授業のリーダー2

 学校での授業中のリーダーは誰でしょうか。それは教師です。もちろん主役は子どもですが、その子どもを導き、学力をつける援助をするのは教師ですから当然です。しかし、そのリーダーのあり方が近年変わってきているのです。かつてのリーダーは、みんなの前に立ち、みんなを引っ張っていくというものでした。企業でもリーダーという考え方が変わってきています。最近話題の書籍に「ヒトデはクモよりなぜ強い」(オリ・ブラフマン、ロッド・A・ベックストローム著)があります。とても意表をつく題名ですが、内容は、「ナップスター、オープンソース開発者、アル・カイダに共通するものとは何か?それは、リーダーがいない分権型の組織であり、強靭な生命力で拡大を続け、社会に大きな影響を与えたことである。」というものです。サブタイトルとして、「21世紀はリーダーなき組織が勝つ」と書かれています。本書ではそのような組織を「ヒトデ」にたとえています。ヒトデは、真っ二つに切られても、死なずに分裂して2匹のヒトデになります。21世紀に生き残るためには、このヒトデにならなければならないといいます。「従来型のトップダウン構造をもつ「クモ型」の組織には、勝ち目はないのだ。ヒトデの要素を取り入れた、アマゾン、eBay、トヨタといった勝ち組に戦略を学ぶ、斬新な視点の経営組織論。」と解説に書かれています。企業と教育とは少しちがいますが、あとがきに訳者である糸井恵さんがこう書いています。「翻訳をすすめるうちに、ビジネスにおけるヒントに加え、人間性についての深い洞察があることに感心させられた。権限を分散するためには、組織を構成するメンバーへの信頼が必要だ。」最後に「強いリーダーシップだけでなく、適度な分権を取り入れること、つまり、人を信頼することが、これからの勝ち組における条件の一つかもしれない。」と結んでいます。よく私は、「見守る保育」「見守る育児」ということを言いますが、これは、子どもを信じること、子どもの存在を信じ、子ども自ら伸びようとする力を持っているということを信じることから始まると思っています。かつて、子どもはなにも知らない存在だ、何もできない存在だということで、教えてあげよう、やってあげようとしました。また、そんな存在ゆえに、大人と子どもの関係を強固にしようとし、子ども自らの活動、子ども同士の関わりは、その次にされていました。そのために大人は、子どもにとって強いリーダーである必要があったのです。イエナプラン教育では、教師と生徒との関係を、ひとつの社会として見ています。大人と子どもの社会としてみているということで、先生が前に立って生徒との関係に懸隔を保って授業をする、という場面をなるべく避けようとしています。これは他のオルタナティブスクールにも言えることのようです。ですから、低学年の教室は、ひとクラスの部屋の中に創造的な活動、積み木とか工作をするような「創造コーナー」、それから人形をなどを置いてロールプレイをする「お人形コーナー」、それから理科の教材とか資料集を置いて自分のプロジェクトに従って資料を探す「資料コーナー」、クッションなどを置いて寝転びながら本を読むための「読書コーナー」、小さなキッチンを置いて、家の中の仕事を少し模倣的にやる「キッチンコーナー」、5つくらいのコーナーをクラスの中に設けています。こういう低学年の教室にコーナーを設けるやり方は、すでにオルタナティブスクールに限ったことではなくて、一般校でほとんど採用しています。そこでは、教師は子どもを引っ張るリーダーではなく、子どもを見守っているスタンスでいるのです。

授業のリーダー2” への4件のコメント

  1.  確かに、リーダーのあり方については、だんだん変わってきていると思います。変わってきているといういより、今のリーダーのあり方はダメな気がします。リーダーシップがとても強く、皆からの支持率が強く、様はワンマン社長的な存在である企業というのは潰れてきているのでは?大手英会話学校のように・・・。例えばリーダーというものは素質がある人がこなす人がなって、周りはリーダーを支える、サポートしていくという、それぞれが役目を持っている関係がとても重要な気がします。それが先生の言われる「チーム保育」にあてはまると思います。ブログで書かれているように、子どもが行うことを先頭にたってやるのではなくて、サポートし見守る事がとても大事なんですね。

  2. 私たちそれぞれが自分の本分を認識して行動すれば、人を扇動したり抑圧したりすることがなくなる、と今日のブログを読みながら気づきました。気になる子どもの親が得てして自分の子育てが失敗した結果だと自分を責めたり、その反動として園や学校に責任を転嫁したり、そうした偏りが80年代以降ひどくなって今日に至っているような気がします。また市場原理や競争主義が喧伝された結果「サービス」という日本語が「やってあげる」側「やってもらう」側という歪んだ二極分化状況を生み出し、その双方がそれぞれ行き詰まっています。ところで「リーダーシップ」を遺憾なく発揮するには「サブリーダー」や「アシスタント」の存在が欠かせません。ヒトデはその体内にこれら3者を内在させているのでしょう。リーダーもサブもアシスタントも役割事態は等価である、と考えます。

  3. 企業と教育は確かに違うでしょうが、企業や社会が大きく変化してきているのに対して、教育はあまりにも変化が少ない点が気になります。学校の中も1つの社会とみなし、その中での個々の役割や個を発揮することを学んでいくのが自然だと思います。方法は様々でもいいと思いますが、出発地点の再確認のためには、オランダなどの取り組みは参考になるはずです。でも、そんなことよりまずは自分が人を信頼できているか、再点検をしてみます。確かに真っ二つに切られても死なない組織でないといけませんね。

  4. イエナプランの低学年のクラスは、いろんなコーナーが用意されていて、その子がいま一番興味のある
    コーナーで学習をするわけですね。このやり方が一般の学校でも採用されている点が注目です。
    藤森先生がよく行かれるドイツでもオルタナティブスクールにおいて実践された教授方法や哲学が
    国家教育にフィードバックされているといいます。それでは私たち日本ではどうなんでしょう。
    いま行われている保育指針の改訂作業に藤森先生も深く関わられているようですが、
    先生の「見守る保育」の理念と実践が、より深く指針に生かされるよう願っています。

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