私たちは、よく、「専門性」とか「プロ」という言葉を使います。園や学校を経営しているときに、よく、「最近の保護者はうるさい」ということを聞きます。しかし、保護者が子どもを思う気持ちを持つのは当然ですし、心配するのも当然ですし、何とかよくしたいと思うのも当然です。この子どもを一生懸命に思う気持ちは、とても望ましいことなので、それが「うるさい」と表現するのは抵抗があります。これが、教育や保育の「プロ」の言う言葉かと思ってしまいます。プロであれば、その思いを受け止め、専門性から将来を見据え、きちんと助言をしていくべきでしょう。
今、NHKで、「プロフェッショナル」という番組を放映しています。この番組は、かつての「プロジェクトX」に続くものですが、「プロジェクトX」は過去の業績に光をあてていましたが、この「プロフェッショナル」は、今と未来を描くドキュメンタリーです。この番組に登場するのは、誰もが認める、その道のプロです。斬新な試みに挑戦し、新しい時代を切り開こうと格闘中の挑戦者であり、数々の修羅場をくぐり、自分の仕事と生き方に確固とした「流儀」を持っている仕事人たちということが、この番組のテーマです。「時代の最前線にいる彼らはどのように発想し、斬新な仕事を切り開いているのか。これまでどんな試行錯誤を経て、成功をつかんだのか。そして、混とんとした今の時代をどのように見つめ、次に進んでいこうとしているのか。し烈な競争や成果主義、ニートの急増など、日本人の仕事をめぐる状況が大きく変わりつつある今だからこそ、プロフェッショナルな人々の姿を通して、仕事の奥深さ、働くことのだいご味を伝えたいと思います。」
この番組の12月7日放送の「りんごは愛で育てる」が反響を呼んでいます。青森のりんご農家の木村秋則さんの話です。化学的に合成された農薬や肥料を一切使わない不可能と言われたりんごの栽培を紹介しています。彼の畑では、あえて雑草を伸び放題にし、畑をできるだけ自然の状態に近づけることで、そこに豊かな生態系が生まれ、害虫を食べる益虫も繁殖することで、害虫の被害は大きくならない。さらに、葉の表面にもさまざまな菌が生息することで、病気の発生も抑えられる。彼は、人工的にりんごを育てるのではなく、りんごが本来持っている生命力を引き出し、育ちやすい環境を整えること。そして、こう言います。「育てない。手助けするだけ。」この言葉には、育児、保育に通じるものがあります。なかなかうまくいかず、6年目の夏、絶望した木村は死を決意します。そこでふと目にしたドングリの木を見て、「なぜ山の木に害虫も病気も少ないのだろう?」と疑問に思い、早速、山の環境を畑で再現します。そして、8年目の春、木村さんの畑に奇跡が起きます。畑一面をりんごの花が覆い尽くすのです。それは豊かな実りを約束する、希望の花なのです。彼の言葉には、このりんご育てた自信と、確かな実践に裏づけされた深みがあります。「主人公は、りんご」という言葉にしても、あたりまえのように聞こえますが、この言葉を実践するのは難しいでしょう。また、なかなかうまくいかない弟子に向かって、「答えは、りんごに聞け」といいます。なかなか落ち着かない子どもに対して、どうしたらよいかをよく聞かれます。そのときに「答えを、子どもに聞け」といえるかもしれませんね。最後にプロフェッショナルとはと聞かれて、「技術も心も一緒に伴った人が、プロじゃないでしょうか。」本当のプロの言葉は、どの世界にも通じますね。
「育てない。手助けするだけ。」と言ってりんごが本来持っている生命力を引き出し、育ちやすい環境を整えるやり方からは学ぶことが多くあります。自然の声に耳を傾け、自然から学ぼうとする姿勢は大切ですね。プロフェッショナルを見ていなかったことを残念に思っています。
藤森先生の言われるように、いろんな分野のプロの言葉はどの分野でも通用するものだと思います。プロの言葉を聞くたびに気づかされることがたくさんあります。多くのプロに出会って、自分の行動やその方向を見直しながら、確かな実践を積んでいきたいと思いました。
12月7日の「プロフェッショナル」、私も観ました。感動しました。主人公の木村さんの語る言葉が藤森先生のお考えに近いなあと思っていたところです。私は保育者でなく、一介の自営業者ですが、私の仕事の流儀を変えていくのに参考になりますね。たとえば、なかなか物が売れないときは、「その答えはお客様に聞け」確かに会社であれこれ悩んでいるより、お客様と話している中に次のビジネスのアイデアが生まれることがよくあります。「技術もこころも伴った人がプロ」ですか、私はまだまだ修行が足りません。この臥竜塾でしっかり心の修行をしていけばいつかは営業のプロになれるかもしれませんね。
「答えは りんごに聞け」=「答えは 子どもに聞け」・・・残念ながら12月17日NHK総合「プロフェッショナル」『りんごは愛で育てる』はまだ観ていません。再放送されることを期待しています。「育てない。手助けするだけ。」という木村さんの言葉、まさにこの通りです。保育者にも教育者にもおしなべてこの姿勢が必要です。「手助け」が「援助」なら、その前に「子ども」に聞く、つまり「子ども理解」がまずなければなりません。「理解」して「援助」して、あとはニコニコしながら大きく育て、いっぱい育て、元気に育て、と見守っていく。どんな仕事でもそうだと思いますが「技術と心」の一体化を目指すことが肝要とのこと、今日のブログから学ぶことができました。