まわる

 今、面白い本を読んでいます。それは、石川英輔さんの「大江戸リサイクル事情」(講談社文庫)というものです。他にも「大江戸エネルギー事情」「大江戸テクノロジー事情」「大江戸生活事情」「大江戸ボランティア事情」(共著)など「大江戸」シリーズが人気です。もともとは、石川さんは、SF作家で、現代人が江戸時代にタイム・ス リップするSF小説『大江戸神仙伝』の執筆を契機に江戸時代の諸相に関心を抱き、江戸時代のエ ネルギーとリサイクル問題の第一人者となっています。その中で私が読んでいる「大江戸リサイクル事情」の最初の章は、「まわる」です。はじめに「水車が廻っているのはなぜか?」という問いかけから始まっています。
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それは水の流れが水車を回している。では、水は誰が流しているのか?それは、高いところに降った雨が、重力にしたがって流れ下っている。では,なぜ雨が降るのか?太陽の熱で蒸発した水が空へ上がって雲になり、冷えてまた水となって地上へ落ちる。水車を廻した水も、いずれ再び太陽エネルギーによって蒸発し、上空に昇って地上に戻ってくる。ということは、水車は、太陽が廻しているということになるようです。石川さんは、こんな風に言っています。「江戸時代の社会における資源・エネルギーの循環構造は、水車と同じように、太陽エネルギーを基本としていました。生活に必要な資源エネルギーの95%以上はどんな方法で処分しても最終的には太陽エネルギーによって元の発生地点に戻っていく、そういう持続性の高い構造になっています。」それが、最近は変わってきたと言います。石炭や石油のような化石燃料は、燃やしたあと、太陽エネルギーには戻っていかないのです。つまり、「廻って」いかないのです。しかし、私たちの生活は、もう戻らないと思っています。かつてのような生活を体験した人はもういないと思っています。彼は、対談の中でこう言っています。「江戸時代の生活というと、何か遠いことのように思われるかもしれませんが、実際は私たちがつい最近までやってきた生活とそんなに違うわけじゃありません。少なくとも、今の40歳代の人達が子供のころまでは、まだ身近にあった生活とそう変わりはないのです。つまり、私たちはわずか40年くらい前までは、江戸時代と似たような「持続可能性の高い生活」を送っていたということを、確認しておく必要があると思います。」彼の最近の著作の中で、確か、「2050年は江戸時代」という本があったような気がします。これから先、江戸時代の暮らしぶり、生活の知恵が見直され、少しずつそのような生活をするようになるということでしょうか。今読んでいる本の挿絵に子どもをおんぶしている母親の北斎漫画が載っています。そのコメントに「子供を背負った母親、われわれの伝統的生活は、本当にそれほど間違っていたのだろうか?」と書かれています。そう考えてみると、まさに子育てとは、持続可能性の高い営みの気がします。相田光男さんの言葉ではありませんが、「育てたように 子は育つ」。わが子を強くしかっったり、嘆いたりする親を見るたびに、「あなたが、そう育てたのでしょう。」と言いたくなる時があります。そして、そうして育てられた子が親になって、子を育てるのです。まさに子育てが「まわって」いくのです。最近、ベビーシッターや、託児所にほとんど育児を任せている親を見ると、心配になります。こうして育てられた子は、親になってどう自分の子を育てるのだろうかと。

まわる” への2件のコメント

  1. 「持続性」や「廻る」ということは大事ですね。今よりもちょっと手間はかかるかもしれないですが、廻っていく生活の見直しはしていく必要があると思います。自分のことだけ、自分さえよければではなく、広い視野を持つことが個人個人に求めれているように思います。言われるように子育ても同じですね。どうなっていくことが子どもにとっていいのかという議論を、大人がもっとしてもいいんじゃないかと思ったりします。
    「育てたように 子は育つ」当たり前のことだけど考えさせられます。短い言葉ですが、多くの問いを投げかけられた気がします。言葉は不思議です。

  2. 確かに私が子どもの頃は「江戸時代」につながる生活習慣が確実に残っていた気がします。祖母は洋服ではなく着物を着ていました。近くの小川で洗濯したり野菜を洗ったりする風景がありました。半農半漁の暮らしはまさに1年という時間サイクルのなかにしっかりと根付いており、春夏秋冬それぞれを表現していました。確かに「まわる」、循環、が存在していた。そしてゆるやかに動いていました。「サステイナブル ライフ」は「まわる」ことの中で保証されるような気がします。そしてこの「まわる」を可能にするためには、要素それぞれがまさに「自立」している必要があります。すなわちそれぞれがその役割を主体的に果たす。共依存が横行する昨今、「依存」のゆえに「まわる」どころか「淀んでいる」人間の関係性をそこかしこに見ます。なんとかしなければ、と焦りさえ感じます。

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