自然との共生

 昨日は、来年4月に開園する園の建物の引渡しが行われました。先日、この園を見に来たときに、思いがけない生き物と出会いました。園のベランダに出て、隣の家の庭を見ていたら、なんとその裏の公園から狸が2匹顔を出しました。たぶんつがいでしょう。じっとこちらを見ています。私が見ていることに気がつかないで出てきたのではなく、私を見に出てきた様子で、私がじっと見ていても逃げもせず、じっとこちらを見ているのです。挨拶に来たのでしょう。ここは、新宿です。新宿で園を開園するというと、「大変ですね。夜の仕事の人が多くて。」というように歌舞伎町を思い出す人が多いのですが、まだ、狸が出るところもあるのです。どうも、私の園は、狸と縁があるようです。今の園は、多摩ニュータウンにあるのですが、ここは、先日テレビで放送していましたが、「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台となっているところです。これは、スタジオジブリ制作の劇場アニメ作品です。開発が進む多摩ニュータウンを舞台に、その一帯の狸が化学(ばけがく)を駆使して人間に対し抵抗を試みる様子を描いた作品です。「スタジオジブリ」の名称は、サハラ砂漠に吹く熱風(ghibli)に由来しており、宮崎駿監督が命名したそうです。この映画のテーマは、ジブリの共通テーマである「自然との共生」です。私が、今の園を開園してまもなく講演依頼が徳島県小松島市から来ました。この市は、有名な金長狸の故郷であり、市内には、金長神社が祀られるほか、たぬき広場に、狸小路、市内を走るたぬきバスなどありました。この金長狸が、「平成狸合戦ぽんぽこ」のアニメの中で、開発を阻止するために、小松島から多磨ニュータウンに助っ人に来るのです。しかし、人間による開発は阻止することはできませんでした。そこで、昼間は人間の姿をして働き、夜にもとの狸の姿に戻り、広場でみんな集まって狸踊りをするところでこのアニメは終わりになります。しかし、現実は続きがあります。そのときに立てられたマンション群が、最近、耐震構造ではないことがわかり取り壊されるということで大騒ぎになっています。自然を征服しようとしても、結局は人間の知恵では無理のようです。かつての里山のように自然との共生を考えていかなければいけないのでしょう。最近、人里に熊が出没して問題になっています。先日、テレビで、どうしてかを解説していました。熊が住んでいる林を開墾して、人間が住み始めたとき、その家の周りに田畑を作りました。すると、林と人家の間に田畑が広がります。すると、熊は、この田畑を横切ると姿が丸見えになるので、そこから先の人家のところまでは出てこないのです。しかし、最近、田畑では作物を作らなくなり、そのまま放ったかされるところが多くなりました。すると、草が伸び放題になり、熊は姿をさらすことなく人家のところに出てくることができます。人家のあたりは美味しい食べ物があるので、そこまで出てくるようになったといいます。熊が出てきて困るといっても、結局は人間が出てくるような環境にしてしまい、共生する里山を壊してきている結果なのです。先日、新宿の園の保護者との懇談会の中で、「新しい園では、小動物はどんなものを飼うつもりですか?」と聞かれたときに、「裏山に住んでいる狸を保護するつもりです。」と答えました。子どもたちには、生き物を飼うよりも、自然との共生を教えていきたいと思っています。それが、都心の新宿でもやれるとは、うれしいですね。