自分

 昨日は、園で運動会がありました。その中で、とても感心したことがありました。私の園の運動会では、年齢ごとに障害物越えがあります。障害物を越えるためには、跳ぶ力、乗り越える力、歩く力など必要です。それは、競争するためではないので、一人ずつスタートして、ひとつずつ障害を越えていきます。その障害は、二通り用意されています。子どもたちは、どちらを越えていくか決めるのです。たとえば、2歳児では、渡る橋は、その幅が2種類あります。幅の広いのと、狭いのとがあります。また、登ってその上からジャンプする台も、高さが違います。見ていると、2歳児でも、その前に来た子に先生が「どちらにする?」と聞くと、迷ってから、どの子も自分で挑戦するほうを指差します。最近の子どもたちは、意思決定する力が不足しているといわれています。何かを聞いても、「よく、わかんない!」「どっちでも、いい!」と答える子が多い中、園の子どもたちは、きちんと自分のやりたいことを言うようにしています。普段から遊ぶときでも、2歳児に先生は、「好きな遊びをしてもいいよ!」とは言わずに、「なにをして遊ぶ?」と聞くようにしています。そして、そう聞くだけでなく、子どもが答えたことを実現できるように、できるだけしてあげています。そんなことが、運動会にも現れます。きちんと、全員が自分のやりたいほうを選択しました。3,4,5歳児も同じような選択をするのですが、5歳児では、もっと感心したことがありました。運動棒を飛び越える場所は、片方は、順に1段、1段、2段か、2段、3段かを選ぶようになっています。すると、ある女の子が、2段の前に立って、しばらく考えていました。どちらかを選んでいいのか考えているのかと思っていたら、そのうちの1段を取り上げ、3段の上に乗せ、4段にしました。そして、数を数え、また考えてから、もう1段を上に乗せ、5段にしました。そして、それを飛び越えたのです。5歳児になると、用意されただけでなく、自分のできるものに自分で変えたり、変えることを要求したりする子が何人もいました。きちんと、自分で主張しているのです。最近、OECDの学力調査で好成績であったフィンランドの教育方法が注目されていますが、フィンランドの子どもの特徴として、「自己主張」が強いといわれています。きちんと自分を主張するということは、自分の行動にきちんと責任を持つこととつながっていくようです。日本では、自己主張は、わがままにつながるといわれていました。自分で、これに挑戦する、自分はこれがしたいと主張することがどうしてわがままなのでしょう。
 もうひとつ感心したことがありました。5歳児の種目に、自由演技というものがあって、自分でやりたいもの、自信があることを披露するというものがあります。サッカーでシュートする、ボールを投げる、縄跳びをするなどですが、その中で、フラフープをするというのがあります。これはとても人気がありますので、それを選んだ子は半数近くいました。しかし、それは、女の子が選びます。すると、その中に一人だけ、男の子が混じって一生懸命やっていました。その子は、女の子の中でたった一人の男の子とは気が付いていないようですし、それを見ているほかの子もそんなことはなんとも思っていないようです。自分がやりたいことをやっているとしか思っていないのです。なにができるとか、なにを知っているかということより、こんなことが人生の中では大切なことだと思いました。

自分” への3件のコメント

  1. 今回登場した子どもたちの姿からいろんなことを教えてもらいました。「生きていくうえで大切な力」をきちんと育てていける環境について、もっともっと考えなければいけないと思わされました。子どもたちに感謝します。今回のブログを読んでいて、せいがの森保育園の運動会を見せてもらいたくなりました。

  2. 子どもが自分で選べたり、やっていることに工夫を施すことができる環境の設定が子どもを育てていく上で大切だ、と強く意識しました。運動棒の段数を変える子どもさんの話は私も感心しました。そして、こうしたことができる環境が運動会という行事の中にもしっかりと存在することのすばらしさに感動します。私は子どもの頃運動会があまり好きではありませんでした。なぜなら、走るのが遅くて自己嫌悪に陥っていたからです。そして、人と競争して「勝った」「負けた」というのも嫌でした。「勝て!負けてはならない!」と親から言われたことがなかったので、どうして世間の大人たちは勝ち負けにこだわるのだろう、と思っていました。人と人との「比較」の根底にはこの「勝ち負け」意識がデンとあるような気がします。だから比べるのも私は嫌いです。「競争のためではない」障害物越え、いいですね。「運動会」は身体を動かして、あー楽しかった、でいいと思います。現実はなかなかそーはいきません。「悔し涙」が人を育てる、というわかったようなわからないような屁理屈がまかり通っています。

  3. 運動会といえば、暑い夏の間から鼓隊やお遊戯の練習を強制し
    わが子の晴れ舞台を期待する親の気持ちに応えるべく、
    先生たちが熱くなるというイメージがありますが、
    藤森先生の園は本当に自然体ですね。
    選択性といい、習熟度別といい、毎日の保育の集大成が運動会なんですね。
    運動会が子どもたち一人ひとりの「発達」を表現する場になっているのを感じました。
    機会があったら見学させてください。

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