日新公いろは歌3

 最近、どうも子どもたちは人と関わる力が不足してきている気がします。これには、少子社会という環境の中で生活していることが大きな原因だと思います。しかし、人は、何か物事をなすときに、人と関わらずを得ません。ですから、今、教育の中で子どもたちに必要とされる力のひとつとして、コミュニケーション能力があるのです。これは、何も人と会話をするだけでなく、他人から学ぶときでも、他人とともに何かを作り上げるときでも、人と関わる力が必要になってくるのです。
 郷中教育は、年上が年下を教育していくという意年齢児集団による教育システムでした。ですから、当然人と関わる力が必要になってきます。ですから、「日新公のいろは歌」では、人と関わるうえでの心得を歌ったものが多くあります。
「に」「似たるこそ 友としよければ 交らば われにます人 おとなしき人」
人は似たもの同士は、気が合うので、すぐに仲良くなって友達として付き合います。しかし、自分にないものを持った人、一見気が会わない人と友達になると、世界は広がり、自分にとっては学ぶことも多くあります。と教えます。どうしても、人は気が合わない人、意見が合わない人がいるものです。そんな人を避けていては、視野が広くなりません。いろいろな人を知ることもとても意味あることなのです。同じような歌が、「て」にあります。
「て」「敵となる 人こそは わが師匠ぞと おもいかえして 身をもたしなめ」
嫌いな人や敵と思える人ほど自分の先生であると思いなさい。その人の中にも学ぶべきものが必ずありますということも、自分の好き嫌いではなく、大局に立って人と付き合うことの重要さを教えています。
「と」「科ありて 人を斬るとも 軽くすな いかす刀も ただ一つなり」
もし人が悪いことをしたときに、その人をすぐに切り捨てたり、軽々しく罰したりしないようにしなさい。もう一度チャンスを与え、その人を生かすことを考えることです。人は、人の失敗や間違いをすぐに非難したり責めます。しかし、そこには何も建設的な事柄は生まれてきません。その人をどう生かすことができるかということを、改めて考えてみることもひとつの方法です。
「る」「流通すと 貴人や君が 物語り はじめて聞ける 顔もちぞよき」
目上の人の話は、たとえ自分がよく知っていることであっても、すでに知っていることでも、知っているということを顔に出さずに、初めて聞くような態度で聞いたほうがよいと言います。これは、目上の人への礼儀でもあるのですが、私はそうではなく、「そんなもの知っている」と聞き流してしまうと、大事なことが含まれていることがあるときや、もっと深く知るべきことが含まれていることに気がつかなくなると思います。また、自分が知っていることを再度聞くことによって、自分の知識や情報の確認をしていくことができるのです。
「わ」「私を捨てて 君にし 向わねば うらみも起こり 述懐もあり」
 私心を捨てて、人と向き合い、素直に人の話をよく聞かないで、自分のことばかり考えていると、心の中が不満だらけになってしまいます。
「よ」「善きあしき人の上にて身を磨け 友はかがみとなるものぞかし」
良いことも悪いことも、周りの人の姿に置き換えて自分の身を磨きましょう。友は自分を映し出してくれる鏡のようなものです。
「れ」「礼するは 人にするかは 人をまた さぐるは人を さぐるものかは」
人に対し礼儀正しくしていると、いずれ自分に返って来ますし、人を疑ったり、馬鹿にするのも同じことで、総て自分に返ってきます。

日新公いろは歌3” への4件のコメント

  1.  確かに今の子どもは少子化のせいで人と関わる事をしていないと思います。むしろ社会がそのような流れになってきているのでしょうか?遊びにしても、一人で遊べるようなものがばかりある気がします。私達保育士は、子ども達が人との関わりが出来るような遊びを提案したり、環境を構成する必要があると思います。郷中教育の教えも、まずは人との付き合い方が書いてあります。やはり、郷中教育に限らず昔の教えというものは人との関わりをとても大事にしているのだなと思いました。この「日新公のいろは歌」の教えは今の世の中にはとても必要な事だと私は思います。

  2. 人と関わることは、子ども大人関係なく、自分を高めることにつながるんですね。どんな人と関わるか、どんな関わり方をするか、全て自分のためと考えると、一つもおろそかにはできません。「日新公いろは歌」の一つひとつが自分の行動を見直すいいきっかけになります。子どもたちに人と関わる力をつけてもらいたいと思うのであれば、まずは自分の関わり方を磨かなければいけないと思いました。日新公いろは歌、とてもいいものを紹介してもらいました。

  3. どちらかというと、人との付き合い方が器用なほうではないので、今日のいろは歌の教訓は耳が痛いですね(笑)。子供たちに人と関わる力を身につけさせましょうと言うまえに、自分が範を示さないといけません。人より高い境涯で接していかないと、ついつい感情に支配されてしまうのが凡夫の常ですね。気をつけたいものです。『我以外、皆我が師』と言ったのは吉川英治ですが、どんな人との出会いにも自分の人生にとって意味のないものはないと肝に銘じていこうと思います。いろは歌のことを教えていただいてありがとうございました。

  4. OECDのPISA学力調査によれば、日本の学生の「読解力」順位が年々下がって来ているようです。乳幼児が「文字」などの言語や表現能力を獲得していくのは、文字に限らない「読解力」を身に着けていくためでしょうし、そしてこのことが重要なのですが、「コミュニケーション能力」を醸成するためでしょう。PISA学力調査「読解力」順位低下は「コミュニケーション能力」の低下と捉えるべきだと考えます。さて、今日のブログの「いろは歌」、これは実に示唆が多い。子どもたちの将来を保障しなければならない大人の1人として反省しきりです。今の子どもたちの姿は私たち大人の反映でしょう。こうした「いろは歌」に触れる機会が青年期になかった不幸。まぁ、過去を嘆いても始まりません。これから「日新公いろは歌」から学んだことを「意識」しながら仕事をしていきたいと思いました。

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