環境効果2

昨日のブログの「環境効果」について、二つの事例が新聞に掲載されていました。ひとつは、「住宅地の道路 こども優先の設計・規制を」で、千葉大大学院園芸学研究科教授でもあり、こども環境学会評議員でもある「木下勇」氏の投稿です。彼は、埼玉市で起きた集団登校中の小学生が、進入禁止のスクールゾーンに侵入した車にはねられてしまった事件から考えています。このような事件が起きると、監視を強化したりしますが、もっと根本的な対策が必要だと主張しています。その対策とは、「道路構造を速度が出ないように変え、住宅地内の道路で子どもが遊べるような生活道路を位置づける道路法および道路交通法の改正である。」といっています。英国をはじめ欧州では「ゾーン30」という住宅地内の道路を30キロ以下にする区域指定が広がっているそうです。埼玉川口で保育園児の列にライトバンが突っ込んだ事件では、保育園児が歩く住宅地内の道路でも、一般道の速度規制である時速60キロだったということが問題になりました。海外の統計では、死亡率が高くなるのは車の速度が時速30キロ以上であり、30キロ以下では死亡率が下がるということを同じこども環境学会員の小児科医の今井氏が紹介したそうです。発達心理では、「こどもは歩き出してから家の周りで遊び、行動領域を拡大していく。付き合いと探索活動という動物の縄張りの拡大にも似た行動を示す。それゆえに住宅周りの道路はこどもにとって重要な生活空間となる。そしてこどもは視界も狭く、車のスピードに対する感覚も異なる。また衝動的に動くのも特徴である。」このように、ただ、注意を促すとか、監視するとかではなく、きちんと発達心理学的に行動を分析し、その対策として環境を整えるべきなのです。そのひとつの方法が北欧で行われているという報告があります。「北欧ではこのようなこどもの心理的特性から、いくら安全教育を行っても限界があるとして、道路の構造を変えて車の速度を落とすように政策を変えた。」そうです。これは、「ボンエルフ」という取り組みです。人と車の共存を目的にした道路整備形態のひとつです。1970年代にオランダのデルフトという街で初めて導入された方式で、人間が対応できる速度(約15km)以上に、車がスピードを出せないような構造になっています。例えば、車の通路を一車線(一方通行)にし、乗り越えなければならないハンプ(出っ張り)を設けたり、車が直進してスピードを出せないように、カーブを設けたり、さらに、路上駐車スペースも設けることも、車の減速を促す方法として取り入れられています。この道路は、さまざまな形で車のスピードが出ないような工夫がなされているため、ドライバーにとっては「走りにくい」という印象もあるようですが、ボンエルフが施されている街は、人と車の「共存」が大前提となっているため、ドライバーには、その街に生活する歩行者への思いやりをもってゆっくり走ることが求められています。ちなみに、ボンエルフはフランス語で「生活の庭」という意味だそうです。また、デンマークやドイツの遊び場道路や車抑制策などで決められた道路ではこどもの遊びが優先されるよう道路交通法を改正しているそうです。それが、ゾーン30です。どうしても、「こどもを守ろう!」というような心に訴えかけるような呼びかけになりがちですが、心理的な、科学的に裏づけされた、具体的なこどもやお年寄りのための環境、子ども優先の環境を作ることが必要なのです。