散った桜

 美術館が、今、東京では開館ラッシュです。六本木では、国立新美術館(2007年1月21日開館)に続いて、サントリー美術館(2007年3月30日開館)の相次ぐオープンにより、一大アートエリアとしてさらなる盛り上がりを見せています。これら2館に六本木ヒルズビルの中にある森美術館を加えた3館は、地図上で三角形を描く「六本木アート・トライアングル」として、新しいアートの拠点になっています。私もその3館に行ってみたいのですが、たぶん今の時期はとても混雑して、ゆっくり見るどころか入場もできるかどうか怪しいくらい混雑しているのではないかという気がします。そこで、昨日の日曜日は、山種美術館に行ってみました。山種美術館は故山?種二が蒐集した美術品の寄附により、昭和41(1966)年7月、日本橋兜町に日本画専門の美術館として開館した美術館です。その後、昭和51(1976)年、二代目理事長・館長の山?富治が旧安宅コレクションの速水御舟作品104点を一括して購入し、それまで所蔵していた作品と合わせて118点(うち79点は素描類)となり、国内外で最も優れた御舟コレクションと言われています。そして、30数年を経て設備の老朽化に伴い、平成10(1998)年に東京都千代田区三番町へ移転いたしました。この場所は、桜やボートが浮かぶ風光明媚な千鳥ヶ淵に隣接しており、また、この千鳥ヶ淵は、遺骨収集などにより海外などから持ち帰られた戦没者の遺骨のうち、遺族に引き渡すことのできない遺骨を納骨してある「千鳥ケ淵戦没者墓苑」があります。この「山種美術館」で、今開催されているのは、毎年春のお花見の時期に行われている「桜展」です。この開催趣旨には、「四季折々の風趣に恵まれ、自然にゆだねた生活を営んできた日本人にとって、草木花に寄せる想いはことのほか深いものがあり、特に桜は古来より親しまれてまいりました。絢爛と咲き、いさぎよく散る…桜ほど日本人の美意識に適う花はないのではないでしょうか。それゆえに絵画、文学をはじめとする芸術全般において多くの芸術家たちに好題材として選ばれてまいりました。本展覧会では、所蔵品の中から桜をテーマにした作品を中心に選び、お隣の千鳥ヶ淵の桜と共に華やかさを競い合おうという趣向でございます。今年は桜ばかりでなく、春を彩る美しい花々とともに春を満喫していただき、都会の喧騒を離れてお過ごしいただければ幸いに存じます。」ということで、「桜さくらサクラ・2007 ―花ひらく春―」と題して、横山大観の「春の水」、菱田春草の「桜下美人図」、上村松園の「桜可里」、奥村土牛の「吉野」、山口蓬春の「芍薬」、速水御舟の「夜桜」、伊東深水の「吉野太夫」、東山魁夷の「春静」、奥田元宋の「奥入瀬(春)」、石本正の「罌粟」、加山又造の「夜桜」など有名な作家、作品が約45点も並んでいます。必ずしも「桜」を題材にしているわけではありませんが、この描かれている景色、桜以外の花を見ても、その周りに桜が咲いているのを感じます。これらの絵を見て気がついたのですが、以前のブログではありませんが、満開の桜というよりも、夜桜とか、1本の桜とか、桜の華やかさというより、その華やかさの裏にある寂しさを描いたものが多くありました。館の外の桜は、盛りを過ぎ、葉桜に換わりつつあり反面、花びらで覆いつくされた公園、お堀などの表面は鮮やかであると同時に、はかなさを感じます。
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 桜は、咲いているときだけでなく、散っているとき、散り終わって地面を覆っているとき、すべてに日本人が好んだ「美」がある気がしました。
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