幼児教育の経済効果

 もうすぐバレンタインデーです。森永製菓では、「父と娘のバレンタイン意識調査」をし、その結果が報告されています。その結果、「今年は、「友チョコ」に続き、「パパチョコ」ブーム!?」のようです。今回の調査では、お父さんは、誰よりも娘さんからの手作りチョコを望んでいるのですが、娘さんも、お父さんに手作りチョコを贈りたいと思っていることがわかりました。また、その結果、親子間でのバレンタインによる“経済効果”を浮き彫りになりました。
 娘が父親に贈るチョコレートの金額は、500円~1000円未満(38.7%)がもっとも多く、平均は827円です。それに対して、父親のホワイトデーのお返しでは、1000円~2000円未満(25.2%)がもっとも多いものの、その平均は3752円となっています。このやりとりによって、かなりの経済効果があるようです。
経済効果とは、あることをした場合に、それが経済に与える影響のことです。特に、その結果かなり損失する場合は、経済損失といわれ、政策などに影響します。ブログのなかで昨年の6月に経済効果ということで書いたものに、「喫煙による経済損失」というものがあります。その内訳は以下のとおりです。(厚生労働省所管の研究機関、医療経済研究機構の発表データ平成11年度)直接喫煙による本人や胎児への影響、及び受動喫煙から発生した医療費 は、1兆3086億円。(国民医療費の4.3%)直接喫煙によるもの1兆2936億円・妊婦の直接喫煙で胎児に影響した分は4億円・受動喫煙による罹患では146億円、喫煙関連疾患による労働力損失は直接喫煙で、5兆7216億円(死亡含む)、受動喫煙で、1144億円、喫煙による罹患で合計7兆1446億円の損失だといいます。
 この経済損失のデータで、興味あるデータが、ある書籍の中で白梅大学学長である汐見さんが紹介していました。
 「アメリカで90年代に入る頃から教育重視の施策が展開され、平行して幼児教育への関心が高まってきています。3歳児のグループに1年間だけ質の高い保育を受けさせ、家庭状況や知能指数などがまったく同一条件であるけれども、保育をまったく受けさせなかった別の3歳児のグループと、その後彼らが20歳になるまで追跡して比較調査した興味深い研究があります。それによれば、高校卒業率も大学入学率も、麻薬などの犯罪率も、たった1年間の保育を受けただけのグループのほうが、すべてよいという(犯罪率は低い)結果だったそうです。1年間の保育にかけた費用は、それを受けなかったグループのメンバーが犯した犯罪にかけた費用に比べて、うんと少ないということも明らかになりました。幼児教育に先行投資することは、経済的にもその後の無駄を大きく省く可能性があるというのです。そうした研究の影響もあって、1990年代の後半以降、アメリカでは「ヘッドスタート」という補償幼児教育への投資がうなぎのぼりに増えています。」
 この「ヘッドスタート」という言葉自体は、スマートで円滑な滑り出し、順調な出発を意味するもので、合衆国では長期にわたって継続されている国民的な就学援助のためのプログラムで、就学前に少なくともアルファベットが読めるように、10までの数が数えられるように、というのが目標です。
 将来をみて、いかに幼児教育が大切であるかを世界の各国では考え始めています。日本でも、乳幼児教育を、保護者の負担に負わせるのではなく、国の責任できちんと位置づけたほうが、経済効果はあると思うのですが。

幼児教育の経済効果” への7件のコメント

  1.  喫煙をするだけで、そんなに医療費がかかってしまい、さらには周りの人間や胎児にも影響を及ぼしてしまうとは本当に危険ですね。それなら、幼児教育にお金をかけた方がよっぽど得ですし、国の為にもなります。世界はどんどん先を行っているのに日本はどうして、こんなに行動が遅いのでしょうか?もっと世界を見るべきだと思います。二足歩行が出来るロボットを作る事や色々な発明をすることも重要かもしれませんが、それよりも日本の将来を担っていく人材を育成する事の方がよっぽど重要な気がします。

  2.  よく、タバコを吸われる方からタバコで税金を払っているのにという話をよく聞きます。でもこれだけの経済損失があるとなればそうも言ってはいられませんね。海外でのタバコを禁止にもっていく理由のひとつが経済損失だという記事を読んだことがあります。
     最近の国や地方の行政は、短期的な視点の施策が目立ちます。特に地方はそうです。教育は将来への投資ですよね。今のままでは、子ども達の将来が見えてきません。
     

  3. ●さすがアメリカと言うべきか、長期で壮大な調査・研究をしているのですね。そして、それに基づいて教育計画を立てているのですね●日本では、そんな調査・研究はしていないのでしょうか(していても、官庁の意図する結果でないから、隠していているんですかね。『最近、いろいろあったことから、つい邪推してしまいます』●以前、“母親神話はなかった”ということだったか、子どもが幼児の時、母親が就労することに子どもへの影響はなかった、という調査結果は新聞で読んだことはありますが…●国として幼児教育の計画を立てるとき、現在の現象面の解消策だげには、してほしくないですね(それはそのまま、私たちに帰ってくる言葉ですが)。

  4. 経済効果という言葉はよく耳にしますが￿￿
    日常生活の中で、自分の生活や行動がどのように経済効果を生んでいるかということは意識の範囲外です。
    そもそもきっと、無意識の領域で起こす行動の方が大きな経済効果につながるのでは?とも思います。
    バレンタインで娘が父に送るという行為も、手作りをあげたいという気持ちも
    無意識に娘が父を思う気持ちから出ているんでしょうね。
    きっとそこにお返しに対する期待はないはず。
    きっと…いや、たぶん。
    …ちょっとはあるかもしれないけれど。

  5. こういう研究はいかにもアメリカという感じですが、データをもとに方向を考えるという発想は今の日本にこそ必要だと思います。それでも簡単には変わっていかないのが今の日本かも知れませんが。日本の乳幼児教育が世界と同じ方向に進んでいけるようにするために自分にできることは、とにかく実践し続けることくらいしか思いつきません。子どもたちのために、今はそれをしつこくやっていこうと思っています。

  6. 先日、ある公立の園長先生が話していたことですが、今この町の行政を預かる人にとっては、幼児教育はまさしく「就学前教育」であって、極論すれば、それは幼稚園にしか存在しない。保育所はせいぜい託児所程度の認識しかないというのです。だから、保育所には親の就労支援しか求めない。子供たちの育ちを保障するという大切な機能を持っていることを理解していない。なんという時代錯誤かと嘆いておりました。PISA世界一のフィンランドといい、「ヘッドスタート」という取り組みを始めたアメリカといい、幼児教育の分野でも世界は日本のはるか先を行っていることを実感します。このままでは日本の未来が極めて危うい予感がします。

  7. 先日、研修で久々にあった園長先生が「タバコを買うのをやめました」と仰っておられました。3年ぶりの再会でしたが、3年前はタバコを辞める気配は微塵もなかったと思います。藤森先生の影響だと告白していました。同じく先日、AP通信が世界保健機構木曜日発行レポートとして次のことを発表しました。いわく、Tobacco epidemic。“epidemic”すなわち「感染症」ということです。タバコは感染症であるとWHOは発表しているのです。そして同報告によると20世紀にはタバコが原因とみられる死亡者数が1億人で、21世紀には10億人に達するとしています。今日のブログで紹介された「経済損失」と合わせて考えると21世紀におけるタバコ感染症による経済損失は計り知れないものとなるでしょう。タバコは200害あっても1利なし。今更ながら、タバコ、辞めてよかったと思う今日この頃です。

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