一葉

 紅葉がきれいだと眺めているうちに、葉が少しずつ散り始め、園に向かう街路樹の「ユリノキ」はもうすっかり葉を落としてしまっています。園庭にも、1本の大きなユリノキがあるのですが、私の部屋の窓から眺めてみると、なんと小さな葉っぱが揺らいでいます。
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今日はとても風が強いので、いつ吹き飛ばされるか、冷や冷やしながら見ていました。もちろん、いつかは散ってしまうのでしょうが、なんだか、1枚だけが必死で頑張っていると、気になり、何度でも「まだあるか」と見てしまいます。幸いと、今日は出かけるまでは散らないで頑張っていました。9月に職員みんなで訪れた神戸の「阪神淡路震災記念館 人と防災未来センター」には、「防災未来館」と「ひと未来館」があり、その「ひと未来館」では、「こころのシアター」といって、「いのち」へのいつくしみや生きる勇気を、葉っぱの「フレディ」を通して臨場感たっぷりに描き出していました。このフレディは、ユリノキの葉っぱです。「葉っぱのフレディ」という絵本は、1999年のころ、新聞などに紹介され、ブームになり、森繁久彌の朗読で、CDが発売されたり、劇やミュージカルとして上演されたりしているものです。「葉っぱのフレディいのちの旅」と題される絵本は、アメリカの著名な哲学者レオ・バスカーリア博士が「いのち」について子どもたちに書いた生涯でただ一冊の絵本です。内容は、「大きな木の太い枝で春に生まれたフレディは、数えきれないほどの葉っぱにとりまかれていました。はじめは、葉っぱはどれも自分と同じ形をしていると思っていましたが、やがてひとつとして同じ葉っぱはないことに気がつきます。フレディは親友で物知りのダニエルから、いろいろなことを教わります。自分達が木の葉っぱだということ、めぐりめぐる季節のこと...フレディは夏の間、気持ちよく、楽しく過ごしました。遅くまで遊んだり、人間のために涼しい木陰をつくってあげたり。秋が来ると、緑色の葉っぱたちは一気に紅葉しました。みなそれぞれ違う色に色づいていきます。そして冬。とうとう葉っぱが死ぬときがきます。死ぬとはどういうことなのか...ダニエルはフレディに、いのちについて説きます。「いつかは死ぬさ。でも”いのち”は永遠に生きているのだよ。」フレディは自分が生きてきた意味について考えます。「ねえダニエル。ぼくは生まれてきてよかったのだろうか。」そして最後の葉っぱとなったフレディは、地面に降り、ねむりにつきます。」というものです。
同じように、1枚の葉から、生きるということを書いた小説に、オー・ヘンリー作の「最後の一枚の葉」(The Last Leaf)があります。この葉は、つたの葉ですが、ストーリーは、誰でも学校で習ったと思いますし、今は、著作権が切れたので、ネットでも読むことができます。「患う女性主人公が窓から見える落葉に死を重ねます。しかし、窓から見える一枚の葉が冬の嵐に耐え、主人公は生への勇気を得ます。が、葉は知人の老画家が描いた絵で、それを描いた老人は死んでしまいます。」というものです。そのなかで、自殺が多い今、心に響く言葉がいくつかあります。「その見込みはあの子が『生きたい』と思うかどうかにかかっている。こんな風に葬儀屋の側につこうとしてたら、どんな薬でもばかばかしいものになってしまう。」「わたしが何て悪いことを思っていたか教えてくれたのね。死にたいと願うのは、罪なんだわ。」自殺をしようとする子が、「冬にはどんな外套の袖が流行るのか、なんて質問をさせることができるなら、望みは十に一つから五に一つになるって請け合うんだがね」とあるように、どんな些細なことにでも希望とか、夢を持ってくれたらと思います。

一葉” への4件のコメント

  1. 死んでしまいたいほどつらいことは、生きていれば1度や2度は必ず経験します。
    それを乗り越えるには、やはり希望が欠かせないものだと思います。
    子どもたちに希望を与えられるのは、やはり大人しかいないと思います。
    これだけ情報が氾濫している現代ですが、本当に必要な情報は、得にくいのでしょうね。
    もっともっと広い視野をもって、世間は広いんだということを知ってほしいです。
    そして、今現在はつらい状況かもしれなくても、少し環境を変えるだけで、状況が変わるというこを知ってほしいです。
    これ以上、尊い命が消えないことを心より願う毎日です。
    同時に、いざという時に希望を捨てずに乗り越えられる力を子どもたちにつけるような保育に真剣に取り組みたいと思います。

  2. 命についてもっともっと関心の持てる世の中になって欲しいと思います。自分の命や周りの自然の命など、考えるきっかけはたくさんあります。私たち大人が命について考えるきっかけを子どもたちに与えていかなければいけないと思います。子どもたちが夢や希望を持ち続けられるように、夢や希望をしっかりもった大人でありたいと思いました。

  3. 園庭のイチョウの木はその葉を全て落として枝だけ・・・と思いきや、よくよく見ると枯れて今にも落ちそうな葉が一枚だけついているではありませんか。今日のブログの「一葉」がなければ、その葉に気を留めることもなかったでしょう。

  4. 先月、神戸の「ひと未来館」で「葉っぱのフレディ」の3D映画を見る機会がありました。最後のシーンは感動的でした。
    それにしても、園長室から園庭の「1枚の葉っぱ」を慈愛深く見つめる藤森先生。一幅の名画を見るようですね。
    ちょっとした自然の変化からでも人が生きる上で大切な真理を気づかせてくれることがあるのですね。
    「こころの鏡」をもっと磨いていこうと思います。

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