生卵

 よく、宿泊した宿で、朝食に「生卵」が出ることがあります。今は、ほかに、目玉焼き、いり卵、卵焼き、温泉卵、ゆで卵など様々な卵料理が出ますが、昔は、たとえば修学旅行の時などは必ず生卵が出ました。今日の旅館では、朝食に生卵が出ました。そんなときには、皆さんは、どのようにしてその卵を食べますか?ほとんどの人は、「卵かけご飯」して食べるようです。これは、生の卵と飯を混ぜ、少量の醤油等で調味して作る飯料理ですが、呼び方は地域によって違うようです。「卵ぶっかけご飯」、「卵ご飯」、「卵かけかけご飯」、「卵かけ」、「たまご飯」などと呼ばれていますが、一般的には、関東では「卵かけご飯」、関西では「卵ご飯」と呼ぶ傾向があるようです。この食べ方は、手が空かないときに発明されたあの「サンドイッチ」に匹敵する日本特有の食文化ではないかと思います。朝食によく食べられるのには理由があります。第一に短時間で食べ終わることができる点です。この理由は、ご飯に生卵を加えることで、炊いた米特有の弱い粘り気が減り、米粒一つ一つが分離して流動化し、流し込むように掻き込んで食べることができるためである。このため、たとえば前日の酒量がたたって、食欲不振で昼食までの間に必要とする量が摂れない気分の時でも、流し込むように食べることができ、多くの量を摂ることができるからです。しかし、鳥類が産む卵を食用とするようになった歴史は比較的新しく、卵かけご飯を食べるようになったのは明治時代だそうです。平安時代以降、卵は神仏に供えるものであり、食べると罰が当たるとされていました。そこで、一般的に鶏卵を食べるようになったのは、江戸時代だといわれています。また、現代の日本では卵は生食できる食品として広く知られていますが、外国の殆どの国では、卵を生食する食習慣はなく、火を通した調理が一般的です。それは、生卵はサルモネラ食中毒などを起こしやすく、衛生や伝染病感染の背景から生卵を安全に食べられる地域は限られているからです。日本では、生で食べることを前提にしているので、鶏卵農家が抗生物質を含んだ飼料を与えたり、衛生管理全般が行き届いていますが、日本でも最近、サルモネラ食中毒が増加しているそうです。私は最近は、普段あまり卵かけご飯は食べません。納豆ご飯もそうですが、ご飯は、白いご飯として味わいたいために、何かを混ぜたり、ご飯に何かをかけたりするということはせずに、別々にして食べます。ちなみに、今日は、コンロで温める味噌汁だったので、その中に卵を割りいれて食べました。ご飯に混ぜると言えば、とても美味しいので、小さいころによく食べたものがあります。それは、まず、茶碗にほかほかのご飯をよそります。そのご飯の上に、バターをひとかけのせ、融けるのを待ちます。その上に、少量の醤油をかけ、ご飯、ベター、しょうゆを絡めるようにかき混ぜます。そのマッチングは、微妙な融合があります。子どものころは、とても美味しくて、よくそうして食べました。最近の子どもは、そのように食べることもあるのでしょうか。もし、食べたことのない人がいたら、ぜひ試してみてください。あまり美味しくないとしたら、こんなものを昔はおいしいと言って食べた時代もあったのだということを思い出してみてください。食文化には、消えていくものが多くありますが、その時代を反映していることが多いので、大切にしていきたいですね。