アンカー2

 アンカーが描いた「よく遊べ、よく学べ」について、どのような考えを持っていたのでしょうか。「最初に子どもの視点から教育を考えたのはルソーであった。子ども時代というものが、独立した人生の一時期であり、それ自体で価値あるものとしてみなされたのである。ペスタロッツィ社会に、とりわけ教育をほどこす母親と教師たちに、子どもの発達と年齢にあった玩具に対する関心を惹き起し、子どもの遊びを教育的な見地から評価した。ドイツの教育改革論者フードリヒ・フレーベルは尊敬するペスタロッツィに学ぶためにスイスを訪れ、その後1840年に世界最初のキンダーガルテンと呼ばれるようになる幼児学園を設立したり、幾何学的な積み木をも考案した。これはアルベール・アンカーが1894年に描いた「託児所」で就学全の児童がまさしく遊んでいる玩具である。
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その教育理念とは、子どもに既成の遊具ではなく、その子どもの素質に適合した、創造的かつ活動的に遊ぶことができるような「素材」を与えるのがふさわしいというものであった。アンカーは、子どもは遊びを通じて自分を取り巻く世界というものに慣れ、その一員となっていくことができるという、フレーベルと同じ考えを持っていた。」
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 アンカーは、「子どもの生まれた日から」と題する、子どもたちの詳細な観察に基づくエッセイを執筆し、自らの意見を表明しています。この中で彼は、乳飲み子がまず何でもない遊びによって自分の手を発見し、はじめは自分の意思でコントロールできないものと認識するのですが、ついにそれが自分のものであることに気づくまでを描写しています。
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 「小さな子どもというものは、自分の手が自由に物を動かすことができ、また様々な手触りを感じたり何か振舞ったりできるものであることを体得し、このような経験から子どもは自身の人格と周囲の世界との境界を学び始めるのである。遊具とは、ごく素朴なものであってさえ、子どもに楽しみながら独創的な行動を起こすきっかけを与え、感受性を目覚めさせるものなのだ。手に握ったガラガラを喜ぶ小さな子どもから、集団で競う遊びに興ずる少年少女まで、彼は子どもの発達段階に応じた遊戯を持たせて描くのである。」とカタログに書かれています。
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よく言われていますが、「遊び」の目的は、世界を学び、そして経験を増やすことであり、それは、子どもたちは、見たり、感じたり、しながら世界を広げていき、しだいに転がしたり、触ったり、投げたり、ものを口に入れたりすることで世界を切り開き、学び始めるのです。ですから子どもたちの活動は、遊びであり、物事を学ぶのに最適な方法であり、すなわち「よく遊び、よく学べ」というのは、いっぱい遊んで、そのあとで勉強しなさいということではなく、いっぱい遊ぶことが、いっぱい学んでいることになるということで、いわゆる大人の慰安としての遊びの要素と少しちがうのです。そして、玩具とよばれる子どもたちの遊びの道具は、子どもたちに想像力を養いながら学び、使い、管理、創造、発明するための大切な手段です。ですから、成長の手助けをする玩具の選定のために、大人たちは、子どもたちの発達をよく理解し、それを環境として用意しなければならないのです。
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 そんなことがアンカーの絵画からも感じることができました。
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アンカー2” への4件のコメント

  1. 「よく遊び、よく学べ」の意味、子どもにとっての玩具の意味、そして玩具を用意するときの考え方、大切なことを再確認させてもらいました。それにしても、手を発見してから自分の手だと気づくまで描写しているというのは驚きました。丁寧な観察から発達を理解し、何を与えるべきかをきちんとつかんでいたんでしょうね。アンカーの作品からいろんなことを学ばせてもらいました。機会があればゆっくり見てみたい作品です。

  2. 子供たちの遊びの情景をこれほど生き生きと描写した絵を見たことがありません。アルベルト・アンカー、こんな素晴らしい画家がいたんですね。臥竜塾ブログは本当にいろいろなことを教えてくれます。じっと眺めていると、彼の絵は実にさまざまなことを語りかけてきます。子供が子供本来の姿を見せるのは、子どもたち同士の屈託のない語らいであったり、遊びに夢中になっている時であったり、何より周りの大人から愛されていることを実感できるからにほかならないのだと思います。テレビで、繁華街で大声でわめき散らしながら、刃物を振り回した少年の映像が流れていましたが、日本の幼児教育はアンカーの時代からいったいどれほど進歩しているのだろうかと考え込んでしました。

  3.  アンカーの描く子どもの絵は、本当に素晴らしいですね。いかに子どもが遊びに集中しているかが分かります。結局そのような絵が書けるのも子どもが遊びに集中できるような環境があるからなのですね。子どもにとっての「遊び」というのは勉強なのですね。それによって成長するのですから、大人はいかに子どもの成長を援助するような環境設定が必要なのですね。来年度になる前に子どもの成長をしっかりと理解して環境設定をしなければいけないと思いました。

  4. 子どもを描いたアンカーの絵画、とても温かみと温もりを感じさせられます。そして、遊びに夢中になる子どもたちの姿を斯くも生き生きと描いている作品にそう易々とはお目にかかれない気がします。環境を設定すれば子どもたちは自らの力で遊び学ぶのである、ということが良くわかります。日本の乳幼児教育環境を振り返ると、とにかくモノがすくないことに気づきます。「モノ」にお金をかけるより、子どもをみる「保育者」にお金をかけたほうがいい、という理屈なのでしょうか。今回紹介されているアンカーの絵を観るだけで「積み木」「パペット」「あや取り」「シャボン玉」「ミニチュアセット」と遊ぶモノの豊富さをアピールしているかのようです。アンカー展は1月20日までです。是非、往って見たいものです。

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