岩木山

先週末、弘前に行ったときに、津軽地方に入るときれいな三角の山が見えました。この山が「岩木山」です。
iwakisan.JPG
この岩木山は青森県弘前市および西津軽郡鰺ヶ沢町に位置する標高1625mの成層火山(コニーデ型)で、その円錐形の山の形から「津軽富士」と呼ばれています。山頂部は、岩木山・鳥海山・厳鬼山(岩鬼山)の3つの峰で形成され、全国ふるさと富士人気投票で第1位に輝いています。富士山同様、周りには山が見えず、突然、津軽平野に湧出したように聳え立っています。この山の魅力に取り付かれ、登山をする人が多いようですが、この山の登山にも悲しい歴史があります。この経緯が、田沢拓也著の「空と山のあいだ―岩木山遭難・大館鳳鳴高生の五日間」 (角川文庫)という小説に書かれています。昭和39年1月、青森県の岩木山で秋田県大館鳳鳴高校の山岳部員5人が遭難、連日の大がかりな捜索にもかかわらず、5人の行方はわからず、そのうち4人が死亡する事故が起きました。標高わずか1625メートルの単独峰の岩木山で一体、5人に何が起きていたのかということを、ただ一人の生還者の証言をもとに、地元の関係者、捜索隊、警察などの状況を丹念に取材し、猛吹雪のなかをさまよいながらも、最後までお互いをかばい合う5人の生と死の軌跡を悲劇の5日間として描き出している感動のノンフィクション小説です。この作品は、第8回開高健賞受賞しています。
iwakisan2.JPG
この青森の山岳遭難としては、八甲田山死の彷徨という世界山岳史上最大とも言われる山岳遭難事故があります。それを題材として新田次郎が山岳小説を執筆しています。この小説は映画化もされているので知っている人は多いでしょうが、日露戦争直前の1902年に、ロシアとの戦争に備えた寒冷地における戦闘の予行演習として、また陸奥湾沿いの青森から弘前への補給路をロシアの艦砲射撃によって破壊された場合を想定して、日本陸軍が八甲田山で行った雪中行軍の演習中に、参加部隊が記録的な寒波に由来する吹雪に遭遇し210名中199名が凍死した八甲田雪中行軍遭難事件を題材にした山岳小説です。しかし、ノンフィクション小説として扱われる事も多いのですが、実際には、事実を題材としながらも作者自身の解釈や創作が含まれるフィクションのようです。それに引き換え、「空と山のあいだ」という小説に書かれた岩木山遭難事故は本当にあった話です。当時、昭和31年5月の日本隊のマナスル初登頂の快挙に刺激され、わが国にも空前の大衆登山ブームが訪れました。そのために、38年1月には愛知大学山岳部員13名が北アルプスの薬師岳で遭難したのをはじめとして、昭和30年代後半に、山岳遭難が頻発しています。遭難の原因は高校生たちの経験不足,準備不足、未熟さによるものではあり、メンバーに本格的冬山経験者は誰もおらず、5人のメンバーにアイゼンは3足、ちょっとした集合時の行き違いから半日近い行動の遅れを生じたり、吹雪の中の下山早々、磁石を2つとも吹き飛ばされたり、冬山で焚火をする初歩的な技術さえもありませんでした。また、遭難が明らかになってからの対策本部の対応も非常にお粗末だったようです。冬山に熟知した地元山岳関係者たちの意見に耳を傾けず、二重遭難を恐れる余りのおざなりな捜索活動、所轄警察署間の軋轢があり、学校関係者も責任回避の言動に終始します。これは今もあまり変わりがないかもしれません。事故は起こるものですし、未然に防げないことが多いかもしれません。しかし、たぶんに人災的なことも関係してくるのですね。

岩木山” への7件のコメント

  1. 冬と言えば必ずニュース等でも話題になる冬山遭難。名山といえば見ているだけでもウットリしますが“そこに山があるから登りたい”と登山家の名言があるくらい魅力があるのでしょうね。でも美しいの陰には危険も潜んでいる事を忘れると事故に繋がるものです。園でも活動をする場合、怪我や事故等未然に防げるようにしていますが、起きた場合はその後の適切な処理が保護者にとっても重要で園とのトラブルにならないようにしなければとブログを読んで思いました。

  2.  私も青森へは旅行に行ったことがあり、その時は「岩木山」を弘前城から見ましたが、とても綺麗な印象があります。是非とも、もう一度行ってみたいです。
     登山の遭難事故はよく聞きます。とくにこれからの時期に多いですね。やはり雪山に登山するというのは相当な覚悟とキャリアが必要だと思います。安易な考えで挑戦するというのは本当に自殺行為だと思います。確かに山での遭難事故というのは天気にも左右される気がします、人間は自然には勝てないのですね。だからと言って事故を自然のせいにはせず、そういう最悪な状況を先に考えておくのも必要です。なので必ずしも自然のせいではない気がします。事故に限らず、何かを取り組む場合には色々な場合を想定して準備するというのが必要ですね。そうすれば、事故を未然に防ぐことが出来るもかもしれませんし、起きても少ない被害で抑えることも出来るかもしれません。

  3. 山やですので山での事故には注意していますが、過去一度だけ遭難しそうになったことがあります。
    数年前の3月、徳島の山に家内と二人登った時に、稜線で急に吹雪いたために道を間違えて目的の
    山小屋にたどり着けませんでした。結局、地図と自分のカンを頼りに沢に下りて、岩の陰で一晩ビバーク。冬山装備で登山してましたので寒さはしのげましたが、一睡もできずに次の朝を迎えました。
    あの時は、もう山はやめようと思いましたが、やっぱりその魅力には勝てずいまだに登り続けています。
    自然は時に怖い姿を見せることもありますが、それなりの技術と体力、入念な準備、慎重な行動、
    冷静な判断力があれば安全登山で大自然の素晴らしさを満喫することができると思います。

  4. 岩木山の写真はいつもの如く見事です。青森に行った時、帰りに家内が運転する車中から同山を見ました。岩木山を観ると橋田壽賀子 原作三田佳子主演のNHK大河ドラマ「いのち」を思い出します。雪の岩木山を背に藁で編んだ帽子を被り歩む女優三田さんが脳裡をかすめます。また、「八甲田山」は映画になりましたが、高校時代か大学生時代に観てその壮絶さに恐ろしさを覚えました。「八甲田山雪中行軍」を題材とした新田次郎さんの『八甲田山死の彷徨』は映画以上に迫力がありました。私は登山しませんが、危険と隣あわせであるからこそ登頂した時の達成感は格別でしょう。今でも山岳遭難のニュースを目にしたり耳にしたりしますが、さぞかし怖い目に遇っているのでしょう。眺めて山を楽しむ私にはわからない領域です。

  5. 今日の新聞に大山の紅葉が見ごろになったと紹介されていました。初夏の山もきれいだと思いますが、この時期の山もいいですね。
    山に限らず事故は怖いです。言われるとおり、後で調べてみると人災の要素が絡んでいたりすることは多いと思います。自分自身も気をつけます。

  6. 登山といえば小学生の頃に毎年、地元の標高500mほどの山で行われる祭りに参加するためにその山を友達と登ったくらいの経験しかありません。なによりその山の麓まで自宅から歩いていくのが果てしなく遠く感じました。登山もなかなかきつく、いつまで登りが続くんだとひいひい言いながら登っていました。一度急斜面を走って降りていた時につまずき、連続前転のように結構な距離を転げ落ちたことがあります。あれは恐怖でした。ですが、やはり機会があれば山登りはしてみたいなと思います。なかなかきっかけはありませんが、きっと登りきった後は気持ちいいだろなと想像してしまいます。小学生の頃のその体験でも結構な達成感がありました。事故は起こるものですが、人災が絡むと助かる命も助からなくなるかもしれませんね。今読んでいる小説でも沈黙する群衆に対する問題提起が描かれています。私もその沈黙する群衆の一人であるなと感じさせられました。責任は自分ではないという自己肯定やなすりつけが大きな事故を生む一旦にもなりうるということは意識しておかなければいけないですね。

  7. 近年では、空前の登山ブームということで「山ガール」という言葉も生まれていましたが、本格的な登山にはほど遠いイメージがあります。そういった浅はかさが遭難という問題を引き起こす要因になったと、報道させているのを耳にはしましたが、実際には自然の脅威というのは時には人知を越える場合があったりとか、どうしようもない時というのはあるのだと思います。しかし、人災的な要素が加わってしまうことで、さらに問題は深刻になっていくようにも思います。登山人口が増え続ける中で安全を確保するにはどうすれば良いのか、その方策を十分に探っていく必要があることを感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です