オナモミ

 昨日、塩山をのんびり歩いていると、道端一面に「オナモミ」の実がなっていました。
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 学校で必ず習いますが、植物は子孫を残すために,たくさんの種子を飛び散らすための方法があります。風に乗って遠くに飛んでいくもの,自分ではじけて飛び散るもの,とりに食べられフンといっしょに落としてもらうもの.実に,さまざまな種子があります.その中で、子どものころよく遊びにも使われる種子は,人の服や動物の体にくっついて運んでもらう種子です。草むらを歩いて出てくると、ズボンや服にたくさんの種子がついています。それらの種子は、「ひっつき虫」ともいいますが,その主なものには。「イノコヅチ」という種子があり、「茎のふくらみを,イノシシの膝頭」に見立てて名付けたそうで、「猪の子槌」と書きます。他には、キク科の「アメリカセンダングサ」という北アメリカ原産の帰化植物があります。これも服についたらやっかいで.なかなか取れません。そして、ネバネバした液を出してくっつく「チヂミザサ」があり、実の形が泥棒がぬき足さし足で歩いたときの足跡に似ているので,この名前がついた「ヌスビトハギ」があります。そしてこの「オナモミ」は、自然につくというよりも.投げ合ってよく遊ぶ種子です。しかし、そうやって遊ぶときにはルールがありました。なるべく顔や頭には投げないことです。特に、髪の毛にからむととるのが大変です。昨日,見たのは、メキシコからの帰化植物オオオナモミで、最近はその種類が多くなりました。この名前は、葉っぱをもんでつけると虫さされに効くというので「生揉み(なもみ)」から付いたといわれています。また、雄生揉(おなもみ)と書いて、毒蛇に噛まれたときなどに、生の葉をもんで傷口につけると痛みが和らぐことから由来しているとも言われています。学名は「Xanthium canadense」といいますが、Xanthiumというのは、ギリシャ語の「xanthos(黄)」が語源で、オナモミの実が毛髪を染めるのに使われたことからきているようです。このよくくっつく仕掛けを参考に、カバンやくつなどに使われている.マジックテープが生まれます。それは、1948年のスイスで、愛犬を連れて山奥の狩猟に出かけていたジョルジュ・デ・メストラル氏は、自分の服や犬の毛に沢山の野生ゴボウ(オナモミの仲間)の実がくっついているのに気づきました。不思議に思った彼は、その実を持ち帰り、さっそく顕微鏡で覗いてみました。すると、その実は無数の鉤でできていて、その鉤が衣服や犬の毛にしっかりと絡みついていたのです。これにヒントを得た彼はこの構造を応用して着脱が自由自在の魔法のファスナーを発明しようとしたのです。そして何年かの試行錯誤の末、特殊ナイロン糸を使用して、無数の鉤と輪で構成された面ファスナーをつくりだしたのです。これが面ファスナーの誕生です。日本では1960年、この面ファスナーの2本の布がピタリとくっつくところが着脱が自在な『魔法のテープ』ということで「マジックテープ」という商品名で、クラレが登録商標をし、最初に生産・販売を開始しました。その名が全国に広がったのは、1964年に東海道新幹線の客席のヘッドレストカバーのファスナー(留め具)に採用され、一躍注目を浴びたのがきっかけでした。何気なく遊んだり、犬を散歩に連れていいたりしているときにでも、不思議だなあ、どうしてだろう、どうなっているのだろうと疑問を持ち、それをすぐに解明しようとするとき、新しい発見があります。当然のように過去からのことをただそのまま受け入れていると、何も生まれてきませんね。