チキン

日本ではあまりなじみがありませんが、絵本などに出てくるクリスマスの食卓には必ずといっていいほど七面鳥の丸焼きが描かれています。私が子どものころは、クリスマスが近づくと、年の瀬が迫った夜の町では、寒い中机を路上に出して七面鳥を売っている姿が見られました。もちろん、町といっても、銀座などにぎやかな町ですが。そのころ、日本では七面鳥を食べる習慣がないというだけでなく、あまりその姿を見ることがなかったので、何で七面鳥を食べるのか不思議でしたが、クリスマスのひとつの風物詩であったことは確かです。クリスマスに七面鳥を食べる習慣はアメリカからヨーロッパへ逆輸入されたものだそうです。コロンブスがヨーロッパ人としてはじめて西インド諸島を発見した後、ヨーロッパからアメリカ大陸への移住が始まりました。しかし住み慣れない土地では、それまで食用としていた豚を簡単に飼育することができませんでした。そこでヨーロッパの人々はアメリカ大陸に生息する野生の七面鳥に目をつけたのです。その後、アメリカに移り住んだピューリタン(清教徒)が、初めての収穫祭に、野生の七面鳥を食べたことがヨーロッパへ伝わり、クリスマスのメニューとして定着していったといわれています。現在、アメリカでは、感謝祭や結婚式、クリスマスに七面鳥をよく食べるそうです。七面鳥の肉は脂肪が少なくて淡白ですが、冬季は脂がのって身が締まり絶品です。
 この「クリスマスには七面鳥」という習慣が、日本では「クリスマスにはチキン」になったのです。今は、もしかしたら、「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」かもしれませんね。カーネル・サンダースは、ケンタッキー州のコービンで経営していたガソリンスタンドに併設して小さな食堂「サンダース・カフェ」を開業し、それがKFCの原点となります。ちなみに、「ケンタッキー」とは、先住の人達の言葉では「明日の大地」という意味だそうです。ちょっと、「うんちく」です。あの売っているピースは、1羽から、手羽(ウイング=wing)、あばら(リブ=rib)、腰(サイ=thigh)、脚(ドラム=drum)の部位がそれぞれ2ピースずつで、胸(キール=keel)が1ピース。あわせて9ピースです。試行錯誤の末、充分納得できる味のフライドチキンの調理法を完成させたのが1939年でした。日本にKFCができたのは1970年、大阪で開催された万国博覧会に出店した実験店は大盛況だったため、この年に日本ケンタッキーフライドチキン株式会社が誕生しました。そして、名古屋に日本の1号店(名西店)がオープンしました。しかし、商いに堅実な土地柄の名古屋でしたので、容易には認知されず、大変だったようです。翌年、神戸に4号店、東京1号店である 5号店を青山に出店し、若者を中心に一気に、人気のお店となっていきます。この東京の青山店で、「サンタクロースの格好をしてフライドチキンをデリバリーしてくれ」という外国人のオーダーを受けたのが、「クリスマスにフライドチキンを!」というようになったのです。このケンタッキー フライドチキンは、店舗数でいうとマクドナルドの1/3の規模ですが、ハンバーガーチェーンは、数多くあるのに比べて、フライドチキンを主体とした全国チェーンは、ケンタッキー フライドチキンしかありません。また、マクドナルドは、藤田田という強力なカリスマ起業家に支えられていたのに対し、ケンタッキーフライドチキンは、三菱商事という強力な後ろ盾がありました。どちらもマーケティング戦略を立案し、それが成功し、日本全土に広まっています。広げるための戦略は、どの分野でも必要かもしれませんね。
 今日、新宿に行ってみたら大きな人だかりがありました。なんだろうと思ったら、なんと、New YorkやSeoulでしか食べることができなかったクリスピークリームドーナツの日本第1号店が今日開店でした。みんなよく知っていますね。
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チキン” への2件のコメント

  1. 鶏肉はカロリー少な目食品です。健康によいことは重々承知なのですが、私は豚肉や牛肉の方が好きですね。バレンタインデーのチョコレート同様、クリスマスに鳥のモモ肉を食べる習慣の原点を今日のブログから知ることができました。Kentuckyが「明日の大地」という「うんちく」は今後役立ちそうです。ケンタッキー出身の方と会う機会があったら、この「うんちく」、利用させて頂きます。ところで、七面鳥は英語で「ターキーTurkey」と言います。Turkeyとはもちろんトルコのことです。七面鳥はアメリカ産の鳥です。その鳥にトルコを意味するターキーという名前がなぜ付いたのか。ある辞書によれば、ギニアからトルコ経由で英国に入った雄鶏と雌鶏に「ターキー」と名前がつけられました。その後アメリカから七面鳥が英国に輸入されると、トルコ経由の鶏と区別が付かなくなり「ターキー」の称号を頂いたようです。そしてついには間違って米国産の七面鳥に「ターキー」という名前をつけて呼ぶようになったとか。ところで、七面鳥の姿、あまり格好の良いものではありませんね。チョイトグロテスクな感じもします。

  2. 先日の「時代を捉える力、時代を読み取る力」、今回の「広げるための戦略」がどの分野にも必要というのは納得です。営利が目的ではなくても、今の時代に必要なことをしっかり行っていくためにはこういう視点も持っておかなくてはいけないでしょうね。この点に関しては企業から学ぶことは多そうです。
    それにしても東京にはいろんなお店がどんどんオープンしますね。田舎はどんどんお店がなくなってきています。利益を出すためには人口の少ないところには出店できないのでしょうが、何とかならないものでしょうか。クリスピークリームドーナツがどんなものかは知りませんが、新しいものは大好きなので食べてみたいです。

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