第9

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 この写真の看板は、何を表していると思いますか?ドイツに行ったことがある人はすぐにわかると思います。そうです。あのドイツのパン「プリッェル」です。この看板は、ドイツのパン屋さんの看板です。この看板に、思いがけず、今日の朝に来た、徳島県鳴門で見ました。どうして徳島にあるのでしょうか。この建物は実は映画のロケ現場です。その映画とは、昨年6月に全国東映系でロードショーされた「バルトの楽園」です。この映画は、言語や習慣、文化の異なる国民が収容所生活という特殊な環境で、ドイツ人捕虜と日本人がどのように交流していったのか?そして現代に何を残したのか?と問いかけながら、捕虜達の技術、職業、知識、経験が生んだ地域住民との友好と産業の興隆、軍人でありながら、生きる自由と平等の信念を貫き通した所長・松江豊寿を始めとした所員達のヒューマニズムを描き、反人権と暴力が衝突し、混迷を極める現代社会に警笛を鳴らし、希望の光を灯してゆくことを目指したものです。
 1914年、第一次世界大戦で日本軍は、3万の大軍を送り込み、ドイツの極東根拠地であった中国の青島(チンタオ)を攻略しました。その戦いの結果、ドイツ兵4700人が捕虜として送還され、日本各地にある俘虜収容所に収められる事となりました。ふつう、厳しい待遇が当然な俘虜収容所の中で、約1000人の俘虜たちが収容された奇跡のような収容所が、徳島県鳴門市の板東に存在していました。
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 それは、ここ板東俘虜収容所の所長を務める会津人の松江豊寿は、陸軍の上層部の意志に背いてまでも、ハーグ条約に則りドイツ人捕虜達の人権を遵守し、ドイツ人俘虜収容所としては例のない寛容な待遇をさせたのです。そこで、ドイツ人の捕虜達は、言語・習慣・文化の異なる地域住民と民族を越えた素朴な人間愛を育みながら収容所での生活を送ることができました。そこで、様々な技術が日本人に伝達されたのです。たとえば、パンの伝承は、徳島県の農業技師が自宅の庭に小屋を建てて俘虜を数人宿泊させ、そこから敷島パンに通勤させてパンの製法を伝授していたそうです。また、鳴門市内にある『ドイツ軒』というパン屋は、俘虜たちが教えた製パン技術を今も守っているそうです。そして、ソーセージは、 日本ハムの創業者である故・大社義規氏が食肉加工技術を俘虜たちから学び、徳島市内に日本ハムの前身となる「徳島ハム」を創業したそうです。さらに、ロースハムの名付け親である俘虜のアウグスト・ローマイヤー氏は、解放後に帝国ホテルでハム・ソーセージ職人として従事し、やがて東京銀座に『ローマイヤー』というレストランを開いたそうです。そして、俘虜のハインリヒ・ヴェーデキント氏は、解放後に月星ゴムに迎えられ、50余年を勤め上げ、日本のゴム産業発展に寄与したそうです。有名なところでは、ドイツ人菓子職人カール・ユーハイム夫妻が神戸に創立し、戦後バター納品業者だった河本春雄前社長が出資、株式会社化したのが、バウムクーヘンが有名な「ユーハイム」です。ただ俘虜を痛めつけ、過酷な処遇を与えていたなら、ずいぶんと日本も損したことでしょうね。人はいがみ合うことからは、恨みを生みこそすれ、得られるものは何も生みだしません。助け、援助するところから、また、共生し、協力するところから後世に残るものが得られるのです。
 もうひとつ、重要な遺産があります。これが映画の主題です。それは、ここの収容所内で、ベートーヴェンの「交響曲第九番」がドイツ兵捕虜による全曲演奏がなされたのが、日本における第9の初演とされています。

第9” への2件のコメント

  1. 今日のブログは二つの意味で感慨深いものがあります。一つは徳島の坂東収容所切手です。1918年ドイツ人捕虜が収容所内部郵便のために発行したといわれます。2銭切手と5銭切手の2種類があります。2銭切手の使用済価値はカタログ価格9万円、5銭切手の使用済価値はカタログ価格15万円もします。両者とも未使用より使用済みの方が価値が高いです。そして二つ目は無論、今日のブログのタイトル「第9」です。高校時代から親しんでおります。♪フロイデ シェネル ゲッテルフンケン トホッテル アウス エリィーズィム・・・♪昨年12月には東京オペラシティでドイツ・ザールブリュッケン放送交響楽団の第9演奏会を聞きました。素晴らしい演奏にとても感動しました。坂東収容所のドイツ人捕虜による第9演奏、聴いてみたかったですね。♪アーレ メンシェン ヴェルデン ブリューダー ヴォー ダイン ザンフテル ブリューゲル バイルトゥ♪ドイツとはとことん縁があるな、と思います。

  2. 知らない事ばかりです。こんな歴史があったんですね。こういったことを知るたびに、勉強は学校だけでするものではなく生きている間は毎日が勉強だと思わされます。いがみ合うことからは何もうまれないということも、もっと意識しておかなければいけません。共に歩んでいくということを大切にしようとあらためて強く思いました。

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