過保護

 今年は随分と風邪が早くはやっているようですね。特にインフルエンザが猛威を振るっています。最近、携帯電話を始め、様々なものが急激な進化を遂げ、科学的な解明や脳科学などの研究も進む中で、どうも風邪のウイルスも急激な進化を遂げているようです。どうも、いたちごっこですね。風邪には、化学的解決の研究と同時に、自らの力を見直し、その力をつけることもしないといけないようです。しかし、最近の少子化を受けて、子どもを大切に思う余りに、かえって子ども自ら乗り越える力を奪ってしまうことがあるようです。によって養生訓という、江戸時代、健康な生活の暮し方についての解説を書いた儒学者貝原益軒が、「和俗童子訓」という教育論を書いています。これは、養生訓に先駆けること3年、彼が81歳の1710年に執筆されており、日本で最初の体系的な教育書といわれています。儒学者である彼は儒教の子育て感の影響を強く受けており、江戸時代の教育機関である寺子屋での教育に強い影響を与えたとされています。その中にこんな文があります。「凡そ小児を育つるに、初生より愛を過すべからず。愛すぐれば、かへりて、児をそこなふ。」これは、子どもを育てるときには、生まれてからすぐでも余り可愛がりすぎてはいけない。もし、可愛がりすぎると、良かれと思っても返って子どもをダメにしてしまうと言っています。どうしてそういうことが言えるのかの具体例をそのあとに挙げています。「衣服をあつくし、乳食にあかしむれば、必ず病多し。衣をうすくし、食をすくなくすれば、病すくなし。富貴の家の子は、病多くして身よはく、貧賎の家の子は、病すくなくして身つよきを以って、其故を知るべし。」寒いだろうと思って余りに厚着をさせたり、お腹がすくだろうとたくさんの乳を与えたり、たくさん食べさせたりすると、病気になりやすくなってしまうものだ。薄着にさせ、食事も少なめにすれば、病気になることは少なくなる。それは、とかく金持ちの子は病気がちになることが多く、貧賤の家の子は病気になりにくく、体が強いということからもそのことがわかる。と言っています。このような過保護な親が、今の少子時代だけでなく、江戸時代でもいたのですね。貝原益軒は、そのことを古から言われていることを例に出しています。「凡そ小児を安からしむるには、三分の餌と寒とをお(帯)ぶべし」そのあとで、この言葉の解説をしています。「三分とは、十の内三分を云。此こころは、すこしはう(飢)やし、少はひやすがよし、となり」これは、簡単に言うと、少しは空腹にしたり、少しは寒さいくらいにしたほうがよいということです。子どもがお腹がすいたといえばすぐにお菓子などを与えたり、寒いといえば暖房をすぐにつけたり、暑いと言えば暖房を入れてしまい、鳥肌を立たせ寒さに対抗したり、汗をかいて体を冷やしたりする自らの力を奪ってしまっているのです。そんなことを世間の人は知らずに、子どものためと思って、返って子どものためでないことをしていると警告しています。「天気善き時は、おりおり外にいだして風・日にあたらしむべし。かくのごとくすれば、はだえ堅く、血気づよく成て、風寒に感ぜず。風・日にあたらざれば、はだへもろくして、風寒に感じやすく、わづらひおほし。小児のやしなひの法を、かしづき育つるものに、よく云きかせ、教えて心得しむべし。」厚着をさせるよりは、天気のよいときには時々外に出し、風や日光に当たらせれば、血気が強くなり、風や寒さに強くなり、皮膚は丈夫になると言います。「子どもは風の子」ともう一度言えるようにしたいですね。