ムクゲとタチアオイ

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 夏になると、大きなきれいな花を見かけることがあります。そのときに、私は、「ムクゲ」という花と、「タチアオイ」という花の区別がなかなかつきません。本当は、この花の違いは花の形の違いではなく、「ムクゲ」はインド・中国原産の落葉樹で、「タチアオイ」はアオイ科の一年草で、宿根草です。見れば、木か草の違いなのですぐわかるのでしょうか、花だけの写真では私は区別がつきません。でも、そんなことを言うと失礼ですね。というのは、「ムクゲ」は、大韓民国の国花で、しばしば韓国の象徴とされ、国章にも意匠化されています。ムクゲは、花は1日でしぼみますが、次々に咲くために花期が長く絶えることがありません。ですから、朝鮮語では無窮花(むきゅうか・ムグンファ – ???)と呼ばれ、永久の花に通じるといわれます。和名のムクゲは、漢名の木槿または無窮花の音読みによるといわれています。この花は、茶室の生け花に使われることが多いそうです。“わび”,“さび”の世界に合うと思われてきていますが、実は、あの南国の情熱の花と言われているハイビスカスと同じ仲間です。樹皮を乾燥したものは木槿皮という生薬で、抗菌作用があり水虫薬に配合されますし、花を乾燥したものは木槿花という生薬で、胃腸炎、下痢止め等に用いられます。
 一方、「タチアオイ」という和名は、その立ち上がるように伸びる茎に由来しています。
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 そして、「葵」とはふつうこの「立葵」のことを 指すようです。しかし、私たちが「葵」といって思い出すのは、京都で行われる 「葵祭り」とか、江戸徳川家の紋所 として知られる「葵の紋所」ですが、これは、この「立葵」ではなく「双葉葵」 という名の草とのことです。江戸時代の元禄のころ、中国から「タチアオイ」が渡来し、日本中に広まると、この「タチアオイ」が「あおい」と呼ばれるようになりました。この花も、ムクゲと同じように穂状に多数の花がつき、長期にわたって咲き、豪華です。ですから、ムクゲにしても、タチアオイにしても夏から秋にかけてよく見かける花なのです。会津若松市では、戊辰百年祭の記念行事の一環として一般市民から公募し、昭和42年に会津地方にたくさん見られる花ということで、タチアオイが市の花として制定されました。そして、平成12年度から「花と緑の課」を新設し、市の重点施策として「美しい環境のまちづくり」を掲げ、その実現のために美しい花々によるまちの演出と、植栽による緑豊かなまち並みの創出などについて取り組んでいます。この花と緑の課では、希望する市民の方に無料でタチアオイの種を配付して、タチアオイの普及を図り、市有地である中央公民館、会津総合運動公園、鶴ヶ城公園西口花壇にもタチアオイが植えられています。この花は、「ホリホック」と英名で呼ばれることもありますが、これは葉の形がヒイラギ(ホーリー)に似ており、茎の節がくるぶしのようにぼこっと節くれ立つ(ホック)様子に由来するということと、12世紀頃の十字軍が シリアからこの花を持ち帰ったことから、「ホリーホック聖地」から きているとも言われています。また、学名のアルケアは病気を治すという意味で、タチアオイ属の中には薬用になるものが多いところに由来します。花言葉は、「大望」「野心」といわれますが、真夏の暑い盛りに、そんな暑さにしおれずに、かえって、まっすぐに茎を空に向かって伸ばし、下段から咲き始めてゆっくりと上に上っていく姿が大望を持っているように見えるのかもしれませんね。