六本木の防衛庁跡地の再開発計画によって建築された東京でいちばん高いビル、複合施設ミッドタウン・タワーの上層階にオープンしました。この紹介にも、「リッツ・カールトンの哲学を極めた、きめ細かなおもてなし。」と書かれてあります。
「タイレノール」事件を乗り越えた「J&J」のクレドや、従業員が常時携帯している「リッツ・カールトン」のクレドとは、どんなものなのでしょうか。