両立から調和

 こんなDMがきました。「あなたの家に家政婦が来ると、生活はこれだけ変わる。年収1000万円を超えたら、掃除・洗濯は自分でやるな!!」というチラシです。このチラシの片面には、ゴロゴロしてテレビを見ている父親に子どもが話しかけています。「せっかくの休日なのに、掃除、洗濯に追われて家族で出かけることもなかなか出来ない…。家事が終わるまではお出かけはお預け。唯一家族がそろう休日なのに、家からも出ず、結局朝から晩まで掃除と選択とゴロ寝で1日が終わる。休みの日なのにぜんぜん休んだ気がしない。これじゃ体も気持ちも休まりません。」それが、こうなるともう片面には子どもを肩車した父親と、その子に笑顔で話しかけている母親の写真と共に「掃除と洗濯に使っていた時間をこれからは大切な家族の為に、自分の自由な時間に為に使ってください。他愛のない話に、思わずこぼれる笑顔と、時間に終われることなくゆったりと過ごす時間が手に入ります。時間と手間のかかる掃除と洗濯は私達家政婦に任せて、家族で出かけたり、読みたかった本を読んだり、掃除と洗濯の義務から解放されて、その分、家族・子ども・自分の時間が手に入る。」と書かれています。よく、「仕事と育児の両立」といいますが、夫婦の年収の合計が1000万くらいの収入になると、育児と仕事がなかなか両立はしません。しかし、園に苦情を言ってきたり、イライラしているのは高収入の人のほうが多い気がします。何事も完璧にしようとし、結局どっちつかずになってしまって悩んだり、どちらかが犠牲になることも多いようです。どんなに忙しくても、仕事がたくさんあっても、子どもが熱を出しても、子どもが本を読んでとねだっても、1日は24時間しかありません。これは、地位にも、収入にも関係なく、平等です。ですから、この24時間をどう使うかがその人の能力かもしれません。それを、何でもかんでも欲しがるとか、すべてをパーフェクトにしようとか、すべてを欲しがっても無理なのです。OECD(経済協力開発機構)でまとめられた「スターティング・ストロング?」乳幼児期の教育と養護「ECEC」(2006,9,11)のなかで、女性参加の考え方を「女性にとってより公平な基準に則った仕事と家庭責任の調和(仕事と家庭のバランス)」といっています。両立ではなく、「調和」とか「バランス」といっています。私も、日本で政府の施策として「育児と仕事の両立支援」という言い方をしますが、これを「育児と仕事の調和支援」とすべきだと思います。自分として、人生をどうバランスをとっていくかが、どういう生き方をするかということです。今月の夜9時ごろの南の空に、とても明るく光る「木星」と、ぽつんと光る「アルクトゥールス」が見つかりますが、この「木星」と「アルクトゥールス」のあいだの4つの星が「てんびん座」です。ギリシア神話に出てくる正義の女神アストレイアがつかっていた、人の善悪をはかる「てんびんばかり」が星座になった、とされています。その時々に、育児と仕事をてんびんにかけてどちらをどのくらい選択するかが、その人の能力になります。二兎追うものは一兎も得ずということで、追っている二羽の兎が、それぞれ違う方向に逃げていくときは自分だけで両方追おうとすると両方とも逃がしてしまいます。イライラせず、誰かにあたったりせず、もっと心豊かに日々を過ごして欲しいと思います。二度と来ない「今」を大切にして欲しいと思います。