1872年に「学制」が定められて、それまで寺子屋などで勉強していた子どもたちは、その前後から、学校で学ぶようになりました。その学校は「幼稚園」、「小学校」、「中学校」と分かれていきます。学制には、幼稚小学の規定というものがもりこまれましたが、最初はどこも開校しませんでした。それが、明治8(1875)年12月に、京都府立第三十区柳池小学校の片隅を借りて開設した幼稚遊嬉場が、日本における初めての幼児教育です。以前のブログで、小学校発祥の地を書きましたが、そこと同じ場所にあり、その場所に昨日行っていました。
しかし,この幼稚遊嬉場は、その時代としては幼児教育についての一般認識がまだ浅い段階であったために,約1年半で閉園されてしまいました。それが、昭和4(1929)年5月には改めて開園され,平成8年3月に閉園となり、ここにある石標は、その柳池幼稚園の跡を示すものです。しかし、では、それまでは幼児教育というものはなかったかというと、たぶん寺子屋の中に、幼児にたいしても教育を行っていたのでしょう。寺子屋は、造りにしても、今の時代の先端を行くようなものだったようですが、幼少一貫という点でも行われていたようです。それが明治に入って、京都の鴨東幼稚園、柳池幼穉遊戯場のような「子守学校」となり、さらに中村正直や関信三の肝入りで、東京女子市販学校(お茶の水女子大)の付属施設として本格化していったのです。当然、明治初期の幼稚園は、エリートの幼稚園でした。しかし、保育内容は、日本ではそれまでは、きちんと構築されていなかったために、たとえば「おなはし」「おゆうぎ」などをフレーベル譲りのもの、あるいはアメリカ幼児教育家譲りのものというように、また、「口演童話家」が活躍したような“桃太郎主義”ともいうべき独特の幼児教育精神が育まれていき、社会の動き同様に幼稚園の方針までもが「和魂洋才」だったのです。それを少しずつ日本の子どもたちの実情にあったものに変えていく努力がなされていったのです。そのようにいつの時代でも、子どもたちのために、その時代にあった、日本独特の形に変えていっています。しかし、安定してくると、なかなか変えようとしなくなります。しかも、子どもの情緒の安定のためというより、経営者の安定、保護者の安定を求めてしまい、かえって、子どもたちが不安になってしまっていくことが多い気がします。昨日のブログではありませんが、私は、もう少し、大人が子どもとの共生を考え、子どもが自然との共生の中で生活がしていけるような社会を作りたいと思います。橋詰せみ郎という不思議な名をもつジャーナリストを経験した人物がつくりあげた大阪の「家なき幼稚園」の園歌は、橋詰が作詞して山田耕筰が作曲したのですが、こんな歌詞です。「天地のあいだが おへやです 山と川とが お庭です みなみな愉快に 遊びましょう 大きな声で うたいましょう わたしがへやは 大きいな わたしが庭は ひィろいな 町の子どもは 気のどくな お籠のなかの 鳥のよう」自然との共生が感じられますね。私が作詞した園の「園歌」の歌詞は、やはり、そんな気持ちを歌っています。今歌っているのは、歌詞の「町」の部分を「園の名前」に変えていますが、もとは、このような歌詞です。「風と走ろう ぼくらの町で 光と踊ろう 私の町で みんなで声を掛け合えば、風と光が飛び交うよ 空を仰ごう ぼくらの町で 虹を渡ろう 私の町で みんなでいっしょに駆け出せば 空の虹も笑ってる 夢を探そう ぼくらの町で 愛を語ろう 私の町で みんなの夢を集めれば 愛のあふれる町になる」自然の中で、町の中で育つ子どもたちであって欲しいと思います。
藤森先生が仰るように「経営者の安定、保護者の安定を求めてしまい、かえって、子どもたちが不安になってしまっていく・・・」、こうした現状を持つのが大方の保育園幼稚園かもしれません。私が勤める園も、従来そうした園の一つでした。子どもたちが何かをできるようになるためにはまず「情緒の安定」です。そのことを最近よく職員さんたちに伝えます。大きな声で指示したり、少し待てばいいのにすぐ介入したり、・・・そうしたことが子どもの情緒の安定に繋がるのだろうか、と問いかけます。風・光・空・虹・夢・愛・ぼくら・・・こうしたことを大人が、そして特に「先生」と呼ばれる人たちが感じられるようになれば、どんなにか良い町ができあがることでしょう。自然との共生は、まさに自然をそのものとして認め理解することから始まる、そんな気がします。「風と走ろう」・・・とても素敵です。
子どもの情緒の安定のために様々な議論が行われるといいのですが、なかなか簡単にはいきません。今の時代は大人が考え方を大きく方向転換しなければいけないように思います。
自然との共生、大人との共生。とても優しい感じがします。子どもとともに育っていけるよう、素直な心を大切にしたいです。
仕事柄、いろんな園長先生とお話しすることがありますが、確かに、ほとんどの先生が「経営者の安定」や
「保護者の安定」がまず一番で、「子どもの情緒の安定」はその次ですね。
「子どもの情緒」を安定させる保育を実践することで、保育のプロとして「保護者」から信頼を獲得して、
結果的に園の経営も安定すると思うのですが。
昨日もあるギビングツリーの先生とお会いしましたが、行政や保護者よりも「子どもの発達」を
最優先にする保育をしましょうということで意見が一致しました。