色覚バリア

 高さは、脳のシナプスを増やすためにとても意味あるものですが、時には、ある人たちにとっては、「バリア」になることがあります。高さは、段差になるからです。段差は、足を上げなければ登ることは出来ませんし、足の力が必要です。また、車などでは登ることは困難です。車椅子やバギーや自転車などにとっては、段差は障害になります。このように物事は両面もっていることがあります。車にしても、体の不自由な人にとっては移動するためにとても便利なものですが、一方、歩いている子どもたちにとっては危険なものにもなるのです。ある人にとって、便利なものが、ある人にとっては、危険なものになったり、生活するうえで障害になったりすることがあります。それは、なかなかその身になってみないとわからないことがあります。
毎日新聞に連載されて始めて知った言葉に「色覚バリアフリー」があります。さまざまな生活上の障害を取り除くこと、バリアフリーについては、以前のブログで書きましたが、色覚バリアフリーは知りませんでした。しかし、「色覚障害」とも呼ばれる「色盲」は黄色人種では男性の20人 に1人(5%)、女性の500人に1人(0.2%)に見られます。(白人では男性の8%、黒人では男性の4%)となると、色盲は世界的には AB型の血液型の頻度に匹敵し、極めてありふれた存在なのです。この調査が行われた平成8年10月と同時期に行われた調査でも、日本人の中に、色盲の人は約318万人いることになり、身体障害者の総計を越える数となっています。それから考えると、小中学校の40人学級(男子20人)の各クラスに必ず1人、男女100人の講演会場では、2?3人の色盲の聴衆がいるという計算になります。これだけ式網の人がいるのに、なんとなく社会的な差別や偏見といった過去の経緯から色盲であることを隠す人が多いのでわかりませんが、生活上、かなり不便を感じている場面があるでしょうね。そこで「色」だけで区別、判断させるような分かりにくいものを「色のバリア」と考え、色弱(色盲、色覚異常)者にとっても分かりやすい色づかいや表示方法にする「色覚バリアフリー(カラーバリアフリー)」に取り組む必要があるのですが、他の障害に対するバリアフリー対策に比べ、色覚に関するバリアフリー対策は遅れているようです。反面、印刷技術の発達やインターネットの普及で、我々の身近なところで色の違いによって重要な情報を判断しなければならない機会が急激に増えてきています。また、さまざまな情報を正確に伝達することが求められ、商業デザインの場では商品やサービスの情報がより多くの人に確実に伝わることが求められています。ですから、これからの時代では、もっと「色覚バリアフリー」について意識を高め、誰にでもわかりやすいユニバーサルな色彩表現を広げていかなければならないのです。最近、身の周りの様々なものにカラフルな色が増えました。少し前まで、モノクロが多かった携帯電話画面も今はカラーになり、印刷もカラープリントが急速に普及し、TVのニュースでも話題になった青色LEDの開発や液晶モニタのコストダウンによって駅や建物の案内表示板なども美しく、分かりやすくカラー表示されるようになりました。このような色づけされた分かりやすい表示も、色の組み合わせによっては、「色弱者にとっては逆に分かりにくい表示」になってしまう事もあるのです。今、色覚障がい者が見やすい「地下鉄マップTOKYO」が作られ、無料配布されているそうですが、色覚障がい者だけでなく高齢者や養護施設の方などにも喜ばれているそうで、どんなものか見てみたいものです。