成長

 昨日、卒園児と一緒に「お別れ遠足」に行きました。行き先は昨年同様「小山田緑地」です。今も残る里山の間を縫って歩きます。途中の、トンボ池には、小さなおたまじゃくしが泳ぎ、まだかえっていない蛙の卵が水の底に沈んでいます。あさざ池には、カルガモのつがいがえさをついばんでいます。昨日の雨で少しぬかるんでいる道には、何かの獣の足跡がついています。高台に立つと、下のほうには里山が広がっています。こんもりした林の下には、そのあたりの人の墓地があり、いくつかの墓石がこじんまりと立っている姿も懐かしい景色です。その周りには畑が広がり、その畑では、なにをしているのかわかりませんが、屈んで草をむしっているのか、大根でも引き抜いているのか、そんな姿も小さく見えます。家からは、まだ時間が早いのですが、薄煙が立ち上っています。ふとみると、目の前の原を狸が駆け抜けていきます。のどかな里山の風景です。ただ、ひとつ残念なことがあります。この里山の周辺は、ゴルフ場なのです。里山の道は、時折ゴルフ場のコースを横切らなくてはなりません。そのときだけは興ざめですね。子どもたちには、「今日の道のりを歩きとおすと、立派な1年生になれるよ。」と話しておいたので、最後まで、声を掛け合ったり、自分で掛け声を上げてがんばっています。また、「山道では、すれ違う人には、こんにちはと挨拶をするんだよ。」と教えているので、すれ違う人にみんな声をかけます。かけられた人たちは、みんなうれしそうに、笑顔で声を返してくれます。ただ、子どもたちには、「町の中の道や、電車の中では挨拶はしないように」と注意しなければならないのは、少し心が痛みます。
歩いている道端に「カントウタンポポ」を見つけました。
kantoutannpopo.jpg
最近、ほとんどセイヨウタンポポです。セイヨウタンポポは、日があたれば運動場や道路のような場所でも大丈夫ですから、セイヨウタンポポが多ければ、人が切り開いた場所であり、日本のタンポポは、木や草が多いところで、冬から春にだけさくので、日本のタンポポがあれば、木々や緑が多い場所ということができます。タンポポというと、あのきれいな黄色い色をして咲いている姿と、綿毛になった姿を思い浮かべます。その途中の姿をあまり見ませんので、どのように変わっていくのか不思議です。このタンポポの,花が咲き終わってからの様子に注目して,さまざまな事象とその理由を説明しているのが、小学校2年国語の教科書の「タンポポのちえ」です。立つ(伸びて花が咲く)、ねる(花が咲き終わると横に垂れる)、立つ(実の中の種子が熟してくると花茎は立ち上がる)と表されています。その姿は、大自然に逆らうことなく,与えられた環境のもとで,精一杯知恵を働かせて生きているたんぽぽの姿です。種を飛ばすための綿毛に姿を変える前には、きれいに咲いた花がかれ、いったんは倒れます。それは、決して終わりではなく、次に綿毛として起き上がるための休息なのです。休息が終わると、また生き返ったかのように凛として立ち上がるのです。
watage.JPG
この姿を見ると、成長というものは、アナログの世界で、過程がとても大切なものだという実感を持ちます。その瞬間の姿であるデジタルなものとして判断をしてしまうと大切なものを見失ってしまうことがあります。枯れて倒れている姿は、未来の希望を含んでいることがあるのです。卒園児とお別れ遠足に来て、つくづく子どもの成長もアナログの世界だという気がしました。

成長” への3件のコメント

  1. 藤森先生といえば講演会で熱弁をふるっている姿しかイメージできませんが、
    保育園ではかわいい子どもたちにとってはやさしい園長先生なんですよね。
    子どもたちといろんなお話をしながら、里山を歩いている様子を想像するとなんかほのぼのとしてきました。
    「枯れて倒れている姿は、未来の希望を含んでいることがあるのです」とのお言葉には考えさせられました。
    逆境も決して意味のないものではなく、未来への踏み切り台ととらえていけば、何も恐れることはないのですね。

  2. タンポポの姿がどのように変わっていくか知りませんでした。当たり前のことですが、連続したものとして捉えないと成長はわかりませんね。過程を大切にしようと思うと、どこに向かっていく過程なのか、その向いている先も当然大切になると思います。子どもたちの成長がその子どもたちにとって意味のあるものになるように、できることを1つずつ確実にと思っています。

  3. 今日のブログから「里山」を想像しています。そして里山の小道をゆく子どもたちの姿も目に浮かびます。歩いては立ち止まり、なにかを見つけてひとしきり解説をしてまた歩き始める。ある子は列から少し遅れ追いつこうと思って走り出す。先生にいろいろと尋ねる子、お友達と手を繋いで歩くこと、そのことだけで楽しくなる子、掛け声かけて頑張って歩く子・・・ひとりひとりの成長が見て取れる「遠足」風景です。和製タンポポの「カントウタンポポ」、朴訥とした中に絶妙な美を醸し出しています。立って寝てまた立って・・・タンポポに生き方を教わるような気がします。詩人坂村真民さんの「タンポポ」を思い出して、なんだか勇気が湧いてきました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">