ドイツには、こんな法律があるそうです。ひとつは、「子どもは、木登りをする権利がある」というものです。これは、高さのブログで書きましたが、上から下を見るという行為が、子どもの脳のシナプスを増やすという研究データがあるためもありますが、そのほかにも、木登りは子どものさまざまな発達を促します。一時、子どもが登り棒などに登るときに、足の裏を使わなくなったということが話題になりました。その点、木登りはわりと楽です。なぜかというと、脚を掛ける枝があるからです。ですから、木登りをするときには、まず枝がある木を選ぶ必要があります。子どもは、木登りをする前に、まず頭で考えます。右手であの枝を持って右足をあの枝に乗せて、次に左手で次の枝を持ってというように、どのように登るのか、木を見たときにイメージします。そして、登る木を決めていきます。木登りに適した木の条件は、次のとおりです。①太い幹から枝が適当な間隔で出ており、子どもが手足をかけて登りやすいこと。②枝の間隔が開いている場合は、幹に手を回して抱きついて登れる太さであること。③枝が折れにくい太さであること。④枝の張り出しが水平方向に近く、幹の付け根に足をかけた時に、幹と枝に挟まれて痛くないこと。⑤樹皮がコルク質で柔らかくて滑りにくいか、滑らかで感触がいいこと(腕に触れてチクチクしたり、木肌がはがれて滑りやすくないこと)。⑥細い枯葉などが、首筋などに入りにくい木であること。⑦毛虫や蜂がいないこと。⑧周りが開けていて、見晴らしや風通し、日当たりがよいこと。⑨地面が柔らかい場所であること。などです。しかし、木登りは、実は降りるのが大変です。ひとつひとつ確認しながら手の位置を決めてから降りないで、足場を先にさがすと、うまく降りることが出来なくなってしまいます。私が子ども会の顧問をしていたときに、運動会種目を普段の学校の種目と違うことを考えようと提案し、林の中の運動会を企画しました。その種目の一つに「木登り大会」がありました。子ども達は好きな木を選んで、ある時間内に登り、そこから紐をたらし、地面に着いたところに印をつけ、降りてきてからその紐の長さをみんなで比べ、一番長い子を優勝にしました。でも、木登りは、ある危険が伴います。落ちるかもしれませんし、幹や枝で怪我をするかもしれません。ドイツから、私がせがんで、ある絵葉書のシリーズを買ってきてもらいました。そのなかの1枚が私の気を引いたからです。その絵葉書を、何回かに分けてブログで紹介したいと思います。今日はその中の1枚を紹介します。
絵葉書には、ドイツ語でコメントが書かれていますので、園のドイツ語が出来る保護者に早速訳してもらいました。この絵葉書には、こう書かれています。「こぶやかすり傷は、子どもの権利」というものです。枝のない木に登るのはもっと体力がいります。足の裏を合わせてはさんで上っていかなければなりません。腕の力がとても必要です。このような体力を使うことが重要ということで、小学校には登り棒があります。きょう、放課後の校庭解放の話し合いに行って副園長が帰ってきて、「校庭にある登り棒のところに、使用禁止の貼紙がしてありましたよ。」という報告をしました。きっと、落ちて怪我をすると、責任の問題で困るからでしょうね。文句を言う保護者と、それを避けようとする管理者との間で、子どもの大切な体験がどんどん減っていきそうです。
木登りに適した木の条件を、木登りをしているつもりになって読ませてもらいました。子どものころ最も重要視していたのは⑧番です。多少登るのが難しくても見晴らしのいい木が一番でした。登ることでいろんな効果があるのでしょうが、どの木にどのように登るかをあれこれ想像しながらイメージをつなげていく過程も木登りに欠かせない要素であり、面白さでもあると思っています。
「子どもは、木登りをする権利がある」という法律は本当にうらやましいです。「こぶやかすり傷は、子どもの権利」もそうですが、ドイツの子どもたちは素晴らしい権利を保障されていますね。
ドイツで子どもの権利として保障されている「木登り」。落ちて怪我をしても軽い傷ですむ彼国と、「木登り」はしたいが登るという経験が乏しくいざ登ると降りられないか足を踏み外して落っこちて最悪死んでしまうという此国とでは「木登り」それ自体がまるっきり異なった意味を持っているようです。すなわち彼国においては「木登り」は日常で、此国においては特別行事。此国においては「木登り」は衆人環視のもとに行わなければならないようです。「のぼり棒」に「のぼらないで下さい」という貼り紙を見つけて驚きました。普段は使用できない、ということを如実に表しています。「木登り」が絶対によい、とは言いませんが、かつて「木登り」によって培われてきたであろう私たちの能力部分はいかなる手段で今後補えるのか。単なる禁止ではない、代替の発想を私たちはもちたいものだと今日のブログを読みながら思ったところです。
「こぶやかすり傷は、子どもの権利」,いい言葉ですね。日本では、落ちてケガをするので遊具を禁止にしますが、欧米では落ちても怪我をしないように遊具の下を柔らかい砂場にしたりして子どもの遊ぶ権利を保障します。大人が短絡的に判断しすぎのような気がします。