3山

 最近話題になっていることばのひとつに「ミシュラン」という言葉があります。これはフランスのタイヤメーカーです。そのメーカーが、自社のタイヤを買ってもらうためにミシュランガイドという旅行ガイドブックを出版しました。購読者に車で各地に旅行をしてもらい、始めたガイド本です。その中で、赤い装丁のものがギド・ルージュ、またはレッド・ミシュラン、赤ミシュランとも呼ばれ、レストラン・ホテルの格付けの権威であるギド・ミシュランの看板的なガイドブックです。特にレストランを星印の数で評価することで有名です。また、緑の装丁のギド・ヴェール、またはグリーン・ミシュラン、緑ミシュランと呼ばれるものは、地域の歴史や地理・名所旧跡の解説が詳しいもので、自動車の運転者向けの地図二十万分の一自動車旅行地図シリーズです。そのミシュラン東京版で、山として最高ランクの「三つ星」の観光地に選出されているのが、富士山と高尾山です。この高尾山は、それほどの評価なのか不思議な気がしますが、東京の人はほとんど知っていますし、東京の小学校の遠足では必ずといってよいほど遠足に行きます。私も小学校が台東区、中学校が千代田区でしたが、どちらでも高尾山が遠足の場所でした。その高尾山は、関東山地の東縁に位置する山のひとつで、明治の森高尾国定公園に指定されており、大阪の明治の森箕面国定公園との間に整備されている東海自然歩道の起点になっています。ケーブルカーに乗って着いたところの中腹には、薬王院があり、山頂には展望台や高尾ビジターセンターがあります。しかし、もともとは、修験道の霊場であり、天然の森林が守られてきました。中世には、八王子城主北条氏照による「本山の竹木の伐採を禁じる」という制札が薬王院に残されており、江戸時代にも幕府直轄領となり、その後も帝室御料林、国有林と常に保護されてきたために貴重な自然が残っています。東京近郊には、同じようにケーブルカーで上り、その中腹や山頂に寺院がある場所がほかにもあります。そのひとつが、先日訪れた大山です。この山は、標高1,252 mあり、丹沢山などの丹沢の山々ともに丹沢大山国定公園を形成し、神奈川県有数の観光地のひとつになっていますが、古くから庶民の山岳信仰の対象とされました。山頂に阿夫利神社本社、中腹に阿夫利神社下社、大山寺が建っています。
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大山は、高尾山同様に、古来よりたびたび神意が現れ、天狗の来住する神山であるとも言われています。もう一箇所が御岳山です。ここにも夏に訪れました。そのときは、少し時期は外れていましたが、5万株といわれるレンゲショウマの花が咲いていました。この御岳山にもやはりケーブルカーに乗って山頂にいくと、紀元前90年創建の武蔵御嶽神社があり、そこを中心に、古くから栄えた御岳山は、山の自然と、歴史ある建物、街並みの残る場所です。奥に鋸山があり、その奥に大岳山があります。この山容は、山頂がとがっていて、自宅からも良く見えます。武蔵御嶽神社は、崇神天皇が創建したと伝わる関東一の霊場ですが、日本武尊が東征の際、深山の邪神の放った深い妖霧に道を見失い、万事に陥ったのを白狼に導かれました。以来、魔除け、火難除けの神として「お犬様」の霊験の信仰が始まりました。日本武尊は、関東を中心に様々なものを各地に残しました。というより、意味づけに使われたのでしょう。また、山での事故が起きました。昔から山岳信仰、修験道の中心として、山は神秘的な崇高さと、恐れを併せ持った存在として人々の心に訴えてきたのでしょうね。