島根では、石を効果的に配して、米国の庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」(JOJG)で「2007年日本庭園ランキング」において5年連続で「庭園日本一」に選ばれた庭園を見てきました。ちなみに、5位 無鄰菴(京都府)、4位 栗林公園(香川県)、3位 山本亭(東京都)、2位 桂離宮(京都府)、そして、今回見学した1位 足立美術館(島根県)です。
この美術館は、横山大観の所蔵でも知られていますが、それ以上に庭園は、収蔵品の観賞を深めるために造られ、その広さは1万3千坪にも及んでいます。窓から見える景色は、窓枠を額縁、衝立、掛け軸に見立てられています。玄関から歩を進めて行くと、正面には、これから訪れるであろう主庭の枯山水へと続く長い白砂が目に入ります。
そして、次に見えてくる庭は、桂離宮にある「松琴亭」に因んで建てられ、裏千家の十五代家元、千宗室氏によって命名された茶室「寿立庵」へと続いている茶庭です。
次に見える「苔庭」は、京都の庭師、故小島佐一翁によるもので、杉苔と赤松を中心に組み合わせてつくられた京風の雅な庭園です。苔庭の赤松はすべてが斜めに植裁されています。これは山の斜面に生まれ、成長してきたものを平坦な場所に垂直に植えることは、樹木にとってかなりの苦痛になる、という考えによるものです。また、苔庭の苔が樹木の葉から落ちる雨水により傷つかないように枝振りにあわせて、園内で焼かれた炭を埋めてあります。
いよいよ、この美術館の主庭の枯山水庭です。この庭は、京都の「退蔵院」の枯山水庭、大阪府堺市の「大仙公園」の日本庭園の作庭で知られる、故中根金作氏によるものだそうです。画面中央に配置されている三つの立石は、峻厳なる山をあらわし、そこから注ぎ込まれた水が渓流となり、大河となって流れ行く様を、枯山水という伝統的な手法をもちいて表現しています。遠くに見える山は勝山という名で、16世紀半ば、毛利と尼子の合戦で、毛利氏が本陣を張った山です。
窓から遠景に滝が見え、水の流れと池を中央にして、白砂の丘陵には、左に赤松、右に黒松が植えられています。この庭の石は、鳥取の佐治石や、四国の青石が使われていて、一番当初の造園であるためか、今では貴重な名石ぞろいだそうです。石組みは、桃山時代の武将の庭に見られるような力強く、豪快で華麗なものになっています。
次に、鯉が群れ遊ぶ「池庭」は、和風の庭と周囲の洋風的な建物との調和を考えた、和洋折衷の新しい感覚で作られています。
そして、「白砂青松の庭」です。白砂海岸に大小の青松がリズミカルに配置されています。この庭園は、横山大観の名作、白沙青松の持つ清澄なイメージを表現したものです。
71歳の時、郷土への恩返しと島根県の文化発展の一助になればという思いで、財団法人足立美術館を創設した足立全康は、小学校卒業後すぐに、生家の農業を手伝い、14歳の時、大八車で木炭を運搬する仕事につき、その後紆余曲折、様々の事業を興し、戦後は大阪で繊維問屋、不動産関係などの事業を起こします。そして、幼少の頃より興味をもっていた日本画を収集して、この美術館を創設するのです。
日本の美を、一途な思いで伝えています。
本当に素晴らしい光景ですね。さすが5年連続「庭園日本一」を取るだけの日本庭園です。どの写真にも石があり、その存在感はさすがですね。最近、ブログが「石」について書かれているので、つい意識してしまうのも多少はあるかもしれませんが…。しかし、その石に劣らず、その周りにある緑もいいですね。全てがちゃんと計算されて植えてあり、それが全ての人を感動させるから日本一に選ばれるのかな?と思います。一度でいいので、日本人としてこの日本一の庭園は訪れてみたい場所になりました。
素晴らしい風景の写真をありがとうございます。写真を見ているだけでも爽やかなきもちになります。斜めに育ってきた木が平らな場所に植えられるのは苦痛に感じると考えたりと、配置されているもの一つ一つに丁寧に思いが込められていることなどはとても勉強になりました。
この美術館のある町は文化を残そう、伝えようという思いが強く感じられるところで、行くたびに刺激を受けます。日本一の庭園を伝え続ける思いが多くの人の心を動かしているようにも思えます。一途な思いに触れ、そこから自分自身も多くの学びを得たいと思います。
●庭、大変興味をもつています。ここ数日の先生のブログや、皆さんのコメントをしっかり読んでみようと思います。
だいぶ前に、足立美術館に行ったことがあります。ともかく広大な敷地全体が日本庭園といった感じで、そのスケールの大きさに圧倒された覚えがあります。背景の山々を借景としてうまく取り入れて、どちらを見ても一幅の山水画のような趣でした。今日のブログで足立全康の郷土を思ういちずな思いの結晶で作られたことを初めて知りました。人は誰でも自分が生きてきた証を残したいと願うものですね。果たして、私は何をこの郷土に残せるのか、せめて幼児教育の世界に小さな足跡を残してみたいと思います。
掲載写真を観て、思わず魅了された証しとしての溜息が次から次へと出て行きます。なんとも素晴らしい庭園です。今日のブログで紹介されている「足立美術館」の存在はある人の講演によって聴き知っていました。もっとも最初は「足立」の名から東京の足立区にある美術館、と誤解していたのですが、京都大阪からの観光客が足立美術館を観た後境港あたりでカニを食べるツアーコースがある、ことがわかり同美術館が島根県に存在することを理解できました。その後、足立美術館のことを雑誌や何かで知るにつけ、いつかは是非訪ねたい、と思っておりました。日本画の収蔵品はブログでも紹介されていた横山大観を始めとても充実しているようです。そして見事な庭園はますます同地への旅情をかき立てます。家族旅行の行き先として考えてみようかと思います。