年代による名前

昨日は、ズックという言葉を使いましたが、今は、その言葉は死語になりつつありますね。「68年のメキシコ五輪」で、デザイン性の高い運動靴が登場し、スニーカーという呼び名が広まりました。さまざまなものの呼び方で、出身地が推測できるということを以前のブログで書きましたが、今年の9月の毎日新聞に、呼び名で、その人の年代がわかるという記事が掲載されていました。よく例に出されますが、「今日はパンツをはいてくれば良かった」と聞いて、あせるのは、大体1970年以前の生まれだそうです。そのころは、パンツと言えば下着のことだったからです。今は表着(うわぎ)の意味でも使われます。それは、60年代に登場したジーパンすなわちジーンズパンツの影響だといわれています。本当に英語でそういうか、外国ではそう言うかに関係なく、移り変わりが激しいアパレル(衣料・既製服業界)では、ファッション的な意味からでも新しい言葉を使うようです。特に、アパレル言葉の転換期は、60年代だといわれています。スニーカーもそうですが、このほか、衣類系では「チョッキ」と「ベスト」、「バンド」と「ベルト」、「チャック」と「ファスナー」、「ジャンパー」と「ブルゾン」、「トレーナー」と「スエット」などがあります。それぞれ、どのようないきさつから変わってきたのかわかりませんが、新しいほうの言葉を使わないと、なんだか年寄りくさく、若い人に馬鹿にされそうなので、新しぶりながら使っているうちに、その言葉に変わっていくという要素が強い気がします。たとえば、「トレーナー」という言葉にしても、それは英語ではなく、はVANの創業者の石津謙介さんの造語です。同様に、「チャック」は、「巾着」から来ている和製語だということは知られていますね。このように流行に敏感な業界では、常に新しい言葉が生み出されています。
この言葉の変化は、使い慣れた商品名にも影響しています。暑い季節に汗やあせも予防に使う白い粉のことを、かつては「天花粉」と呼び、年代を経るにつれて「シッカロール」と呼んでいましたが、今は「ベビーパウダー」が主流です。天花粉と呼ぶのは、主原料はウリ科のキカラスウリの根で、本来は、シッカロールとは成分から違い、1703年に書かれた「小児必用養育草」という書物に記載があるように歴史はとても古いようです。それに比べて、シッカロールという言葉は、ベビー用品メーカー、和光堂の商標で、1906年に発売されたものです。鉱物のタルクなどが原料で、ラテン語で「乾かす」という意の「シッカチオ」から名付けられています。製品名に一般名詞の「ベビーパウダー」を使っているジョンソン・エンド・ジョンソンによると、ベビーパウダーは1890年に同社が世界で初めて発売し、日本に入ってきたのは戦後の1958年だったので、60年以降に生まれた人が多く使うそうです。
 また、料理の呼び方も、時代で変わってきました。「スパゲティ」といえば、ナポリタンとミートソースというイメージですが、最近はさまざまな種類が現れ、練った小麦粉製品の総称であるパスタが一般的になりつつありまする。また、「いり卵」も「スクランブルエッグ」、「ビフテキ」も「ステーキ」が一般的になりました。これらの変化は、名前だけでなく、その食品の持つイメージも変えます。名前を時代によって変えるだけでなく、本来そのものの持っている機能も大切にしてほしいですね。