最近、教育の見直しの中で、さまざまな議論をしています。そして、参考に各国の教育が紹介されています。基本的には、それはその国の風土や歴史、文化などから作られてきたものなので、そのまま日本に取り入れることは冒険でしょう。しかし、その良いところ、また、参考になるべきところをきちんと見ていくことは必要だと思います。毎日新聞に、今年の6月28日「1人1人の子供にふさわしい学習を イギリス」という記事が掲載されていました。その記事の内容は、IT教育先進国のイギリスで、生徒1人1人の能力、進度に応じ学習を進行させる取り組みが始まり、テストの結果や自習の記録などの学習履歴をネットワーク上で一元的に管理、その子の学習の進み具合や学習スタイルに合った教材を提供して、成績の向上を目指すというものです。そのやり方が、東京都内で開かれた日本教育工学振興会(JAPET)とイギリスの文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」の海外教育情報化セミナーで紹介されました。
イギリス教育技能省のケビン技術局戦略遂行本部長は、「成績下位の学校には、予算を投じ、教員を入れ替えたり、学校を閉鎖したり、大胆な対策を実行してきた結果、成績は向上した」と一定の成果が上がったことを説明しました。しかし「義務教育以降の進学率が低い」「所得の低い家庭の子供の進学率が低い」「保護者が学校の教育に参加した方が子供の成績が伸びるが、協力が得られないことが多い」など課題が残っていることを挙げ、「さらに学力を向上させるためには、教育を学習者中心に考え、生徒1人1人に適した学習を提供する必要がある。それはITで実現できる」と語りました。それは、ITを活用して、個々の学習進度を把握して、生徒1人1人に適した学習を提供しようというものです。まず、学習履歴を管理したり、教材を提供する「個別学習スペース」を2008年までに整備し、個人成績、学習システムを使った自習などの履歴を各個人ごとに提示し、生徒本人や教員、保護者がそのページにアクセスできるようにします。そして、1人1人の学習進度や能力に応じた教材提示をしていきたいようです。さらに、「学力向上には、教員が生徒1人1人に適した学習方針を設計できること、保護者が自分の子供の進度や課題、学校のカリキュラムを理解していることが重要だ」と述べています。ITを活用している学校の方が、成績が良い傾向にあることを紹介し、成果を挙げている学校とそうでない学校の差異は「学習管理システムを活用することで、学習進度を把握する」「教員が教育に集中できるように、技術的なサポートを受けられる」「家庭とのコミュニケーションが円滑で、保護者がカリキュラム、ITの活用について理解している」などにあると説明しています。このような取り組みに関しての問題は、日本と同じようです。「普及には(校長を対象にした)リーダーシップ研修が必要。教員研修を先にすべきと考えていたが、まずリーダーシップ研修をすべきだ」であり、「先進的な取り組みをしている人が孤立することが多い」「模範的な例が共有されない」「家庭と学校のコミュニケーショが、すべての人にとって重要なものになっていない」などの課題もあり、すべての学校、教員に普及するためには「校長がITの効果を理解していることと保護者のプレッシャーが有効だ。イギリスでは、ITを活用しているかどうかが学校選択の理由のひとつになっている」といっています。教育、保育の課題も、ただ情緒的に憂えるのではなく、これからは、具体的なツールが必要かもしれませんね。
「いじめ」をめぐって見えてくる教育界の動き、まさに「情緒的」です。情緒人間の私が言うのですから、もう間違いはありません。校長や教員の質のせいにしてみたり、家庭教育の低下のせいにしてみたり、挙句の果てには、「いじめ」は昔からあった、昔の子どもはその「いじめ」に耐え忍んで大きくなった、今の子どもたちは・・・といじめられる子どもの忍耐力欠如批判とも解釈できる情緒論が横行しすぎです。時代の変化にともない従来の日本の教育のあり方が既に制度疲労を起こしている、という事実に素直に目を向けなければなりません。そうして「ひとりひとりの特性に応じた」教育が展開できるシステムを構築しないと「いじめ」もなくならなければ、学力の向上も期待できません。これからの教育界で必要なものは、生徒ひとりひとりを主体と考える教育システムと、そのシステムを支える環境設定及び「具体的なツール」、そして教育の成果判断を後回しにするのではなく、その都度その都度成果を確認できる仕組みです。さらに、マネジメントの発想も欠かせません。個が大切にされると自ずと集団も大切にされると思っています。集団が優先されると個がないがしろにされる傾向があります。集団を優先して良かった例がかつてあったでしょうか?個が大切にされてこその集団だと私は考えます。
技術局戦略遂行本部長という役職が気になりました。教育に関わる感じがしないすごい役職名ですね。
ITの活用で1人1人にふさわしい教育をという事にすごく興味があります。個々の学習進度をきちんと評価できるようにして、その学習進度に応じて必要な学習を提供できるのであれば、ぜひ日本でも取り入れてもらいたいと思います。