漢字

 「震・食・倒・毒・末・金・戦・帰・虎・災・愛・命」この漢字を見て、何を思い浮かべるでしょうか。すぐに思い当たる人もいるでしょうが、1995年から2006年までの「今年の漢字」です。それは、その年の事件史でもあります。というのは、財団法人日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字一字の公募を日本全国より行い、その中で最も応募数の多かった漢字一字を、その年の世相を表す漢字として発表しているからです。
また、発表に仕方もインパクトがありますね。毎年12月12日の「漢字の日」に京都府京都市東山区の清水寺の奥の院で、貫主により巨大な半紙に漢字一字が、その場でテレビ中継もされている中、面前で一気に書き上げられます。それを見ていて、いつももし失敗したり、下手な字になったり、墨がたれてしまったりしたらどうするのだろうと心配になってしまいます。そして、あの書き上げられた字は、その後、本尊の千手観世音菩薩に奉納さているそうです。
その年を、漢字一文字で表すというのは、面白い企画ですね。今年は、「偽」ですが、それにまつわるニュースは多かったですが、そんな時代だからこそ、その中でも明るい話題を表す漢字を選んでもらいたいですね。一文字というところがいいのでしょうが、その漢字だけでは意味はいろいろに取られてしまいがちですね。今年の「偽」という字にしても、もちろん食品の賞味期限や年金などさまざまな分野でごまかしと隠ぺいが明らかになったことを反映しているのですが、もともとは、「人が他人のふりをする」というのが原義です。また、1字ですと、何でその字なのかが思い出せない場合が多いような気がします。たとえば、昨年の「命」でも、「悠仁親王の誕生」はわかるのですが、「小学生、中学生の自殺多発」「北朝鮮の核実験」「臓器移植事件」「医師不足」などによる命の不安というのは思い出せませんでした。良い思い出は心に残るのですが、悪いことは本能的に忘れようとするのかもしれませんね。
しかし、選ばれる漢字は、悪いことを象徴しています。過去13年の中で、よいことだけを表したのは、まず、2000年の「金」です。シドニーオリンピックで、女子柔道の田村亮子、女子フルマラソンの高橋尚子が金メダルを取ったのとか、金大中と金正日による初の南北首脳会談を行ったということからです。長寿姉妹のきんさんぎんさんの成田きんが逝去したのも関係しているようです。また、2005年の「愛」は、愛知県で愛・地球博の開催されたということとか、紀宮清子内親王と黒田慶樹氏が結婚したとか、卓球の福原愛の中国での活躍したことなど、「あいちゃん」という愛称の女性の活躍が目立ったことのようでした。
 そのほかに、世相を現すものに、第一生命保険の「サラリーマン川柳」がありますが、今年の発表は来年2月ですので、昨年の1、2位の作品を紹介します。「脳年齢 年金すでに もらえます」「このオレに あたたかいのは 便座だけ」また、住友生命保険の「創作四字熟語」があります。その最優秀作品から3篇紹介します。賛成多数をもじって「産生産声」(出生率が6年ぶりに上昇。たくさんの産声におめでとう!)画竜点睛をもじって「我竜天制」(落合オレ流野球で中日ドラゴンズ53年ぶり日本シリーズ制覇)意志薄弱をもじって「医師薄寂」(医師不足による急患問題)
現代の日本の世相を反映する一つの指標として振り返ってみると面白いかもしれません。