古くて新しい1

 昨年、経済効果が著しくあった場所は、宮崎県でしょうね。知事が代わってどうなるかと思ったのですが、今のところ町おこしとしてはよい効果が出ているようです。そのほか、意外と経済効果が大きかった取り組みが、今年の1月に発表されていましたが、彦根市で昨年開かれた「国宝・彦根城築城400年祭」です。まだ、中間報告しか出ていませんが、約8カ月の期間中に同市を訪れた「入り込み客数」は2,432,000人で、市内で使われた「観光消費額」を170億円と推計しています。地方都市でも、企画のよっては随分と人が訪れるようです。このなかで、土産購入額に占める割合が、宿泊客の平均47.1%、日帰り客の35.1%と高い人気があったのが、あの話題のイメージキャラクター「ひこにゃん」のグッズだそうです。この「ひこにゃん」に会ってきました。
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「ひこにゃん」は、井伊家由来の赤備えの兜をかぶった猫をモデルとしています。この「ひこにゃん」は、キャラクターを使用する際に通常必要な著作権使用料を無料の許可制にすることで個人・企業を問わず広く参加でき、築城400年祭を盛り上げる効果を狙った新しい試みです。著作権使用料を無料にすることで小規模企業を含めた様々な企業が参加し、イベントを通じて街の活性化をはかる試みとして経済界からも注目されました。今年の年賀状が「ひこにゃん」が住民登録している彦根城あてに100通以上寄せられたそうです。差出人の9割が県外だったということは、町おこしとしての成功を思わせます。
なぜ猫かというと、意外なことがわかります。東京の小田急線の駅に豪徳寺という駅があります。ここは、1633年に彦根藩2代目藩主の井伊直孝が井伊氏の菩提寺として伽藍を創建し整備したてらです。ですから、江戸城桜田門外で暗殺された井伊直弼は当寺に葬られていますし、その墓のそばには、桜田殉難八士之碑や、墓守として一生を当寺で終えた遠城謙道の墓塔もあります。以前ここを訪れたときに初めて知ったのは、その墓の創建が井伊家であるということと、「招き猫」の発祥の地として、大きな招き猫があったことです。それは、どうしてかというと、井伊直孝がにわか雨にあって大木の下で雨宿りをしていた際に、手招きをする白猫を見て近寄ったところ、その大木に落雷があって、危ういところで雷から逃れたということで、直孝はこの猫に感謝し、福を呼ぶ寺として豪徳寺を井伊氏の菩提寺としたのです。この白猫の伝説から、井伊家の居城であった彦根城のキャラクターとして猫が選ばれたのです。
 この彦根城が、人気があるのは、決して「ねこにゃん」だけのおかげではありません。この彦根城の歴史にも関係があります。築城は、将軍徳川家康公の命により佐和山城を一掃するために着工され、天守は大津城から、天秤櫓は長浜城から移築され、天守閣は2年足らずで完成しましたが、結局、20年の歳月をかけて築城されています。近世の城で天守閣が残っているのは、弘前、松本、犬山、丸岡、彦根、姫路、備中松山、松江、丸亀、松山、宇和島、高知の12城。このうち、松本、犬山、彦根、姫路の4城の天守は国宝で、とても美しい姿を残しています。
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 しかし、この彦根が、400年祭が終わったあとでも人気があるのは、他におおきな取り組みがあるからです。この取り組みが、古いものを進化させ、新しいものを生み出したひとつの例です。(つづく)