教育優先

先日の新聞記事に、「家計支出に占める子育て費の割合「エンゼル係数」が2007年に26・2%にとどまったことが、野村証券の調査で分かった。」という記事が掲載されていました。エンゼル係数とは、エンゲル係数にひっかけた語句で、一家のひと月の家計の中で子どもに費やした、学校や塾の授業料、子供の衣食住、病院、レジャーの費用、子どもに与える小遣い、将来のための学費貯金、子ども保険など、子どもに関係する費用全てが総支出に占める割合を指す言葉です。この数字は、1991年に現在の形で調査を始めて以来の最低水準で、1993年の33・4%をピークに下落が続いています。同証券は「少子化に加え、年収の二極化で低所得者層が子育て費を引き締めたため」と分析しています。しかし、景気低迷が原因であることもあるでしょうが、子どもに使う費用の優先順位が、生活の中で下がってきているということもいえるような気がします。子どもにかける費用は、将来への投資です。しかし、次第に、投資に対する見返りの見込みが少なくなってきたということと、今現在にお金を使うということも優先して、先を見る力の欠如に関係するような気もします。しかし、これが嘆かわしいと思うよりも、もっと嘆かわしいデータが、やはり先日の11月6日の新聞に掲載されていました。それは、経済協力開発機構(OECD)は先頃、2007(平成19)年版の『図表で見る教育』を発表した結果についてです。この中で日本が教育にお金をかける「公的支出」の割合は、国内総生産(GDP)比で見ても非常に低いことがわかったのです。これは、以前から言われていることですので、また、今回の調査でもそうだったかという印象です。OECDといえば、ここのところ、昨年に57カ国の15歳を対象に実施した「生徒の学習到達度調査」(PISA)で、日本の高校1年生が前回に比べて、読解力が14位から15位、数学的リテラシー(活用力)が6位から10位、科学的活用力が2位から6位になり、実施3分野すべてで順位が低下したことが話題になっています。それよりも驚くのは、教育にお金をかける「公的支出」の割合です。OECDの加盟国30カ国のなかで、2004(平成16)年度のGDPに占める公的な教育支出の割合は、日本が3.5%で、ギリシャに次いで下から2番目なのです。保護者が払う授業など「私的負担」を加えても4.8%で、下から5番目です。随分と低いですね。学力がトップのフィンランドは、 現在、6.1%です。GDP に占める高等教育への財政支出は、もっとひどいものです。アメリカが1.2%、イギリス0.8%、ドイツ1.0%に対して、日本は、なんと0.4%で、欧米の半分に満ちません。ちなみに、大学にかかるお金(2005年)は、日本では817,800円(国立大学の初年度納付金)かかるのにたいして、ドイツでは、18,100円(社会保険・福祉会計費など。授業料・入学金はなし)ですみます。しかし、政府は、単純に増やすことには危惧しています。6月に財政制度等審議会(財政審)が出した来年度予算に対する建議では、「教育予算の対GDP比のみを以て、その多寡を議論するのは適当ではない」と指摘しています。その根拠は、1989(平成元)年以降、小・中学生1人当たりの公教育支出は1.5倍以上に増えているのにもかかわらず、「学力低下」に代表されるように、教育の問題はむしろ深刻化しているではないか、というものです。確かに金額ではない気がします。しかし、最近の政府の無駄遣いのニュースを見るたびに、もっと、教育を優先的に考えてほしいと思ってしまいます。