ふしぎなたね

 最近、夕張市をはじめとして、各地でバブルの頃に造った建物、施設の維持費がかかり、財政的に破綻する自治体が問題になっています。人は、お金が手に入ったときにそれを何に使うかでその人がわかります。また、一生懸命に稼いだお金だと大切にしますが、降って湧いたようなお金だと、すぐに使い切ってしまうことが多いとも言われています。最近、また景気がよいといわれていますが、そのお金を何に使っているのでしょうか。それは、各家庭だけでなく、国としても、自治体としても、どこにお金を使えばいいのでしょうか。賢いお金の使い方は、どこに、何のために使うのがいいのでしょうか。
 少し前に津和野を訪れたときに、その町並みにマッチするように作られた「安野光雅美術館」に行きました。
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 ここで展示されていた国際アンデルセン賞を1984年に受賞した「ふしぎなたね」の原画を見ました。この話の内容は、「春に1個、地面に埋めれば秋には2個になる」という、ふしぎなたねを仙人から2個もらった男がいました。男は毎年、1個を食べて、1個を地面に埋めていましたが「これではいつまでたっても同じだ」と気がつきます。そこで、男はある年の冬、たねを食べずに2個とも地面に埋めました。するとその1年目の秋には4個のたねがとれました。そこで1個食べて3個埋めました。すると秋には6個のたねがとれました。そこで1個食べて残りの5個を地面にうめました。さて、次の年の秋にはいくつのたねがとれるでしょう。」と、続いていく話は、数の勉強にもなります。しかし、途中で嵐があったりして、今だけを見ないで、将来を見ていくことの大切さも教えています。
 経済協力開発機構(OECD)が加盟30カ国の2003年国内総生産(GDP)に対する教育費の公的支出割合を調査したところ、北欧諸国が高く、デンマーク8.3%、アイスランド7.8%、ノルウェーが7.6%、英米仏3国も5%を超えていますが、日本は3.7%でトルコと並び最低でした。私費負担も含めた教育費全体のGDP比も4.8%(平均6.3%)と最低水準でした。一方、日本は教育費に対する私費負担の割合が25.9%と、韓国、米国、オーストラリアに次いで高く、中でも3歳以上の幼児教育は49.4%(OECD平均18.5%)、大学は60.3%(同23.6%)と韓国に次ぐ高率です。公費が少ない分、国民が私的に賄っている実態が浮き彫りになっています。OECDのアンドレアス・シュライヒャー指標分析課長は「各国の状況を見ると、子どもの個性を伸ばし多様なニーズに応じる努力をしている国の教育水準が急速に高くなっている。そうした取り組みを保障するのに教育費は重要だ」と指摘しています。この指摘を違う角度から読み取ると、「教育水準の高い国では、子どもの個性を伸ばし、多用なニーズに応じる努力をしている」といえます。ということは、「子どもの個性を殺し、一斉に同じようにしようとする教育は教育水準が低い」ともいえます。そして、「教育水準の高い国では、教育費にかけている」ともいえます。どうも、今の日本では、不思議な種を毎年一粒食べて、一粒植えるというより、今、二粒食べてしまって、来年困るというような感じですね。もっと、先を見て、今、どのようなところにお金をかけたらよいか、かつてのバブルの頃、そのあとのつけが回ってきている今から学ぶ必要があると思います。