夏の風物詩2

 「残したい日本の音百選」(環境庁調べ)に南部風鈴の音色が選ばれています。この南部風鈴の音色も、夏の風物詩を感じます。この軽やかで細やかな音色が、暑さを和らげてくれるような気がするからでしょう。また、この風鈴は、さわやかな涼風によって音を奏でるからでしょう。窓辺にぶら下げておくと、少しの風にも揺れてさらさらと流れるメロディーのような音色を奏でてくれる。それは、この南部風鈴だけではなく、風鈴という字が表すように、「風を受けると音を奏でる鈴」は、暑い時期、耳に心地よい音を鳴らします。風鈴は、金属・ガラス・陶器などでできた小さな鐘、銅鐸の形をしたものが一般的です。そして、鐘の中に「舌」と呼ばれる部品がついており、舌には糸を通して短冊などがつけられていて、その短冊が風を受けると舌が鐘に当たり、チリリーンと涼しげな音が鳴る仕掛けになっています。風をよりよく、適度に受けるために短冊の大きさ、形が決まってきます。その涼しさを感じるのには、音だけでなく、その素材のガラスや金属は、見た目も冷たい感じがします。また、そこに描かれる絵も夏の風物詩が描かれ、色合いも涼しげです。もともと、風鈴は、中国では、竹林に下げて風の向き、音の鳴り方で、物事の吉凶を占う道具でした。占風鐸と言われていたものです。そして、家の四方に鐘を取り付け、その音で邪気を払ったとされています。日本へは仏教とともに渡来し、厄除けとしての道具でした。お寺の四隅にかかっている風鐸がそれです。風鐸のガランガランと鳴る音が厄除けとして使われました。すなわち、その音が聞こえる範囲の住民には災いが起こらないといわれました。平安、鎌倉時代の貴族の間では縁側に下げて、外から疫病神が屋敷の中にはいるのを防いだと書物(六学集)には、書いてあります。法然上人絵巻には銅製の風鈴が描いてあります。形は現在のものとは少し違います。素材としては、鉄器(金属製)のものは南部鉄器でできた南部風鈴や高岡風鈴があります。ガラス製としては江戸風鈴や、長崎などのビードロ風鈴などがあります。他にも紀州の備長炭を使ったものや、会津、喜多方の陶器を使ったもの、そのほか、真鍮、アルミ、木製のものなどがあります。特徴としては、鉄器製のものは、舌が鉄に触れてリーンと長くあるいは高く鳴ります。これに対して、江戸風鈴などガラス製は、長いガラスの舌が、外周のガラスをこすって、チリチリチリとかすかに鳴るようになっています。西洋では金属、もしくは木製の細長い筒を幾つか並べ、風が吹くとお互いがぶつかり合って音を発するものが一般的です。
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日本にもそれに似たような原理で四本(二対)の火箸を組み合わせた火箸風鈴などもあります。そのほか、貝殻・石など様々なものがあります。現代では人々の癒し治しのアイテムとして風鈴の音が注目されています。そこで、この風鈴による演奏が行われることもあります。そんな風鈴ですが、私にとって馴染み深いものは、やはり「江戸風鈴」です。
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以前のブログでも書きましたが、さおいっぱいにぶら下げられた風鈴を背負って、夏に売りに来たものです.ガラスは昔は大変高価なものでしたから、なかなか庶民には手が届きませんでしたが、高かったガラス製品が、安くなり、江戸風鈴が全盛期を迎えるのは、明治20年代です。明治24年刊行の『風俗画報」には、東京郊外の長家の軒下に、ガラス製の風鈴が下げてある挿し絵があります。そして、文面には「一世を風靡」と書いてあります。あちらこちらの軒下にぶら下げられ、夏の風物詩となったのです。

夏の風物詩2” への4件のコメント

  1. 風鈴の音は確かに夏の風物詩ですが、私は風鈴の音を聞くと夏の終わりを連想してしまいます。あと少しで楽しい夏休みも終ってしまう、そんなときに聞こえていた風鈴の音のイメージがかなり強いようです。とても繊細できれいな音を出す風鈴ですが、なんとなく物悲しくなってしまいます。写真を見ながら昔のことを少し思い出し、懐かしい気持ちになりました。

  2. 「夏の風物詩」として「南部風鈴」が紹介されています。涼を感じるとともに、故郷の風をその音色とともに想起します。常日頃お世話になっている先生がたが暮らす地域の駅ホームには夏の時期、たくさんの「南部風鈴」が吊るされ、さまざまな音色が二重にも三重にも折り重なって、さながら「南部風鈴交響詩」です。夏休みに入り、帰省する人々を迎えていることでしょう。お寺の屋根の四隅にぶら下がっている鋳物を「風鐸」というのですね。気にはなっていましたが、今日のブログでその正体を知りました。厄除け・・・なるほど。どこで見たかは記憶に定かではありませんが(映画かテレビドラマか?)「風鈴売り」を見ました。金魚売り、と共に「夏」を感じさせる風景です。それにしても東京の夏は暑い、です。

  3. 風鈴というと私のイメージではその音色で涼しさを感じるというのがほとんどですが、かつてはその音で邪気を払うという役割があったのですね。また、地方によっても風鈴に違いがあるのもおもしろいです。私の中の風鈴のイメージで思い浮かぶのは江戸風鈴ですが、それぞれの地方の方によって風鈴のイメージも違うかもしれませんね。火箸風鈴はあまり見かけることがないので、実際の音を聞いてみたいです。また風鈴は風が吹かないとその音は聞こえてきませんね。部屋に風が通るような工夫もかつては自然とされていたのかもしれません。アパートやマンションでも風は窓から入ってきますが、なんだか通っているという感じではないようにも思います。かつてから日本にあったこのような物はいいですね。身近にもっとたくさんあるのに気がつかないものも多いのかもしれません。もっとそんな物に目がいくように意識したいなと思います。

  4. マンションや住宅街を歩いても、風鈴の音が聞こえてくるといったことがなくなっているようにも感じています。もしかすると、風鈴の音も“騒音”と見なされる時代が来てしまうのでしょうか。そうならないためにも、風鈴の良さを見直す必要がありますね。風鈴によって夏という季節を楽しむ文化を、生活の中で感じていくことは大切ですね。そういった意味でも、保育園の中で当たり前のようにその音色を聞いて過ごしているというのは、非常に重要な意味をもっていると感じました。また、「風鈴の音には、小川のせせらぎや小鳥のさえずりなど自然界にある癒しの音と同じ3,000ヘルツ以上の高周波音が含まれ、高周波音は脳内のストレスを抑制したり、思考・運動能力を活性化させるホルモンの分泌をさかんにする働きがある」という情報もあります。1歳児クラスにも南部鉄器の風鈴があり、子どもたちはその音色で、きっと癒されているかもしれません。

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