イタリア映画2

子どもを描いたイタリア映画といえば、今年4月に亡くなった映画監督ルイジ・コメンチーニ氏も子ども時代を題材にした感動的な話やブラックコメディーなどで知られています。彼が監督した映画「天使の詩」は、たぶん、以前のブログで書きましたが、私の何回も見た映画のベストスリーに入る作品です。1966年の作品ですが、家族の絆を逆から描いた作品で、父と子のすれ違いから起こる悲劇を描いたドラマです。父親との絆を求める長男に対して、それに気がつかない日常での会話が、結末の悲劇だけではないこの映画の切なさを感じさせます。そのほか、親子の絆、とりわけ、父親と息子のあいだに育まれる愛情を賛美するイタリア映画の伝統は、最近の「ライフ・イズ・ビューティフル」に受け継がれています。この映画は、カンヌ映画祭で審査員グランプリを受賞し、世界各国ですでに47部門の賞に輝き、アカデミー賞では、イタリア映画でありながら、外国語映画賞の枠を越え作品賞を含む主要7部門にノミネートされ、見事3部門で受賞を果たしました。「人生は美しい」というタイトルのとおり、これは明日をも知れない極限状態に置かれながらも、決して人生の価値を見失わず、豊かな空想力を駆使して愛する家族を守り抜いた、勇敢な男の物語です。そして、勇敢とは、勇ましく戦うことではなく、勇気を持って、困難な状況でも家族、とりわけ子どもへの愛情のために最後まで守ろうとする気持ちが大切であるということを教えてくれます。日曜日に見た映画は、家族の絆が描かれてはいますが、それよりも、子どもに対する見方とか、考え方、社会のあり方などを考え直すことの必要性を訴えている映画でした。「ミルコのひかり」という映画です。1970年代初頭のイタリア、トスカーナ地方。10歳のミルコは映画を愛する少年だったが、銃の暴発で両目の視力を失ってしまいます。当時のイタリアでは、視力に障害を持つ者は普通の学校ではなく盲学校に入らなければならないと法律できめられていたため、全寮制の盲学校へ転校させられてしまいます。心を閉ざしがちだったミルコはある日、テープレコーダーを見つけ、それによって“音”との出会いに新鮮な喜びを感じます。作文の時間、ミルコは点字ではなく、寄宿舎で見つけたオープンリールのテープレコーダーに雨の音や鳥の声などを録音し、それを編集して提出しますが、校長に拒絶されてしまいます。しかし彼の優れた聴力に気づいた担任の神父が、校長に内緒でデープレコーダーを与え、ミルコの友達たちと協力してストーリーを作り、それをドラマとして仕上げていきます。これは、現在イタリア映画界の第一線でサウンド・デザイナーとして活躍するミルコ・メンカッチ氏の少年時代の体験をもとにした実話ドラマです。ちなみに今年のモントリオール国際児童映画祭でグランプリを受賞しています。この映画の中で、自由のない当時の学校の様子が描かれています。みんなと足並みをそろえることを目指し、その子の個性や能力を無視し、伸ばそうとしません。また、障害のある子は、特別に隔離され、管理された中で、統一された生き方の訓練をさせられます。しかし、主人公のマルコは、学校の圧力にも屈せず、自由を信じる気持ちがやがて担任の心を動かし、クラスメートを動かし、みんなやその子達の保護者にも大きな夢を与え、それが結局は世論を動かし、盲人も普通の学校に通えるようになるのです。子どもたちの想像力は、それを認め、生かす大人がいるからこそ、大いに羽ばたくのです。そんな責任を感じます。