種まく人

 「まかぬ種は生えぬ」ではありませんが、何かをしようとするときには、種をまいていかなければなりません。人は、ある時期まで種を一生懸命にまいている気がします。そして、ある時期から、実りを刈り取る時期が来ます。農民画家といわれているミレーの名作「種まく人」を山梨県立美術館が購入したことで話題になって久しくなります。久しぶりに、塩山に行ったときにこの美術館に寄ってみました。
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この美術館は、ここのほか「東京都美術館」「ケルン市立東洋美術館」「熊本県立美術館」「福岡市美術館」「宮城県美術館」など多くの美術館設計をしている前川 國男氏の設計です。彼はル・コルビュジエ、アントニン・レーモンドの元で学び、モダニズム建築の旗手として、第二次世界大戦後の日本建築界をリードしました。都庁を設計して有名な丹下健三なども前川事務所の出身です。師のコルビジエ設計の国立西洋美術館の前に立つ東京文化会館も彼の設計で、第十三回日本建築学会賞作品賞を受賞していますし、また、彼自身の設計である自邸は、江戸東京たてもの園に移築されています。
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また、紀伊國屋書店新宿店も彼の設計です。その建物の山梨県立美術館は、美術資料取得基金を設立し、バルビゾン派の画家を中心とするコレクションにする方針が定められたのです。そして、県100周年記念事業として19世紀のフランス画家ミレーの代表作『種をまく人』の購入が議会でも承認され、1977年4月には飯田画廊の仲介でニューヨークのオークションにおいて『種まく人』と『夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い』を落札したのです。そして、1978年に開館しています。ちなみに『種をまく人』を当時2億円で落札購入したことで話題になったのです。この2作品他『落ち穂拾い、夏』をはじめとする油絵の他、水彩画、素描、版画を含め41点のミレーコレクションやバルビゾン派の画家の作品を所蔵しているので、「ミレーの美術館」として親しまれています。その他にクールベ、ターナー、シャガール、ヴラマンクらの作品、山梨県出身の画家や山梨ゆかりの画家の作品なども数多く所蔵し、常設展では、季節ごとに入れ替えているようです。また、同公園内にはロダン、ヘンリー・ムーアらのヨーロッパ近代彫刻家の作品も設置されています。バルビゾン派の中でも、大地とともに生きる農民の姿を、崇高な宗教的感情を込めて描いたミレーの作品は、早くから日本に紹介され、農業国日本では特に親しまれていて、日本人が好きな画家の一人です。ミレーの代表作のひとつである『種まく人』が岩波書店のシンボルマークとして採用されたのは1933年のことです。これは岩波書店の店主がミレーの人と作品を好きだったからのようで、これをモチーフに高村光太郎のレリーフをもとにつくられました。
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このミレーを含めてテオドール・ルソー、ディアズ、トロワイヨンなどバルビゾン派と呼ばれる画家たちは、パリの南方約60キロのところにある、フォンテーヌブローの森のはずれのバルビゾン村に定住し、風景や農民の風俗を描いたことからです。ミレーも、30歳半ばにパリにおけるコレラ流行を避けて、ミレーはパリの南方約60キロの、フォンテーヌブローの森のはずれにあるバルビゾンへ移住し、以後同地で制作を続けます。よく、画家たちや作家たちがある場所に固まって活動することがあります。また、幕末の志士たちもある藩に固まって現れます。それは、誰かが引き寄せるのか、思いが伝わっていくのかわかりませんが、同じ思い、同じ志を持った人たちが、ITが普及した今は、地域を越えて集まることが出来るでしょうね。

種まく人” への5件のコメント

  1. 「まかぬ種は生えぬ」、はまさにその通り、と思います。何事もやってみないと次が出てこない。屁理屈を言ってやってみようとしないことがありますが、屁理屈を言っている時間とエネルギーがもったいない、と最近思うようになりました。ところでミレーは好きな画家の1人です。美術の教科書や岩波書店のシンボルマークとして「種をまく人」は有名ですが、美術館でミレーの作品をじっくりと観る前は種をまくしぐさが何ともロボットのような、『オズの魔法使い』の「かかし」の動きのような、そうした感じしか受けませんでした。よく観ていなかった証拠です。今では美術展でミレーの作品を目にするたびに「フーッ」と大きく溜息をつきます。ミレー、いいですね。塩山のパスタ屋さんに行き、できれば「山梨県立美術館」も訪れてみたいものです。家内も喜ぶと思います。

  2. ミレーにシャガール… と名画が拝めるのは羨ましいですね。宮崎の田舎では中々拝めないものです。たまに、県立美術館に展示会がある時に拝見できますが、常設ではないのが悲しい限りです。
    特に名画と呼ばれるものは、印刷物でない本物に会えるが嬉しいですね。本日より上京しますが、時間が許せば美術館めぐりをしてみたいものです。

  3. 藤森先生のあらゆる分野に対しての知識の深さには毎回脱帽で、学ばせて頂く事が沢山あります。美術館にはなかなか縁のない私ですがこの秋には訪ねてみたいものです。先生が撒かれる種をしっかり会得していきたいと思います。これからも沢山の種を撒いて下さいね。撒いた種はきっと あちこちで実を付けいつかは見守る保育も浸透していくと思います。

  4. 芸術の秋ですね。たまには、藤森先生のように美術館めぐりをと思って、
    先日の日曜日、愛媛県立美術館で開かれていた「国立ロシア美術館展」にいってきました。
    ロシアの美術作品ははじめてでしたので、興味深く鑑賞することができました。
    革命前の18世紀から20世紀初頭のロシアの雄大な風景とそこで暮らす人々の哀歓が
    伝わる作品に感動の連続でした。時間があったので近くの坂の上の雲ミュージアムにも寄りましたが、
    ここでは日露戦争当時の正岡子規や秋山兄弟をはじめ帝政ロシアの当時の資料にも触れてきました。
    そして帰ってから自宅で観たビデオが「おろしあ国酔夢譚」ということで、ロシアづくしの一日になりました。
    ミレーの種まく人の絵を見ていると、見守る保育の種をまいている藤森先生の姿に見えてきました。
    それをお手伝いできることを誇りに思います。

  5. 種をまかなければ何も始まらない。そのことは間違いありません。難しいと感じるのは、ある時やってくる実を刈り取る時期などの変わり目をどう見極めるかです。種をまいて実を刈り取るまでにいろんな段階があると思います。世話が必要な時期があるだろうし、何もせずにひたすら我慢という時期もあると思います。自分の場合、何をすべきか探している時期があり、目指すべきはこれだという保育に出会い、必死に改革しようとした時期に変わりました。そして問題は今からで、今ががむしゃらでいるべきか、一度ここまでの道のりと現在の状況を点検するために立ち止まるべきか、今どの段階にいるのかわからなくなるときがあります。種をまくのも大切、実を刈り取る時期も大切。そして実がなっていく過程も大切なんだろうなあと、ブログを読みながら考えました。

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