今、原因は定かではありませんが、餃子事件から農薬の問題が騒がれています。昨年は賞味期限が問題になっていますし、何年か前からO157などの菌が問題になっています。菌対策として農薬や薬品を使い、消費期限を延ばすために薬品を使い、輸入するために薬品を使い、それを落とすためにまた薬品を使い、何が、どの部分に対しての対策を練ることが人間の体にとってよいのかを、きちんと優先順位を決めていかないと、堂々巡りの気がします。
この問題は、何も日本とか、中国の問題ではなく、世界規模で話し合いをしていかなければならないでしょう。昨年10月にフランスからこんなニュースが流れました。環境グルネル会議でのサルコジ大統領のスピーチです。
農業について、4年以内に最も有害とされる約50種の殺虫剤を禁止すること、また、現在流布している殺虫剤の使用を半減させることなどを発表したのです。また、現在、全農地面の2%で行われている有機農業についても、10年までには6%、12年までは20%までに増やす目標を掲げるなど、具体的な数字を挙げました。しかし、有機農業といってもフランスでは、その農法によって細かく分類されています。殺虫剤などの化学物質を一切使用しない農法もあれば、減農薬で有機肥料を取り入れる農法、また、無肥料、無耕作、無除草を通す農法もあり、どの方法をとるかは農家の事情により千差万別ですし、土地の質、耕作している農作物の種類などによって収穫高が大幅に変わってくるため、有機農法を実践する各農家は、それぞれの目指す目標に向かって日夜試行錯誤を重ねているそうです。
しかし、どこの国でも同じで、課題は経済的な採算です。目標に掲げてあるように農地面積の20%を有機栽培に割り当てるためには、作物や土壌の研究を進め、農家が収支のバランスをとれるようにいなければなりませんが、その研究は誰がするのか、有機農業の促進のために投入する300万ユーロ(約50億円)の財政資金はどう工面するのかなどまだまだ課題が多いようです。
また、地産地消を行うために苦労する課題はどの国でも同じようです。それは、農家に嫁ぐ女性がいないことです。ドイツのお茶の間を釘付けにする番組が登場したそうです。そのタイトルは、ズバリ「農家の嫁探し」。2005年の第1シリーズからぐんぐんと視聴率を伸ばし、今秋スタートした第3シリーズで、とうとう月曜日の21時15分という超ゴールデンタイムに進出したようです。 この番組ではまず、「女性と知り合う機会がない」「付き合った女性にはことごとく農家の生活にしり込みをされた」などという女運にからきし恵まれない農家の独身男性が、番組で「ヨメに来ませんか」と呼びかけます。応募してきた女性がその男性の家で実験的に農家の暮らしを体験するなかで、互いに相性を確かめていくというものです。20%を超えるこの番組の高視聴率を支えているのは、旧東ドイツ地域の農村部なのだそうです。
農薬を使うこと、薬品を使うこと、安いものを使うこと、楽なことをすること、人の知恵の浅はかさで、快適を求めるあまりに、快楽を知ってしまったら、なかなか元に戻すのは大変です。
食べ物の問題を国や企業が語るとき、必ず経済の話とセットです。確かに経済の問題抜きでは語れないかもしれませんが、聞いていて違和感を感じます。少しでも安く、少しでも儲かるようにと考えることと、農薬を減らして安全な食品をと考えることは、相容れないことだと思っています。これから先のことを考えると、まずは日本の農家や食品を守るために、安さ・はやさ・量などを求める姿勢を見直すことから始めるのはどうでしょうか。今回の農薬問題がきっかけになればと思っているのですが、別の大きな事件が起きるとこの問題は忘れ去られてしまいそうなので心配です。
今まで、農薬に興味というか、あまり考えたことがありませんでした。保育という仕事に携わって子ども達の体の事を考えると野菜一つにしてもどれだけの農薬を使っているのか分からないのですね。たまに、健康食品のお店をよく見かけますが、店の野菜は全て「無農薬栽培」という言葉が書いてありました。しかし、その辺のスーパーに比べると値段はとても高く買おうという気がしませんが、自分の体の事を考えると安い買い物かもしれないのですね。
フランスのように国規模で農薬の対策などたてていく必要があるのですね。それによって、「元に戻る」可能性が出てくるかもしれない気がします。
中国製の冷凍食品の農薬事件の影響で、ずいぶん冷凍食品の売り上げが落ち込んでいるようです。当地は冷食大手の加ト吉の地元なので、地域経済への影響も心配されています。加ト吉はJTの支援を受けて再建中ですのでなおさら心配です。うちのすぐ近くの下請けの冷食会社も倒産してしまいました。安さや便利さを求める時代の流れに乗って急成長した冷食産業ですが、安易に外国の安い労働力に頼ったつけですかね。家庭での食育を考えると、この機会に親子で大いに手作り餃子を作るのもいいかもしれません。日本の食の在り方を見直すきっかけになればいいと思います。
私が勤める保育園では「不耕起栽培」によって育てられた「お米」が給食に出ます。この「不耕起栽培」の大変さを先日NHKの特集番組で知ることができました。何が大変かといって「草取り」が大変なのだそうです。そう言えば「不耕起栽培」稲作農家を支援するNPOが夏の時期に田植えや稲刈りとは別に「草取り」体験という企画をしました。そうした企画ができるほど雑草が繁茂することがよくわかります。テレビ報道された農家は脱サラで農業を始めた方です。「農薬」を使わない栽培方法を自ら実践するとともに元から住んでいる村の農家の皆さんにも勇気をもってその農法を知らせようとする姿勢に感銘を受けました。ところで「不耕起栽培」のお米は希少であるが故に消費者にとっては高値の花でした。東京のデパートで売られるそのお米は1キロ3千円弱。国産無農薬のものは値段が高いことが難点ですね。その値段の高さを克服できる価値意識を持ちたいものですが・・・。