プロキオン

 先日、羽田空港で滑走路を眺めていると、そこに待機している飛行機の前の方に小さな犬の絵と「Procyon」という文字が書かれていました。
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 「B777」シリーズという、ボーイング社の最新鋭機があります。JALでは、このB777シリーズに「スタージェット」という別名がつけられており、1機ずつに星の名前が付けられています。例えば、「シリウス」「べガ」「アルタイル」「ぺテルギウス」「プロキオン」などあるそうです。これらの名前は「STAR JET」と共に航空機材の横にプリントされています。ですから、もちろん「Procyon」は、そばの絵にあるように、こいぬ座α星の「プロキオン」のことです。この星は、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウスとともに冬の大三角形を形成しており、冬の代表的な星です。この星は、太陽との距離が11.4光年しかなく、1等星としてはシリウスに次いで近い恒星です。その大きさは、太陽の1.86倍もあります。この星の名前の「プロキオン」とは、「プロ」という「前に」という言葉に、ギリシャ語で「犬」という意味の「キオン」がついたものです。ということで、プロキオンとは「犬の前」という意味で、おおいぬ座のシリウスに先駆けて東の空から昇ってくるということです。おうし座のある恒星のアルデバランという名前は、アラビア語のアル・ダバランに由来していますが、これは、「後に続くもの」という意味であり、アルデバランが東の地平線から昇ってくるときに、プレアデス星団の後に続いて昇ってくることからその名前がつけられています。日本でも、後星(あとぼし)、統星の後星(すばるのあとぼし)と呼ばれています。プロキオンとは、その逆の意味ですね。このプロキオンに続いて上ってくるのが、おおいぬ座の「シリウス」です。シリウスは白色でギラギラと輝いて見えますが、全天で最も明るい?1.4等星の恒星です。普通の1等星よりも2ランク以上等級が明るいので、他の1等星と比べてみてもすぐにシリウスだとわかります。シリウスは、ギリシャ語で「焼き焦がすもの」という意味です。この星が明るいのは、質量が太陽の2倍、直径が1.7倍、明るさが40倍というだけでなく、シリウスまでの距離は8.6光年しかなく、非常に地球に近い恒星だからです。しかし、誕生してから数億年しか経っていない若い星ですが、今後5億年以内に燃え尽きてしまうのだそうです。(太陽の寿命はあと50億年といわれています)
 この「おおいぬ座」「こいぬ座」の二つの星の神話はいろいろありますが、最も一般的には、おおいぬ座はオリオンの猟犬で、オリオンがこの犬を連れてウサギ(うさぎ座)を追いかけているところとか、あるいは、雄牛(おうし座)を追いかけているといわれています。ローマ神話では、おおいぬ座はエウロパの番犬でしたが、大神ユピテルがエウロパ(ギリシア神話ではエウロペ)を誘拐するのを防がなかった功績を称えて、ユピテルにより星座にされたといわれています。「こいぬ座」のほうは、残酷な話です。アクタイオンが、猟犬メランボスを連れて狩りをしていたところ、泉で狩りの女神アルテミスが水浴びをしているのを目にしました。自分の裸を見られて怒ったアルテミスは、アクタイオンをシカの姿に変えてしまったのです。それが自分の主人の姿だとは知らない猟犬メランボスは、アクタイオンをかみ殺してしまいました。この猟犬メランボスの姿が「こいぬ座」です。冬は、星座が見つけやすいので、子どもに星の世界を教えるのにはよい季節かもしれません。