ドイツに行って、改めて「癒し」ということについて考え、保育室の中で、子どもたちに癒しを与えるものを考えてきました。もともと「癒やす」というのは、病気や傷をなおす。飢えや心の悩みなどを解消するということです。そして、体の疲れを取り、心を鎮めて自分を見直し、気持ちを楽にすることで、「ホッとする」気持ちになれるということです。気分転換や癒やしの方法は、数多くあるので、それを考えてみましたが、今日は、香りの癒やしを考えて見ます。というのは、先日お年寄りが集う健康センターに行ったときに、玄関を入った瞬間、消毒のにおいがしました。そのにおいをかいだ瞬間、なんだか、その場ではくつろげなくなってしまったのです。あの消毒のにおい、薬品のにおいはなぜか心を不安にさせます。最近、少なくなりましたが、かつて、保育室は薬品のにおいがしていました。もちろん、それは清潔にするために床とか、遊具を消毒していたのですが、そこで、子どもが癒されるとは思いません。それに比べて、今の時期かすかに漂ってくる「梅の香」、冬を越え、いっせいに芽吹いた草の香、なんといっても癒される香りといえば、草、木、花といった自然の植物から発する香りが一番です。これからの季節では、その香気は邪気を払うとされ、古くから魔よけに用いられたほか、入浴にも使われてきたものに「蓬」があります。蓬の葉の香りはストレス解消や安眠にもよいといわれています。蓬は、日本各地の山野や道端などに自生するキク科の多年草の植物です。蓬は漢方名で「艾葉(がいよう)」と呼ばれ、「疾(やまい)を艾する(止める)」という意味を持つほど、とても身近な薬草です。その薬効は、通称『万能薬草』といわれるほど高く、栄養価も高いことから健康食としても注目されています。ですから昔から草餅や草だんごの材料として親しまれているほか、蓬の葉の裏の灰白色の綿毛を乾燥させたものは「モグサ」と呼ばれ、お灸として幅広く利用されています。この蓬は「キク科」の植物ですが、「キク科」の植物は、癒しにおいて私は、ナンバーワンという気がします。菊の芳香には、カンフェンなどの精油成分があり、皮膚を刺激して血行を促進し、身体の痛みをやわらげる効果があります。中国名で「母菊」と呼ばれるキク科の植物は、「ハーブの女王」といわれている「カモミール(和名:カミツレ)」です。カモミールは、クレオパトラが薫香として愛したほか、ピーターラビットの童話にもおなかの調子をととのえるハーブティーとして登場するなど、幅広い効能・効果があります。医薬品のない時代、昔の人々は身の回りにある薬草(ハーブ)の癒しの力を利用して病気を予防したり治療してきました。ハーブとは、「生活に役立つ香りのある植物」というのが一般的な定義です。それが、白い薬と言われる現代の医薬品が次々と開発され、緑の薬(ハーブ)は姿を消していました。しかし、今の私たちを取り囲んでいる複雑な環境から生み出されているストレスは、近代医学の白い薬では効力がありません。そんな時、昔から行われてきた自然療法が見直されてきました。さらに 人々は白い薬が人間に与える害に気が付き始めました。そして緑の薬であるハーブの存在に再び気が付き始めたのです。ハーブは、多種多様な有効成分を含み、それぞれの成分の調和がとれています。ハーブは穏やかに私たちの身体を包んでくれます。そして、ハーブ療法は植物の持っている癒しの力を使って、私たちが持っている自然治癒力に働きかけるものです。音同様に、自然のものにはかないませんね。