ニート

ニートと呼ばれる若者の8割が「社会や人から感謝される仕事がしたい」と感じていることが、厚生労働省による初の実態調査でわかったそうです。私が、ずいぶんと昔のことになりますが、独身だったころ、問題行動を起こす男子中学生たちがよく私の家に遊びに来たことがありました。その子達は、学校では、いわゆる「ワル」と呼ばれる子も多かったのですが、その子達全員の希望は、「勉強ができるようになりたい」ということだったことを思い出します。彼らは、一般には、勉強や学校が嫌いで、それで成績も悪いのだと思われています。確かにはじめはそうかもしれません。しかし、そのときにわずかではありますが、何かのサインを子どもは出しているのです。その訴えに気がつかず、ただ、「勉強しろ」とか、「まったくお前はだめなやつだ」とか、叱咤激励をすればいいと思って対応します。その対応は、子どもの心に触れません。逆にいらだたせ、逆らうことを誘発してしまいます。本当は、本人自身も後ろめたい気持ちや、何とかその状況から脱したいと思っています。ニートと呼ばれる若者も、一般的には就労意欲が低いと思われがちですが、本人は、決してそうではなく、全体の82%が「社会や人から感謝される仕事がしたい」と思っていますし、80%が「どこでも通用する専門技能を身につけたい」と思っているのです。反面、「仕事をしていないと後ろめたい」と思っているのも82%います。では、働けばいいではないかと思う人が多いと思います。いわゆるワルと呼ばれている中学生も、成績がよくなりたかったら勉強すればいいではないかと思うのです。しかし、どこかで掛け違ったボタンは、もう一度はずして掛け直さないといけないのです。「ほら、違うでしょ」と言っても、「自分でやってごらん」と言っても、なかなかできないのです。ニートと呼ばれる若者も79%は、1ヶ月以上の就労経験があるのです。では、どうして働こうとしないのでしょうか。就職活動で問われる能力について不得意かどうかをたずねると、トップに上げられるのが、「計算」で42%もいます。ブログでも取り上げましたが、ドイツをはじめとして、世界では陶冶と言うことで、人格形成を主にした幼児教育でも「算数」が重視されているのはわかりますね。どうしても、日本では「算数」は、早期教育と思ってしまうことが多く、幼児教育では避けたり、嫌ったりすることが多く見られます。私からすると、それは、本当は、保育者のほとんどは、数学の苦手な人だからのような気がします。また、そのほかに不得意とする能力で「人の話を聞く」の34%に比べて突出して多いのが、「人に話をする」の64%でした。この結果を見ても、それはほとんど本人のせいではないようですね。親をはじめとする周りの大人の接し方が問題の気がします。少子社会になったこともあり、いわゆる「過干渉」の親が増え、多子社会での教育の方法のいっせいに指示し、そのとおりに子どもを動かしてきたことも原因のひとつでしょう。そして、学校に行くようになると、ほかの子どもたちからの過干渉、いわゆる「いじめ」に会い、また自分の考えを言うことが阻止されます。今回の調査でも、ニートと呼ばれる若者の55%が「学校でのいじめ」を経験してきており、37%が「不登校」の経験者です。私が面倒を見たいわゆる「ワル」の子のほとんどは、幼稚園、保育園時代にいじめられっ子だったと言います。いじめられないためには、いじめることだとも言っていました。子どものころのねじれは、さまざまな問題となって後になって現れてきます。

ニート” への2件のコメント

  1. 私たちがしっかり受け止めなければいけない調査結果です。一般的に考えられているニートやワルのイメージとは全く違っています。変なイメージを持ったまま子どもたちと向き合うと、本当の姿が見えなくなってしまいます。子どもたちへの関わり方や教育のあり方を変えていくことで、ニートを減らす方向に進んでいかなくてはいけませんね。

  2. 中高時代を俗に言う「ワル」で過した同級生たちは人の親になって「あの頃、ちゃーんと勉強しておけばよかった」ともらします。もっともそれぞれの分野で相応に活躍していますから今日のブログの内容とは異なります。何が直接の引き金になるかはわかりませんが、他人との「関係」構築に後ろ向きになる人たちが年々歳々増加しているような気がします。大人の意向でやりたいこともできないように幼い頃から悪い意味での「あきらめ」感を習得してきたのだろうと気の毒に思います。幼児期の「ねじれ」に小学時代の諦観が加わると中高は「抜け殻」的状態に陥ります。そして「諦め、抜け殻」の先にあるのは「ニート」的ありように発展するのでしょう。こうした「ニート」については「家庭の教育力」が協調されますが、明治以来のスタイルを基本的に崩すことができない「学校」にその原因があるのでは、と思ったりします。

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