赤ちゃん

先日、小西行郎さんご夫妻と一緒に食事をする機会がありました。小西さんは、「赤ちゃんと脳科学」(集英社新書)という著作で有名ですが、現在は、東京女子医科大学教授であり、日本乳児行動発達研究会、日本赤ちゃん学会事務局長も勤められています。そして、脳科学、発達行動学の立場から小児科学に新風を吹き込んでいます。この食事会はとても楽しく、時間がたつのも忘れるほどでした。それは、「知っておきたい子育てのウソ・ホント50―最新赤ちゃん学が教える子育ての新常識」(海竜社)にも書かれている様な内容が、直接赤ちゃんを見ている現場では頷けることが多いからです。たとえば、「育児は母親が専念すべき」「3歳までは母親の手で育てなければならない(3歳児神話)」「母乳で育てられないのは愛情不足」「抱き癖はつけないほうがいい」「指しゃぶりや爪かみは欲求不満の現れ」「0歳からでは遅すぎる(胎教のすすめ)」「天才は3歳までにつくられる(早期教育のすすめ)」など、科学的根拠はないそうです。感情論によって確たる根拠なく語られがちな育児情報のなかで、現代の科学でどこまでが解明され、どれが根拠のない論なのかを明らかにし、無力だと思われがちだった赤ちゃんの秘めたる能力を明かす必要があるという思いは、私が、今、取り組み始めていることと同じです。小西さんは、今年の1月に放映された「世界一受けたい授業」で、「最新「赤ちゃん学」が解き明かす人体の神秘」ということで、「あなたの知らない0歳の世界」を解明して見せました。まず、赤ちゃんは言葉を話さないだけで実は大人以上の能力を持っているというのです。赤ちゃんは、言葉が話せませんが別の方法でコミュニケーションをとります。例えば人の表情の真似、これもコミュニケーションの一つです。また「笑う」というのもその一つで、お母さんの愛情を引き出すための力、作戦のようなものです。生後2ヶ月くらいからお母さんの表情がわかります。赤ちゃんを驚かせるのは表情がない状態です。ですから表情を動かす事が大事で、それがコミュニケーションになります。赤ちゃんはそれで安心するといいます。それが7、8ヶ月の赤ちゃんは、表情がない人を前にした時に笑いかけるようになります。関係を修復しようとする力だそうです。また、赤ちゃんは、驚く程の能力を持っています。自分の力でぶら下がれる手の力、母乳の匂いを嗅ぎ分ける嗅覚、直感的にものを見分ける視覚など非常に能力が高いようです。その高かった能力は、脳の発達とともに変化していきます。視覚野の脳内のシナプスに関して言えば、8ヶ月をピークに減っていき、3歳くらいでほぼ大人と同じ数になってしまいます。また、お腹の中にいる赤ちゃんにも味覚はあって、羊水の味がわかります。羊水の中に甘いものを入れるとよく飲みますし、苦いものを入れた時は飲みません。甘いものというのは糖分が高く、体に必要なものですから、それがわかっているという赤ちゃんのことをよく見てあげる事も大事ですが、邪魔をしないという事も大切です。環境と相互作用して育っていくのは赤ちゃんです。一方的に与えるばかりではなく、たまには与えない事も必要だと力説します。「早期教育を!」ではなく、自分でものを考える存在だということを認識しましょう。大事なことは、親が子どもの成長を邪魔しないことです。子どもは育つ力を持っています。ですから、「発達は子ども自身がするもの。 親は教え込むのではなく、見守ることが重要」ということは、全く同感です。

赤ちゃん” への3件のコメント

  1.  小西先生の著書は読んだことがありませんが、1月に放送された「世界一受けたい授業」はちょうど見ていました。なので、機会があれば著書のほうも読ませていただきたいと思います。
     赤ちゃんの能力には本当に驚きです。表情でコミュニケーションを取る能力。表情をつかって人間関係を修復する能力。嗅覚、視覚も優れているんですね。普段から赤ちゃんを見ていますが、赤ちゃんの能力というものに視点を置き換えて見たことがなく、ただ成長を見ているだけでした。それに、私に時たま微笑みかけていたのは人間関係を修復するためだったとは思ってもいなかったです。そんなに表情がなかったのですかね(笑)
     ブログに書かれている「発達は子ども自身がするもの。 親は教え込むのではなく、見守ることが重要」というのは本当に同感です。赤ちゃんだから手をかけるのでなく、赤ちゃんだからこそ、あまり手を出さずに見守り、成長をしっかりと見てあげるこそが一番の接し方であり、最高の保育なんですね。

  2. 私は自分で直感したことが大体において的を射ていることを最近確信し始めています。21世紀に入ったここ10年あるいは12年は何だか時代の大転換点のような気がしてなりませ。それが地球全体でのことなのかあるいは日本社会だけのことなのかはともかく、足下に目をやった時、旧態依然とした状況が厳然と存在するものの、次代を形成するうねり・波・勢いの台頭ををそこかしこに感じます。次代を形成するうねり等々は初め孤立していますが、やがて同じようなうねりと合わさって大きなうねりに発展する。藤森先生と小西先生の出会いはまさに大きくなりゆく「うねり」ですね。脳科学の発達から従来の神話が単なる神話であることが証明されていくことはとてもありがたいことです。脳科学の見地から現在の日本の学校教育が如何に子どもをダメにするものなのかを声高に言って欲しいと思いました。

  3. 赤ちゃんが秘めている能力が科学的に証明され正しく伝えられたら、必要以上に悩んでしまう親も少しは減るでしょう。少しずつでもいいので、根拠のない情報が訂正されていくことを望みます。子どもの成長のためには、個人差はあるとしても、何をしてあげることが必要で、何をしてあげることが邪魔になるのかをきちんと押さえ、実践するだけでなく伝えていくことも、私たちの仕事としてますます重要になってきていることを感じます。

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